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阪神タイガース ファームの2015年を回顧《前期》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
フェニックスリーグのイベントで子どもを見つめる選手たち。忘れられない1枚です。

ことしも残りわずかとなりました。やはり年末の締めは『ことしの重大ニュース』、というわけで小虎日記でも阪神タイガース・ファームの今シーズンを振り返ります。周りの方々に聞いてみたところ

「陽川選手のファウルボールが外灯を直撃」

「田上選手の戦力外」

「秋季キャンプ(鳴尾浜)の大混雑」

といった出来事を挙げてくださる方が多かったですね。

本当なら“重大ニュース”として何項目かに絞れればいいんですけど、なかなか難しくて…。あれもこれもと時系列で書き出してみました。もちろんファンの皆さんから「あれは入っていないの?」というご指摘もあるとは思いますが…大目に見てください。まず《前期》で2月の春季キャンプから6月までをご紹介します。

【2月~3月の開幕前まで】

◆陽川、1軍キャンプへ。ところが…

初めての沖縄・宜野座キャンプで開幕1軍を目指して奮闘中だった2年目の陽川選手が、2月13日の練習試合で左肩を亜脱臼。安芸キャンプへ移動しました。復帰は6月16日のウエスタン・中日戦です。

◆“筒井ダイナミック和也!”

降雨ノーゲームとなった3月7日の教育リーグ・オリックス戦(鳴尾浜)。雨の中、4回表に登板した筒井投手はなんと大きく振りかぶって投げ、そのダイナミックな姿にビックリ。5月初旬にノーワインドアップに戻しています。また6月17日の中日戦(鳴尾浜)で、藤原投手も振りかぶっていました。

◆開幕前に負けなしの10連勝!

3月8日の教育リーグ・オリックス戦でサヨナラ勝ちし、これで2月の練習試合から教育リーグにかけて無傷の10連勝。この日は4回に横田選手が今季ファーム1号を放ちました。チーム10試合目でやっとです。去年は2月11日の練習試合・西武戦(安芸)で岡崎選手と原口選手が連続で放つなど、ここ数年ずっとキャンプ中に出ているので遅かったんですね。そして9回裏、2死満塁でルーキー植田選手がサヨナラ打

この日かどうかが定かでないんですけど試合中にカラスと一触即発?ってのもありましたよ。右中間の芝生上に陣取り、打球が飛んできてもチョコチョコと横へ行くするだけで動じないカラス。それが気になるのか1球ごとに見やり、近づいて威嚇する横田選手。試合後「アイツ、うざかったんで」と怒っていました。

◆雪で中断しながらの教育リーグ

3月10日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)は12時開始で、朝から舞っていた雪が激しくなり2回途中に約10分間の中断。無事に再開されたものの風が強く、気温も相当低かったのでケガしないかと心配したほどでした。1軍のオープン戦へ行った野手がいたため、筒井投手が2度も打席に。結果はしっかりスイングしての2三振です。

なお練習試、教育リーグで負けなしの10連勝のあと、この日の引き分けと翌12日の敗戦で連勝はストップ。それでも10勝1敗1分けで開幕を迎えています。

【3月の開幕から4月まで】

◆12年ぶりの開幕戦2ケタ安打

3月17日のウエスタン開幕は遠征でのソフトバンク戦(雁の巣)、4対1で白星発進しました。伊藤隼選手の今季1号など12安打で、開幕戦の2ケタ安打は2003年に広島戦(鳴尾浜)で10安打して以来、実に12年ぶりのこと。2003年といえば親子で優勝した年だから吉兆!と思ったんですけど。

◆島本が開幕1軍メンバーに

昨年11月に育成選手から支配下登録された島本選手が、1軍キャンプ帯同のまま開幕を1軍で迎えました。またルーキーでは石崎投手と江越選手も1軍スタートです。

◆今季初の先発全員安打

4月2日のオリックス戦(鳴尾浜)で先発全員の13安打を放っています。昨年の先発全員安打は2度しかなく、しかも最初が9月7日。ことしはいい滑り出しでした。この日は北條選手と横田選手が初のアベックホームランも。

◆荒木が1試合で4打席連続四球

4月7日の中日戦(ナゴヤ)で6番・サードで先発出場した荒木選手は、朝倉投手から2回、4回、7回と四球を選び、9回も西川投手からストレートの四球で4打席とも4四球。

◆BCリーグに2投手を派遣

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの福井ミラクルエレファンツとの業務提携により、阪神から独立リーグへ初めて選手を派遣。前期(4月~6月)が田面投手、後期(7月~9月)はトラヴィス投手が参加しました。またチームはルートインBCリーグの開幕カードで富山、福井と交流試合も行っています。

◆中谷が人生初の2打席連続アーチ

4月28日のオリックス戦(鳴尾浜)で中谷選手が1回、2回と井川投手から2打席連続のホームラン!昨年8月の横田選手以来のことです。中谷選手にとって1試合2本もプロ初!まだありますよ。この日は公式戦で自身初の4安打、さらにプロ初の6打点と記録ずくめでした。

◆原口が6試合で3本塁打

4月23日の中日戦から30日のオリックス戦まで6試合連続で先発出場した原口選手が、すべてにヒットを放って56試合の打率は.364。しかもホームラン3本、二塁打2本などで、この間の長打率が.864です。

【前半が連敗、後半はHR続出の5月】

◆植田のプロ1号は先頭打者HR

5月2日の広島戦(由宇)、試合開始早々の1回表に戸田投手から先頭打者ホームランを放った、ルーキー植田選手。練習試合でも紅白戦でも打っていなかったので、まさにプロ1号です。その直後の守り(ショート)は先頭の鈴木将選手をエラーで出しちゃいましたけどね。

◆1軍とともにリーグ最速の20敗

5月9日と10日は、タイガースにとって初めての東大阪でオリックス戦。10日は守屋投手が1回で3失点、リリーフの歳内投手や藤原投手、玉置投手と打たれて計12失点でした。ものすごい風で、エラーにはなっていない守備の乱れもあったことを付け加えておきますが、これでファームも20敗に“リーグ一番乗り”となった試合です。

◆昨年に続く9連敗

昨年も9連敗していて、それは確認できた1991年以降のデータによれば「24年間でワースト記録」だとご紹介しました。約半世紀ぶりなのに、今季もまた、5月1日から13日のソフトバンク戦(鳴尾浜)まで引き分けを挟む9連敗で、ついに4位転落。

◆5月初勝利!4年ぶりの1試合5盗塁

5月14日のソフトバンク戦(鳴尾浜)は、2年目の山本投手が公式戦初先発。5回を投げて4安打5三振無四球で無失点でした。決勝点は江越選手のホームスチールで、その江越選手と森越選手、黒瀬選手が1つずつ、横田選手は2つ成功させて1試合5盗塁!これは2011年7月15日、同9月15日以来4年ぶりのことです。

◆松田、3年ぶりの先発

5月17日の広島戦(淡路)で松田投手が2月の安芸キャンプ以来、ウエスタン公式戦ではルーキーだった2012年9月以来の先発。3回を投げて1安打無失点です。この試合で柴田選手が3安打(チーム4安打のうち)、さらに鈴木将選手のホームランを左飛にするファインプレーも見せました。

◆藤原に4年ぶりの勝ち星

5月21日の中日戦(ナゴヤ)で、2人目の藤原投手は4回から2イニングを投げ、1点を失ったものの今季初勝利。ウエスタン公式戦では2011年3月26日以来の2勝目でした。

◆35年ぶりの3者連続ホームラン

5月31日の中日戦(蒲郡)、6回2死一塁で3番・北條選手、4番・江越選手、5番・梅野選手が3者連続ホームラン!3者連続はリーグでもチームでもタイ記録です。リーグでは2008年8月のソフトバンクが広島戦で記録して以来7年ぶり(城所、福田、小斉の1番~3番)。チームでは1980年以来、なんと35年ぶりのこと!公式戦でなければ、2006年のファーム日本選手権であります。

なお5月の最終週(26日~31日)は毎日ホームランが出ていて、6試合で回11本!うち横田選手が3本、梅野選手、江越選手、北條選手が2本ずつです。

【6月には今季最多の5連勝】

◆親子そろって逆転満塁弾を浴びた日

6月2日のオリックス戦(鳴尾浜)は、3対2とリードして迎えた9回表に渡辺投手が武田選手に満塁ホームランを浴び、逆転負けを喫しました。すると、その夜の1軍・ロッテ戦(甲子園)でも同じ3対2の9回表に、呉投手が角中選手に満塁ホームランを打たれて負け。5月28日はファームも1軍もサヨナラ勝ちしたのに、この日は仲良く9回に逆転満塁弾なんて…なかなかないでしょうねえ。

◆横田がバースデーアーチ

6月9日のソフトバンク戦(ヤフオク)で、横田選手が自身の20歳を祝うバースデーアーチを放っています。5対2デ勝ったものの、中谷選手を除く全員が毎回の15三振を喫しました。この時点で今季ワーストです。はい、この時点で。

◆今季初の5連勝

6月10日のソフトバンク戦(雁の巣)も勝って、今季最多の5連勝。ソフトバンク戦も、引き分けを挟んで6年ぶりの5連勝です。先発の筒井投手が5回1安打で、リリーフの歳内投手と榎田投手はノーヒット。つまり1安打完封リレーでした。両チームとも残塁1ってのも珍しい。

◆先発全員三振…薮田に10K

6月13日の広島戦(マツダ)は、広島の先発・薮田投手に6回までで5連続を含む10三振を喫するなど、計12三振。6回1死で田上選手が奪われた9つ目で、既に先発全員だったのです。

◆一二三“人生初”の満塁弾

6月17日の中日戦(鳴尾浜)は8回に2対2と追いついて、なおも2死満塁と勝ち越しのチャンスを迎えていました。ここまでヒットのなかった一二三選手がホームラン!今季1号が、本人いわく「人生初の」グランドスラムです。9回に3点返されても逃げ切れたのは、この「メッチャ気持ちよかった!」一発のおかげでしょう。

◆ペレスがやってきた

新外国人・ペレス選手が6月20日の広島戦(鳴尾浜)でデビュー。翌21日の同カードで初安打、ホームランは7月に出ています。外野の守備について、相手のバッターが打つまで爪を噛んでいました。それも両手を交互に。グラブを持ち替えてるんですよ。

◆一二三vs島袋は、おあずけ

6月24日と25日、鳴尾浜でソフトバンク3軍との練習試合が行われました。25日にはソフトバンクのルーキー・島袋投手が9回に登板。しかし一二三選手は8回の先頭打者で、9回は三者凡退だったため回らず。2010年夏の決勝で戦った2人が5年ぶりに…という瞬間は持ち越し。一二三選手の悔しがり方は半端じゃなかったですね。

以上が前半です。7月以降の出来事は、こちらからご覧ください。<阪神タイガース ファームの2015年を回顧《後期》>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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