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教育リーグ出場の緒方選手 打って守って走って!《3/12 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
昨年の写真ですが、野球教室で真剣にアドバイスする緒方選手。

きのう12日は、鳴尾浜にソフトバンクを迎えて教育リーグが行われました。ファームのオープン戦とも言える春季教育リーグですが、この時期やはり1軍ローテーション投手の登板は恒例。阪神も先発が能見投手で5イニング、ローテ入りを狙う秋山投手が4イニングを投げ4安打1失点というリレーでした。これに「ずるい」という声も聞こえたんですけど、どのチームも同じ状況ですからね。きょうの教育リーグも、榎田投手が登板すると聞いています。

また野手では緒方選手が初参戦。5番レフトで先発出場し、先制タイムリーを含み2打席連続安打と2打席連続四球、さらに2盗塁、好守備と大活躍だった本人のコメントは、のちほどご紹介します。緒方選手は、きょうも引き続き鳴尾浜で出場予定ですが、きのうスタメンマスクをかぶった小宮山選手は甲子園へ戻りました。代わって、絶好調の岡崎選手がきょうは鳴尾浜ですよ。

そして、きのうの夕方には柴田選手が荷物を車に積んで帰っていきました。甲子園?「はい。あしたは向こうです」。安芸キャンプから始まって、ようやく今季初の1軍合流。やっとですね。「やっと来ました…」。そのあとは?「まだわからないです」。しっかり暴れてきてください。「そうですね。とにかく頑張ってきます!キャンプでやってきたことを出して、“こいつ変わったな”と言ってもらえるように」

これは安芸キャンプでの柴田選手。ようやくチャンス到来ですね。頑張って!
これは安芸キャンプでの柴田選手。ようやくチャンス到来ですね。頑張って!

もう1人、金田投手も大きな荷物。金田投手は5日にオープン戦で登板、1四球を与えながらも無失点でした。その前日と翌6日には教育リーグで投げ、3連投だったんですよね。6日の教育リーグ・中日戦で三塁打と二塁打を続けて浴び失点したものの「連投のせいじゃありません。シーズン中に3連投なんてよくあること」とキッパリ。きのうは「頑張ってきます!」と帰っていった金田投手。もう150キロ超えの球速も出ていますからね。しっかりアピールしてきてください。

ことしは例年以上にオープン戦と教育リーグの入れ替えが激しい気がします。そんな中で横田選手はキャンプからずっと1軍にいるため、小虎ファンの方々は「1試合だけでもいいから鳴尾浜で見たいなあ」と、まさに『横田ロス』状態!確かに、このまま1軍で開幕も迎えそうな勢いですもんねえ。ロスといえばホームランもでしょう。1軍もファームも、ことしの試合でまだホームランが出ていない…。誰が打つのか、チーム1号!

5安打ながら7四球をもらって5得点!

前置きが長くなりました。では12日の試合結果です。

《教育リーグ》3月12日

阪神- ソフトバンク (鳴尾浜)

ソフ 000 001 000 = 1

阪神 000 103 10X = 5

◆バッテリー

【阪神】能見-秋山 / 小宮山-小豆畑(7回~)

【ソフ】加治屋(4回)-嘉弥真(1回)-二保(1回)-吉本(1回)-巽(1回) / 細川

◆二塁打 ペレス、上林

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:江越   (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0)

2]一:荒木   (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打一:西田  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]指:ペレス  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指左:板山 (0-0-1 / 0-0 / 0 / 0)

4]三:陽川   (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

5]左:緒方   (2-2-1 / 0-2 / 2 / 0)

〃投:秋山   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

6]右:柴田   (2-0-1 / 1-1 / 0 / 0)

〃右:中谷   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]二:坂    (3-1-2 / 0-0 / 0 / 0)

〃走二:森越  (0-0-0 / 0-1 / 0 / 1)

8]捕:小宮山  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:小豆畑  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]遊:植田   (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

能見 5回 61球 (2-5-2 / 0-0) 139

秋山 4回 46球 (2-4-0 / 1-1) 140

試合経過

まず先発の能見は1回、先頭の上林に中前打されましたが、1死後に狭殺。塚田に四球を与えたものの0点に抑えています。2回は先頭の城所に四球、盗塁を許しながら無失点。3回は三者凡退。4回は1死から猪本に左前打されるも後続を断って、5回は三者凡退でした。この回、8番・幸山が放った打球をレフトの緒方がスライディングキャッチ!ノリノリですねえ。

一方の打線は、1回が三者凡退。2回は1死から緒方が左前打し、柴田の三振で盗塁を決めるも無得点。3回はまた三者凡退です。しかし4回、1死後にペレスがライトフェンス直撃の二塁打(入ったかと…)を放ち、陽川の中飛でタッチアップ。2死三塁となって緒方の右前タイムリー!ここでも二盗を成功させた緒方ですが、追加点にはつながりません。5回は嘉弥真の前に三者凡退でした。

6回に登板した秋山は、いきなり先頭の上林に左中間真っ二つの二塁打を浴び、犠打で1死三塁として3番・塚田の遊ゴロで同点とされます。この塚田の打球は秋山の足元を直撃したように見えたのですが、問題はなくてホッとしました。猪本は108キロのカーブで見逃し三振!

1対1で迎えた6回裏、ソフトバンク3人目の二保の制球が定まらず、先頭の江越がストレートの四球。荒木の二ゴロで二塁へ進み、さらにペレスの遊ゴロで2死三塁となりました。陽川と緒方が連続四球を選んで2死満塁、続く柴田も四球で押し出し。これが勝ち越し点です。なおも2死満塁で坂が左前タイムリー!2人が生還して4対1とリードを広げます。

7回にも1死から江越が四球を選んで、代打・西田は145キロの初球を打って右前打!江越も三塁へ進んで1死一、三塁となり、代打・板山が同じく145キロの初球を打って中犠飛。5点目が入りました。8回は緒方と森越が四球を選んだものの併殺などで無得点。

少し戻って秋山は7回、1死から細川を空振り、河野を見逃しで連続三振に仕留めて三者凡退!8回は先頭の金子将を森越の捕球エラーで出しますが、次の代打・古澤は三直で併殺。上林を今度は中飛に打ち取り、3人で片づけました。9回は牧原を空振り三振に仕留めたあと、塚田に右前打されたものの後続をピシャリ。5対1で試合終了です。

能見、秋山のコメント

先発の能見投手は5回を投げ2安打無失点。「相手が早打ちだったから試したいところへいく前に、ね。それなりに、ランナーを出してからもカウント悪くなることはなかった。牽制したけど2回走らせたのは、僕とコミ(小宮山)のところで、もったいないというかね」。5奪三振については「三振はね、向こうも来た球を振るという」と、やはり早打ちの結果だと言いたかったようです。

また「次はシーズンを見据えての登板になる。イニングももう少し伸びると思う。ポイント、ポイントでピッチングができれば。インスラとかチェンジアップとか、投げたいボールはあまり投げられなかったし、いろいろやることはあるので、次はしっかりと」と話していました。

試合後の秋山投手。「写真NGです」とメチャクチャ笑顔で言ったあとの真顔です。
試合後の秋山投手。「写真NGです」とメチャクチャ笑顔で言ったあとの真顔です。

続いて秋山投手です。「最初の上林はローボールヒッターとわかっていて、ボールではあったんですが、もっと腕を振ってのボールにしておけばよかった」。代わってすぐ二塁打され、そこから失点につながったことを悔やみます。でも全体を振り返って「ストライク先行でボールも使えていて、(9回先頭の)牧原も最初はカットボールで入って、最後は真っすぐで三振を取れた。上林以外はやりたいようにやれた」そうです。

1軍ローテーションの6番手を狙う位置にいますが「まあキャンプから先発をやらせてもらって、当然(その枠は)空いているし、狙ってはいきたいですけど。投げるところで結果を出すことだけ考えて。ローテに入るだけではダメなんで、レベルアップしていきたい」と、気を引き締めています。きのうはご両親も観戦されていました。ことしはシーズン通して1軍で投げるところを見せられたらいいですね。

掛布監督いわく「オトナの荒木」

掛布監督は「緒方は足の状態がよさそうだし、スピードも上がってるし。すごく気持ちが前に出ている。バッティングも(2四球は)打ちにいって、だから。フォアボールを選びにいってのものじゃない。いい気持ちを感じますね。江越は、きょうヒットになっていないけど形はよくなってる。ボールを見極める形はできてる。1本いいのが出れば続くと思うよ」と振り返っています。

そして「荒木は一皮むけたな、こっちに来て」と、こちらの質問ではなく監督から名前が挙がりました。「ノーアウトでランナーが出たとき(6回、先頭の江越選手が四球)に、バントのサインは出さなかった。スチールがかかっていて、荒木が右方向に打ってランエンドヒットみたいな形になった。好きにいっていい、でも右に意識を持ってほしいとは言ったんだけど」

最後にまた「きょうは荒木らしいところを見せたねえ。オトナの荒木!」と絶賛した掛布監督です。そうそう、1打席目のファーストライナーも素晴らしい打球でした。

とにかく強く振る!と緒方

久しぶりですね、と言うと「ことしは会わないようにと思っていたんですけど」と笑う緒方選手。いえいえ、今回はただファームの方で試合に出るというだけのこと。「そうですね」。そこで強烈なインパクトを残しました。「すごく内容のいい一日でした。自分の置かれている状況を考えると、ファームでああいう結果を出せたのはよかったです」。充実感たっぷりの笑顔です。

「バッティング自体は水物なので。もちろんスイングスピードが上がったとか力がついたとか言われますけど、バッティングがそんなに変わったとかは、ないです。とにかく強くスイングして強い打球を打つことを心がけています」。金本監督のいう“強く振る”、ですね?「野球をやっていて常に心がけてきたことで、それが金本監督になってチームのテーマとしてやることに。自分のやってきたことを、そういう良い環境でやれているのは嬉しい。これからも力強く振っていこうと思います。ただ、はき違えて“大きいのを”とならないように、強い打球で間を抜いていく。それでオーバーフェンスがあるかもしれませんが、とにかく強い打球を」

きのうも最後まで練習し、取材に応じてくれた緒方選手。その後また室内で打ちました。
きのうも最後まで練習し、取材に応じてくれた緒方選手。その後また室内で打ちました。

盗塁も2つ決めましたね。「試合前から『フリー』と言っていただいたので、思い切っていこうと。大胆かつ冷静な部分があって、強引でなく考えていけたので、いいスチールだったと思います」。掛布監督がスピードも上がってきたと言っています。「ヒザの状態も良くて、キャンプの時から動き自体がすごく良かったので。これも、スチール練習や走塁の意識を強く持つというチームのテーマ。それを今、実戦で出せているかなと思う。スピードと体の状態は良くなっています」

充実した毎日、結果を自信に

1軍キャンプ、オープン戦を経て成長した実感はあるでしょう?「きょう1日で言えることじゃないし、成長したかどうかは人に判断してもらうことですが、冷静にボールカウントや点差などの状況を把握した上で出来ているので良かったですね。がっつかず、打席の中でいろいろ考えて、でも考えすぎずに立てた。それでいい結果になったのかも。コーチから『成長したな』と言われました」と、ここはニッコリ。でも「それを自信に変えていきたい。過信ではなく」と顔を引き締めた緒方選手です。

オープン戦でヒットを打っている高山選手や横田選手もいて、激しいポジション争いが続く外野陣。「今、あの2人が結果を残していることはプレッシャーになっているけど、刺激にもなっています。そのプレッシャーに縮こまらず、自分のできることをしっかりやっていきたい。そうすれば、みんなに見てもらえるので」。互いに良い刺激を与え合っているんですね。その中で勝ち残れたなら、もう怖いものはないかも。

前年9月に手術した右ひざのリハビリで安芸キャンプを過ごし、実戦復帰もまだだった1年前。それを思うと体も万全で1軍の開幕に臨めることは何より嬉しいでしょう。最後に緒方選手は言いました。「ケガなくやれていて、一日一日がすごく充実しています。1年終わって充実したと言えるようにしたいですね」

江越「一番多くセンターを守っていたい」

「ボールを見る形はいい」と掛布監督に言われた江越選手。
「ボールを見る形はいい」と掛布監督に言われた江越選手。

きのうが23歳のバースデーだった江越選手。自らお祝い、みたいなことをしたかった?と聞かれ「いえ、それは特に(笑)」と。バッティングに関して「自分の中で形は悪くないです。ヒットが出ていないので、練習で言われたことを意識してやりたいと思います。上体でボールを追いかけないよう意識することと、もちろんヒザの使い方も」と話しています。去年よりももっといい形にしたい?「それはもちろん。去年よりいいものにしたいです」

開幕1軍を目指して、もう一度オープン戦出場のチャンスが欲しいところ。「もちろん開幕から1軍でプレーしたいのはあるんですけど、それより一番センターを守りたい。試合数で一番。シーズンが終わった時、一番多くセンターを守っていたいです。開幕がすべてじゃないんで。でも開幕1軍は目指します」。他の誰よりも、チームで一番多くセンターを守っていたい、ということでしょう。そのための一歩として、やっぱり3月25日は1軍にいたいですね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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