Yahoo!ニュース

来季への大きなステップに!台湾ウインター・リーグの全選手成績《阪神ファーム》 

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
21日夜、鳴尾浜に戻ってきた陽川選手と…隠れている右が岩貞投手、左は横田選手。

11月28に始まった『2015 亞州冬季棒球聯盟(アジア・ウインター・ベースボール・リーグ)』は12月20日、韓国と台湾プロの3位決定戦、日本とアマチュア台湾代表チームとの優勝決定戦で幕を閉じました。前半はなかなか乗り切れなかった日本チームですが中盤から盛り返し、引き分け1つを挟む7連勝で一気に首位へ!その連勝はリーグ戦最後の17日に韓国で逆転負けを喫してストップ、台湾アマと同率首位で終えています。

プレーオフは18日、岩貞投手が台湾プロチーム相手に7回で12三振を奪うなど7対0で完封勝ち。ここで優勝決定戦進出を決めたので、翌19日は試合がないのかと思ったら普通にやっていましたね。その試合も勝った日本ですが、残念ながら20日の優勝決定戦で台湾アマに負けて優勝はならず。プレーオフや決定戦も成績にしっかりと加算されているので、結果的にこんな順位です。

1 台湾アマ 18試合 11-5-2 .688

2 日  本 19試合 11-6-2 .647

3 韓  国 18試合 8-5-5 .615

4 台湾プロ 18試合 5-9-4 .357

5 欧州選抜 15試合 1-11-3 .083

(欧州選抜はプレーオフ出場なし)

日本は台湾アマと2勝3敗、韓国は2勝1敗1分け、台湾プロが4勝1敗1分け、欧州選抜には3勝1敗(欧州選抜の唯一の勝ちが日本でした…しかも14対7のダブルスコアで)という対戦成績です。過去2回に比べると、日本がぶっちぎりという感じではありませんね。

岩貞がリーグの最優秀投手に!

個人成績を見ると【防御率】1位は台湾アマの投手で1.45、2位が日本(DeNA)の柿田投手で1.71です。日本は規制投球回に達したのが柿田投手1人だけ。阪神・岩貞投手0.53という素晴らしい数字ながら、あと1イニング規定に足りず涙を飲みました。それでも【奪三振数】は27でリーグトップ!【勝利数】も台湾アマの2人が3勝、岩貞投手と柿田投手らが2勝で続いています。

10月のフェニックスリーグで、イベント中に撮った巨人・岡本和真選手。
10月のフェニックスリーグで、イベント中に撮った巨人・岡本和真選手。

野手では中盤に陽川選手がいくつか上位にいたんですけど、後半で巨人のルーキー・岡本選手の名前が出てきました。終盤まで4割あった【打率】は少し下がって、それでも.388でリーグ5位。トップは台湾プロの選手で.489ですからねえ。他にも4割超えが2人もいます。でも【安打数】26と【打点】20は単独1位。【塁打数】も途中まで一番多かった陽川選手を抜き、岡本選手が40で1位、ソフトバンクの上林選手が38、ついで陽川選手の37と日本が上位を独占しました。

【本塁打】は韓国の選手が4本でトップ、2位タイに上林選手と岡本選手がいて3本、阪神の2人は2本です。そして【盗塁】は、もうソフトバンク・真砂選手の1人舞台。19試合に出場して13個も決め、2位の5つも差をつけました。阪神の横田選手は終盤に追い上げてリーグ3位タイの7盗塁です。

優勝決定戦が始まる直前にリーグ個人賞の発表があり、最優秀投手賞に日本チームの岩貞投手(阪神)、最優秀打者賞にアマチュア台湾代表チームの楊岱均選手が選出。グラウンドで表彰式が行われました。岩貞投手は先発した2試合でMVPを獲得していて、トロフィーは合計3つですね。なお試合のMVPには陽川選手も2度選ばれてますが、トロフィーは“持ち回り”でなく、ちゃんと貰ったそうです。念のため。

では21日に帰国したタイガース4選手のコメントを、成績とともにご紹介します。

【岩貞祐太 投手】

岩貞投手の撮影失敗…すみません。かわりに縁起のいい台中棒球場の写真を。
岩貞投手の撮影失敗…すみません。かわりに縁起のいい台中棒球場の写真を。

5試合(先発2)17回

2勝0敗 防御率 0.53

失点2 自責1 (ソロHR)

安打12 三振27 四球3

暴投1 失策0

素晴らしい成績でしたね!「フェニックスリーグから香田コーチと体重移動に取り組んでいて、秋季キャンプも手応えがあるなという感じでした。それを数こなして、12月にも実戦の機会をいただき継続してやれたのがよかった。真っすぐを、しっかりキャッチャーの方へ体重移動させて投げるように。まず軸足で立ってから移動する時に足のつま先でだけでなく、かかとまで均等に体重を感じることです。それはできているかなと思います」

リーグトップの27奪三振については「真っすぐでファウルを取るってことも1つの課題で、だいぶ投げていて気持ちも楽になりました。フォアボールもあまりなくて。ファウルも取れたし、本当に手応えがあった。三振はほとんどの球種で取れたんですが、やっぱり真っすぐとチェンジアップが一番多かったんじゃないかと思います。真っすぐでファウルを取れて、その真っすぐがバッターの頭に残っているところでチェンジアップと。ピンチの時はそれなりに力を入れて三振を取れたのでよかったです」と大きくうなずきました。

来年につながる?「制球の面では、ことし特に苦しいことがあって、それで打たれたりしていたので、今やっていることを続けて自分のものにできれば。自分を信じて、自分のボールにしたい。それと台湾で(日本チームの)いろんな人から『腕の振りがいい。バッターから見て球種の違いがあまりわからない』と言われたんです。そこは自信を持っていきたいですね」

年明けは能見投手と自主トレを行う予定。「トレーニング方法や技術的なことも聞きたいですし、来年は1年間1軍で投げ続けたいので、それに必要なことを聞いてみたい。シュートとかまだ完成していないところも」と意欲満々です。最後に来シーズンへの意気込みを。「開幕ローテにもちろん入っていくつもりでいますし、それを1年間守り切りたいと思います」。来年は鳴尾浜であまり会えないかも。それが何よりです。

【田面巧二郎 投手】

ちょっとヒゲが伸びてワイルドな?田面投手(左)です。
ちょっとヒゲが伸びてワイルドな?田面投手(左)です。

6試合(先発0)7回2/3

1勝0敗 防御率 10.57

失点11 自責9

安打9 三振7 四死球12

暴投3 失策0

台湾での収穫を聞かれ「ゲームの内容で言ったら、よくはなかったですけど…。いろんな選手やコーチに刺激をもらいました。その中で自分がやらなければいけないことを気づかされたし、来年につなげていけるような期間だった。大事にしたいと思います」と答えた田面投手。

ゲームでよくなかったところは?「フォアボールも多かったですし、組み立てもなかなかできず流れを悪くしてしまったので、しっかり受け止めて反省して、来年そうならないようにしたい」。とはいえ滞在中に「野球の練習そのものだけでなく、ランニングやトレーニングなど野球につながるよう目的をもってやった」と話していて、それはとても貴重で意味のある1か月だったに違いありません。

掛布監督がウインターリーグ視察中、2月11日に安芸キャンプで行われる韓国・ハンファとの練習試合で田面投手を先発に指名し、またキャンプ初日のシート打撃にトップで投げることも明言しました。それについて「チャンスなので、そこに合わせてやるだけですね。最初から結果にこだわっていきたいと思います」とキッパリ。年末は実家に帰って、年明けから古巣のJFE東日本で自主トレ、1月半ばに鳴尾浜へ戻ってくるそうです。

【陽川尚将 選手】

入国審査では何も聞かれなかったそうで。よかったですね、陽川選手。
入国審査では何も聞かれなかったそうで。よかったですね、陽川選手。

18試合 打率 .339

62打数 21安打 13打点 

本塁打2 三塁打2 二塁打6

三振12 四球4 死球3

盗塁1 (失敗0) 失策4

初のウインターリーグを終えての感想。の前に、メチャクチャ寒いと思って帰ってきた一行だったんですが、この日は雨上がりのわりにそれほどの寒さでなく、心配していた陽川選手もホッとした様子でした。タクシーやワゴンから荷物を寮へ運び込むのに、ちょっと汗ばんだくらいかも。よかったですね。で、感想は「海外も初めてで、いろんな選手がいる中でいい経験になった」とのこと。

収穫を聞かれて「秋季キャンプからやってきたバッティング、軸回転で打つってことをしっかり意識しながら結果を残せたのがよかったです」と振り返っています。打率も.339という数字、4安打したのが2試合もありました。「タイミングを早く取ったりして試行錯誤したんですが、それがいい形に現れたと思います。掛布監督にも見に来てもらって、その前でも結果を出せてよかったですね」

それとファースト、セカンド、ショート、サードをいろんなところを守ったことも大きな経験。まあエラーもありましたけど、この時期だからいいんですよね。きっと来年、いい形で生きると思います。

強化練習があった1年目とは違うオフも「キャンプまで時間がないので、台湾での感覚を忘れずに、あしたからもしっかりやっていきたい。台湾でも打ち損じがあったし、キャンプまでに試行錯誤しながら、確実性をもっと上げていきたいと思います」と、目標を持って臨む陽川選手。他の選手より長く実戦を積んできたから焦りなどはないんじゃないかと思いましたが、トレーニング面で遅れを取っているのでは…という気持ちなのでしょう。しっかり鍛えてスタートはことし同様に沖縄キャンプへ、もちろんケガなく完走してください!

【横田慎太郎選手】

さすが暑がりの横田選手。ちょっと痩せたように見えるのは気のせい?
さすが暑がりの横田選手。ちょっと痩せたように見えるのは気のせい?

19試合 打率 .304

打数56 安打17 打点11

本塁打2 三塁打0 二塁打1

三振9 四球6 死球1 犠飛2

盗塁7 (失敗2) 失策2

横田選手も初海外で初ウインターリーグでした。どうだったかという問いに「3割打ちたいというのもあったし、最後の打席で打って3割、打たなければ3割を切るという、いい緊張感の中で打ててよかったです」と答えています。掛布監督が視察に訪れる直前、12日の韓国戦で3ランを含む2安打5打点、13日の台湾プロ戦は2安打2打点で一気に3割に乗せた横田選手。

掛布監督滞在中も.319まで打率を上げていたのですが、そのあとまた少し落ちて20日の最終日前には.291となっていました。そして迎えた優勝決定戦は4対2とリードされた9回裏、2死ランナーなしの場面で代打出場。もちろん打って次へ回せば、まだ逆転の可能性はあります。ベンチ前でペットボトルを手にスタンバイしている相手チームの前で、横田選手は初球149キロの真っすぐをピッチャー返し!痛烈な打球がピッチャーをかすめてセンター前へ飛んでいきました。

結果は横田選手を一塁に残して試合は終わったのですが、打率を3割に戻しています。優勝も味わってほしかったけど、それは来年のタイガースに期待。なお収穫を聞かれた横田選手は「最後の打席で151キロの真っすぐを打ち返せたことです!」と答えています。中継の画面には149キロと出ていたけど、そのピッチャーは確かに151キロも投げていたし、チームのスピードガンでは計測していたのかもしれませんね。

新たに見つかった課題は?「盗塁の時のスライディングです。いい選手は速かった。バッティング以外でもいろいろ見つかりました」。同じチームだったソフトバンク・真砂選手の走りも目の当たりにできたでしょう。それも大きな収穫ですね。年末年始は「鹿児島で1人でできることをやって、年明けは鳴尾浜で技術的なことをできたら。キャンプまでに体をでかくします!ウエートで追い込んで体重を増やしていきたい」と言っていました。まだ大きくなるみたいですよ、横田選手。

参加全選手の成績

では阪神以外も、参加した全選手の成績を書いておきます。あまりにも長くなるので、簡単にさせていただきました。ご了承ください。また記録は台湾プロ野球(CPBL)のホームページ、ウインターリーグの公式サイトを参考にした数字です。(※デ=DeNA)

◆投手

【ソ・加治屋蓮 投手】

6試合(先発2) 17回1/3

1勝1敗 防御率 1.04

安打19 三振12 四死球2

【ソ・岡本健 投手】

15試合(先発2) 16回

1勝0敗 防御率 5.06

安打16 三振18 四死球7

【中・浜田智博 投手】

6試合(先発3) 17回

1勝0敗 防御率 2.12

安打10 三振18 四死球3

【中・岸本淳希 投手】

10試合(先発0) 15回

0勝0敗 防御率 5.14

安打15 三振14 四死球7

【巨・今村信貴 投手】

5試合(先発2) 16回

1勝0敗 防御率 2.81

安打11 三振15 四死球4

【巨・平良拳太郎 投手】

7試合(先発2) 15回

1勝2敗1S 防御率 4.20

安打20 三振9 四死球5

【ヤ・児山祐斗 投手】

5試合(先発2) 15回

1勝1敗 防御率 1.80

安打13 三振7 四死球12

【デ・柿田裕太 投手】

6試合(先発4) 21回

2勝1敗 防御率 1.71

安打13 三振20 四死球6

【デ・飯塚悟史 投手】

7試合(先発0) 13回

0勝1敗 防御率 2.08

安打13 三振12 四死球6

◆捕手

【ソ・張本優大 選手】

12試合 打率 .375

打数24 安打9 打点4

本塁打0 盗塁2 失策1

【中・桂依央利 選手】

13試合 打率 .286

打数28 安打8 打点5

本塁打0 盗塁1 失策0

【ヤ・山川晃司 選手】

13試合 打率 .238

打数21 安打5 打点0

本塁打0 盗塁0 失策1

◆内野手

【中・高橋周平 選手】

19試合 打率 .254

打数59 安打15 打点9

本塁打2 盗塁0 失策5

【巨・岡本和真 選手】

19試合 打率 .388

打数67 安打26 打点20

本塁打3 盗塁0 失策3

【巨・和田 恋 選手】

19試合 打率 .351

打数57 安打20 打点11

本塁打0 盗塁5 失策2

【デ・山下幸輝 選手】

19試合 打率 .349

打数63 安打22 打点10

本塁打2 盗塁2 失策2

◆外野手

【ソ・上林誠知 選手】

19試合 打率 .313

打数64 安打20 打点14

本塁打3 盗塁5 失策2

【ソ・真砂勇介 選手】

19試合 打率 .290

打数62 安打18 打点5

本塁打1 盗塁13 失策4

【中・友永翔太 選手】

19試合 打率 .273

打数55 安打15 打点6

本塁打1 盗塁2 失策2

【ヤ・原 泉 選手】

18試合 打率 .235

打数51 安打12 打点8

本塁打0 盗塁1 失策0

【デ・関根大気 選手】

6試合 打率 .400

打数15 安打6 打点4

本塁打1 盗塁1 失策0

おまけ・日本チームMVP

飛行機が大嫌いな藤本コーチ(左)。お疲れ様でした!
飛行機が大嫌いな藤本コーチ(左)。お疲れ様でした!

《11月》

30日 神・陽川選手

《12月》

2日 デ・柿田投手

7日 ソ・上林選手

8日 巨・今村投手

9日 デ・柿田投手(2)

11日 神・岩貞投手

12日 神・陽川選手(2)

13日 中・友永選手

15日 巨・和田選手

16日 ヤ・児山投手

18日 神・岩貞投手(2)

19日 ソ・上林選手(2)

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事