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安芸キャンプ便り 1年半ぶりの「キャッチャー・原口」《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
11日のブルペン。投手陣の到着を待つ、(右から)鶴岡捕手、小豆畑捕手、原口捕手。

16日から阪神タイガースの春季キャンプは第4クールに入っています。その日、沖縄・宜野座では初の対外試合である楽天との練習試合が行われました。テレビで観ていると、岩貞投手の立ち上がりや陽川選手の豪快な一発(エラーも…)、それに横田選手のホームランなど、小虎ファンにはたまらない試合ですね。しかし、あそこへ割り込んでいくのは大変だろうなあ。

高知・安芸では16日に予定通りシートバッティングがあり、2安打した高山選手の評価がまたグッと上がったみたいですね。掛布監督も、20日の実戦デビューは「6番か7番で」という前言を撤回し、1番で5打席くらいと明言したとか。守備も問題なく、20日の西武B班との練習試合(安芸)でドラフト1位ルーキーがお披露目となります。負けじとヒットを打った板山選手との競演が楽しみです!

また3日に左足内転筋の張りが出て、沖縄から帰阪していた島本投手が安芸に合流。「軽傷です!」と言っていただけあり、きのう17日はもうブルペンでキャッチャーを座らせて本格的に投げたそうです。早い回復で何よりでしたね。今なら十分に巻き返せるでしょう。

23日に練習試合を追加

ここでお知らせ。もうタイガースの公式サイトや新聞等にも出ていますが、最終クールに1つ練習試合が追加されました。23日(火)12時半から、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグス戦が行われます。20日から始まるクールは、その20日が西武戦、翌21日は韓国・ハンファ(2軍キャンプ参加メンバー)戦、22日は練習で23日が高知戦、24日は打ち上げと、まさに実戦での締めくくりですね。また雨の予報があるのは気になりますけど。

私はいったん帰ってきて、最終クールにまた安芸へ行きます。なので、きょうは14日の試合でマスクをかぶった原口選手と小豆畑選手のコメントなどをご紹介します。

怒っているわけではありませんよ。でも…鶴岡さん、ちょっと怖いです(笑)
怒っているわけではありませんよ。でも…鶴岡さん、ちょっと怖いです(笑)

そうそう、タイトル画像に使った写真は11日のもの。今キャンプ初実戦の日で、ゲームに入っていない投手陣のピッチングが行われる時間だったのです。スタメンマスクの清水選手以外で、バッティング練習を最初に終えた原口選手と小豆畑選手、次の組だった鶴岡選手の3人がブルペンでスタンバイ。ところが5分、10分、15分経っても、なかなかピッチャーがやってきません。待ちくたびれて「まーだー」と鶴岡選手の声がプルペンに響き渡りました。忙中閑あり?

記念ボールが戻ってきた偶然とは

まず11日の話から。韓国・ハンファイーグルス(1軍キャンプ参加メンバー)との練習試合が行われ、6対0で快勝したのはご存じだと思います。(詳しくはこちらをご覧ください→<タイガース・掛布監督の初ゲームは完封勝ち!>

これが掛布監督としての初陣で、記念すべき初勝利だったわけです。しかし翌日、ウイニングボールのないことが判明。「小豆畑が審判に返しちゃったんだよね」と少し寂しげだった掛布監督のもとに14日、そのボールが返ってきました。実はインターネットで『記念ボールが行方不明』という記事をご覧になった四国アイランドリーグplusの審判部部長・神谷佳秀さんが、11日の球審を務めた方に電話で聞いてくださったそうです。「ボール残ってる?」と。

11日のブルペン。四国ILの審判員の方々も、この日が今季初実戦でした。
11日のブルペン。四国ILの審判員の方々も、この日が今季初実戦でした。

神谷さんの“取材”によれば「試合が終わった時にキャッチャー、小豆畑選手でしたね?彼がボールを返してきたみたいで。普段は選手が持っていくんですよね。でもまあ深くは考えず、試合が終わって解散して」とのこと。実は小豆畑選手が勘違いしたらしいんです。練習試合だから勝敗に関係なく9回裏もあるんだと思って、球審に返したと言っていました。そう伝えたら「ああ~なるほど!それはありえますね」と神谷さん。とはいえベンチを出て迎える監督を見たら、ハッと気づくんじゃないかと思いますが。

そんなわけで、受け取った球審の方は特に何の意識もなく、腰につけたボール袋に戻して審判室へ。そのままだったそうです。しかも試合で使わなかったボールは主催チームに返してくることになっているので、袋の中にはこのボール1個しか入っていなかった。うまい具合にまた同じ球場で試合があった。そんな偶然も重なり14日の試合前、無事に掛布監督の手元へ戻ってきた次第です。神谷さんも「いや~よかったです」とおっしゃっていました。

その14日の試合で、ネクストバッターズサークルの小豆畑選手にベンチから「ホームランボールくれよ!な、アズ」と声をかけた掛布監督。お茶目です。

「4番・キャッチャー原口」

2戦目となった14日のJR四国戦は3対0で、今度は完封負けを喫しました。試合結果はこちらからどうぞ。<<安芸キャンプ2戦目は完封負け 青柳投手が無失点デビュー>

11日のハンファ戦で左中間二塁打。藤本コーチとグータッチする原口選手。
11日のハンファ戦で左中間二塁打。藤本コーチとグータッチする原口選手。

この試合は原口選手が、2014年8月27日のウエスタン・広島戦(由宇)以来、1年半ぶりにキャッチャーで出場しました。本人が「おととし以来ですよ。おととしも3試合しかなかった」と言うように昨年は一塁か三塁のみ。2014年は5月24日の中日戦(淡路)、6月3日の広島戦、8月27日の広島戦の公式戦3試合で、いずれも途中からです。この2014年で他は、4月に行われた大阪ガスとの交流試合で途中出場。スタメンマスクとなると2月22日、安芸キャンプでの練習試合・高陽ワンダーズ戦以来なので、2年ぶりのこと!

なお試合ではありませんが、昨年のファン感謝デーの『現役vsOB レジェンドマッチ』というコーナーで、キャッチャーしています!本当は主審の予定だったけど、梅野選手が道具を持っていっていなくて交代したもの。おかげで湯舟さんや下柳さんの球を受ける原口捕手を見られて、なかなかラッキーでしたね。

ことしは原口選手の、この姿がたくさん見られそうですね。
ことしは原口選手の、この姿がたくさん見られそうですね。

ことしもキャッチャー登録だと喜んでいた原口選手。とはいえ実戦でのブランクを思えば「すぐやるってわけにはいかないでしょう」と言っていたのですが、安芸キャンプ2戦目で実現しました。「守備は思ったよりよかったです。いい感じ。ワンバウンドも止められたし、イニング間のスローイングもしっかりできたと思います。肩を壊す前よりよくなった!」と明るい言葉が次々と出てきます。

スローイングについては、いろんな方々に投げ方を教わったそうで「投げる量も増えたし、うまく投げられたら肩やヒジへの負担が減ってきた」とのこと。それによって「自信がつきました。その上にもうワンランク、感じもよくなった」そうです。以前まで長らく苦しんでいた腰痛も含め、何ら不安なくシーズンへ向かっている様子。でも「ここからです。油断しないように頑張ります」と締めくくるあたりは、やっぱり原口選手らしいでしょう?

守って、打って両方でアピール

ところで14日の試合で、3回までパーフェクトピッチングだった小嶋投手のあと、4回に登板した筒井投手がJR四国の4番・佐藤選手に決勝2ランを浴びています。原口選手は「チェンジアップでした。僕の選択ミスです。フォークか、インコースの真っすぐでいくべきだった」と猛省。そして「4番の差が出ましたね…」と、3打数ノーヒットに終わりピッチャーを援護できなかったことも悔やしかったようです。

それでも試合後に「もし1軍から言われて推薦するなら、板山、高山、原口の順。原口の調子がいいんだよ」と名前を挙げた掛布監督。ちょうどウエートルームから顔を出した原口選手は笑顔になった…と思ったんですが、実は自分の名前が聞こえたから慌てて引っ込んだのだと、翌15日に安芸ドームでの休日トレーニングを終えた時に言っていました。「良くないことを言われるのかと思って」と。いえいえ逆ですよ。「嬉しいですけど、結果が出ていないので」

1日のシート打撃でホームラン!坂選手に頭をポンっと叩かれる原口選手です。
1日のシート打撃でホームラン!坂選手に頭をポンっと叩かれる原口選手です。

掛布監督からはどんなことを言われていますか?「肩をレベルに振れるように。あと左足の着地です。つま先で着くものだと思っていたんですが、監督も今岡コーチも“足のウラ全体がつくように”と。試合では意識せず、練習で気をつけています」。これから増えてくる実戦では「守れるってことが第一にあります。守って打ってアピールしないと。どちらかではなく両方で、まずアピールできるように」と言っていました。

この日は「きのう試合後にトレーニングできなかったので、ケアをしに」来たそうです。休日も皆勤?「休んでますよ。10日は疲れていたんで休みました。でもずっと寝ていたら腰が痛くなるので。体調を整えるために動いています」。なるほど。そうそう、沖縄の様子は気になるか聞かれて「気にならないですよ」。サラッと答えた原口選手ですが、じゃあ新聞も見ないの?と尋ねたら「ちゃんと見てますよ~」とニヤリ。状況の把握も大事な仕事ですもんね。

小豆畑、ことしは2ケタHR?

次に小豆畑選手の話をご紹介します。小豆畑選手は14日の試合で6回からマスクをかぶり、3イニングは無失点でした。9回はトラヴィス投手で、先頭に四球を与えますが、4回に2ランを放った4番・佐藤選手は送りバント失敗。キャッチャーフライとなり小豆畑選手がうまく捕って1死。次は遊ゴロで2死三塁としてから連続四球で満塁、暴投で1点を追加されました。

この暴投はカウント2-2からの6球目、左打者の背中を通過するくらいのものですから、さすがに止められなかったと思います。でも「その前です。カウント1-2から(の4球目に)フォークを投げさせたのが反省。真っすぐならよかったのに…。トラに悪いことしてしまった」と小豆畑選手。その次の真っすぐで空振り三振、チェンジとなっただけに悔やまれる1球だったのでしょうね。

ファウルフライとなったバントの打球をナイスキャッチ!笑顔の小豆畑選手です。
ファウルフライとなったバントの打球をナイスキャッチ!笑顔の小豆畑選手です。

「石の上にも3年を過ぎて、ことしはもう4年目。腹を決めてやる」と気合いのこもった口調でした。昨年は、それまでのイメージを覆すようなバッティングも見せ、ことしはさらに「もともと初球からどんどんいくところは残し、状況によっては一発もあります!」と宣言。3割打てないならホームランを狙ってもいいじゃないか、と掛布監督との話で思ったそうです。

「ファームでホームラン、2ケタいきます」。おお~それは大きく出ましたね。「いや、2ケタは無理や」。な、なんと早い訂正(笑)。でも2ケタいったら、記念のボールをぜひ監督に。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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