Yahoo!ニュース

社会人・日本新薬戦は17安打13得点!4投手が完封リレー《4/2 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
2日の日本新薬戦、猛攻のトドメを刺したのは原口選手の満塁ホームランでした!

今週末は公式戦の予定がなかった阪神タイガースのファーム。土日は鳴尾浜球場で社会人の企業チームと交流試合が組まれていて、まず2日は日本新薬を迎えました。2014年を除き毎年のように対戦している日本新薬(2010年、2011年は雨天中止)、ことしは3月上旬に開催されたJABAスポニチ大会で初優勝!秋に京セラドームで行われる『第42回 社会人野球日本選手権大会』の出場権を早くも獲得しています。

なお、この大会で2試合に先発し、いずれも完封勝利を挙げた榎田宏樹投手(タイガース・榎田大樹投手の弟)は見事、大会MVPに選ばれました。鳴尾浜の交流試合でも2012年と2013年にリリーフ登板していますが、今回はなし。日本新薬は4月13日からJABA岡山大会があり、これには野原将志選手の三菱重工長崎、阪口哲也選手のパナソニックも出場します。日本新薬はもう日本選手権本大会は決まっているので、都市対抗に向けて5月末の近畿地区予選に集中できますね。

さて試合は、横山投手、松田投手、岩本投手、桑原投手が5安打完封リレー。打線は1回に陽川選手のタイムリーで始まり、2回に4点。7回は6連打で4点を取って、とどめに原口選手の満塁ホームランと計8点。17選手が出場、17安打と6四死球で毎回ランナーを出し、13対0の快勝でした。

《交流試合》4月2日

阪神- 日本新薬 (鳴尾浜)

新薬 000 000 000 = 0

阪神 140 000 80X =13

◆バッテリー

【阪神】横山-松田-岩本-桑原 / 清水-小宮山(4回~)-小豆畑(6回~)

【日本新薬】西川(3回1/3)-齋藤(2回2/3)-杉上(1/3回)-滝谷(0/3回)-三木(1回2/3) / 鎌田-千葉(7回~)

◆本塁打 原口 満塁(三木)

◆二塁打 緒方

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]左:緒方  (3-2-0 / 1-2 / 1 / 0)

2]右中:俊介 (2-1-2 / 0-1 / 1 / 0)

〃走遊:植田 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

3]一:ペレス (3-2-1 / 1-0 / 0 / 0)

〃一:原口  (1-1-4 / 0-1 / 0 / 0)

4]三:陽川  (4-1-2 / 0-0 / 0 / 0)

5]指:新井  (1-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

〃打指:鶴岡 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:小豆畑 (2-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

6]中:柴田  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

〃右中:中谷 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

7]二:坂   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃二:西田  (2-2-1 / 0-1 / 0 / 1)

8]捕:清水  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打:小宮山 (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0)

〃捕指:〃

9]遊:森越  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃右:板山  (3-2-2 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

横山 4回 63球 (3-5-0 / 0-0) 144

松田 1回 8球 (0-0-0 / 0-0) 140

岩本 2回 34球 (2-4-1 / 0-0) 141

桑原 2回 25球 (0-2-0 / 0-0) 145

試合経過

2回1死満塁で俊介選手が左前タイムリー!
2回1死満塁で俊介選手が左前タイムリー!
坂選手と清水選手が相次いで生還しました。
坂選手と清水選手が相次いで生還しました。
1回はタイムリー、2回は犠飛の陽川選手。
1回はタイムリー、2回は犠飛の陽川選手。
小宮山選手も7回にタイムリーです。
小宮山選手も7回にタイムリーです。

まず攻撃から。1回は緒方の四球とペレスの右前打など1死一、三塁の場面で陽川が中前タイムリー。2回は坂の内野安打と清水の左前打、緒方の四球で1死満塁として俊介が左前に2点タイムリー。一、二塁でペレスが中前打を放って緒方が生還し、俊介は三進、ペレスも二塁へ。続く陽川の中犠飛で、この回4点を奪います。3回から6回までヒットは4回に緒方が右翼線二塁打、6回に先頭・板山が中前打した2本だけながら、四死球で毎回ランナーを出しました。

この間に追加点はなかった打線ですが、7回に爆発します。原口が死球、1死後に小豆畑の右翼線ぎりぎりに落ちるヒット(原口、三塁へ行けず)、中谷の中前打で満塁となり、西田がタイムリー内野安打。ついで小宮山が放った右中間への当たりにセンターが飛びつくも…ボールはグラブから転がり、小豆畑が生還して、ここで投手交代。まだ続きます。

なおも1死満塁で板山は中前タイムリー。2人を還し、緒方のセカンド内野安打で満塁。植田は空振り三振に倒れ2死となりましたが、一巡して2度目の打席に入った原口は1球ボールを見送ったあと2球目、137キロの真っすぐをレフトへ!見事なグランドスラムで、この回一挙8得点です。8回は小豆畑と西田に、それぞれ2本目のヒットが出たものの追加点はなし。まあ13点も取れば十分ですかね。

岩本投手は6回からの2イニングで4奪三振。
岩本投手は6回からの2イニングで4奪三振。
8回からの2イニングを完璧に抑えたものの「内容は…」と不満顔だった桑原投手。
8回からの2イニングを完璧に抑えたものの「内容は…」と不満顔だった桑原投手。

ついで投手陣。今季初先発の横山投手は1回、2死から3番・濱田に中前打されますが清水の盗塁阻止で終了。2回、3回は三者凡退です。4回は先頭の1番・福田に右前打、この回からマスクをかぶった小宮山が盗塁を刺し、続く板倉に左前打。次の濱田は二ゴロで、西田がよく捕って送球するも森越の足が離れてセーフ(記録は西田のエラー)。1死一、二塁としたあと4番・中を空振り三振、鎌田は遊ゴロに仕留め、4イニングを投げて3安打無失点でした。

5回は松田が今季初登板。6番からを遊邪飛、遊直、左飛と8球で三者凡退に切って取ります。ついで岩本が、6回は2安打と1四球などで1死満塁のピンチを作りながらも中を見逃し、鎌田を空振りで連続三振。7回は1死から連続で見逃し三振を奪い三者凡退。最後は桑原が、2三振と内野への打球のみで2イニングを完ぺきに抑え、試合終了です。

「満塁弾は彼にとって必要な結果」

試合後、原口選手の満塁弾にコメントを求められた掛布監督は「その前の走塁。行かなきゃ、サードまで。反省してると思うよ」という第一声。7回に先頭で死球を受け、1死後に小豆畑選手の右前打で三塁へ行けなかった点ですね。結果的には連打で生還できたとはいえ、チャンスを逃している可能性は大きいところ。はい、本人も非常に反省しておりました。のちほど。

タイムリーで生還したものの、走塁ミスの反省が背中に出ている原口選手…
タイムリーで生還したものの、走塁ミスの反省が背中に出ている原口選手…
同じ7回の2打席目は満塁弾!出迎える掛布監督も笑顔です。
同じ7回の2打席目は満塁弾!出迎える掛布監督も笑顔です。

満塁弾には「完璧だよ。素晴らしいのひとこと!少ないチャンスにああやって結果を出して。そんなにボールを追いかけなくなったかな。変なボールを追いかけないから結果が出る」と掛布監督。また原口選手自身について「あれだけ自分のやることをやってる子だから。1人でやる練習にも強いし、諦めることがない。一番大切なものを持ってるね。継続する力を」と評価しました。

「今、(背番号)3ケタをつけていますが支配下も見えてくる。彼にとって、ことしは2ケタにする挑戦の年になってる。ムダな時間を作りたくないだろうね。一日一日をしっかり大事に。キャッチャーが多くてなかなか回ってこないんだよね。坂本が戻ってくると6人でしょ?きょうみたいにファーストを守るとか、彼はDHで使えるからね。満塁ホームランは、すごいというより彼にとって必要な結果ですよ」

練習と試合は分けて考える

満塁弾の原口選手をホーム付近で出迎える、先に生還した3選手&藤本コーチ。
満塁弾の原口選手をホーム付近で出迎える、先に生還した3選手&藤本コーチ。

原口選手に聞いてみましょう。練習を終えて引き揚げてくる時、カメラを向けたら「きょうは気持ちが…」とうつむいてしまいました。なるほど、やはり走塁のことですね。先に満塁ホームランの話を。「入るとは思ったけど打球が上がりすぎたんで」と言うように、ネットのもっと上に突き刺さりそうだったけど、フワッと当たった感じですね。でも見事でした。「こういうバッティングを続けていきたい。僅差の試合で打てるように頑張ります」

満塁弾で還ってきた選手たちを迎えるベンチ。笑顔の小豆畑選手(左)も2安打でした。
満塁弾で還ってきた選手たちを迎えるベンチ。笑顔の小豆畑選手(左)も2安打でした。

掛布監督が、ボールを追いかけなくなったと。「練習ではだいぶ意識してやっています。でも、この前のソフトバンク戦は練習でやっていることを試合で出そうと考えすぎて、スイングが出来なかった。きょうは練習と試合を分けて臨んだので、しっかり腰のキレを意識して振れたという感じです。左足がちゃんと着地してからスイングしようと、練習では意識してやっています」。できてきた?「まだまだですけど、きょうは理想的なバッティングができました」

さて走塁について。「まず悪いのは、打球の落ちるところを見ていなかったことです。あとは…自分の足を信じていなかった。公式戦でなくてよかった。しっかり反省して次への課題にします」。掛布監督が「反省してるよ。そこが原口」と言われた通りですね。また、キャッチャーが多くてマスクをかぶる機会は多くないものの「まずはバッティングで負けないようにアピールしていかないと、守れるとこがないんで。出るところでしっかりやっていきたい」と話しています。

いい意味で気持ちに余裕がある

3月30日に岩田投手と入れ替わってファームに来た緒方選手は、私の顔を見るなり「うわっ!」と言い、「会っちゃいましたね」と苦笑い。そうですね、教育リーグから1軍のオープン戦へと戻る時に「ことしは鳴尾浜で会わない」と約束したけど、思いのほか早く会ってしまって…。でも10日間だけでしょう?「はい、短い付き合いでお願いします(笑)」。わかりました。

2回、ペレス選手の中前打で二塁から生還した緒方選手。ホームに滑り込みました。
2回、ペレス選手の中前打で二塁から生還した緒方選手。ホームに滑り込みました。

でも早速、緒方選手らしいところを見せていますね。四球2つに二塁打と内野安打、盗塁も1つ。「降りてきて最初の試合でいい部分が出せたので、これをしっかり継続して、いつ呼ばれてもいいようにやっていきたいです」。四球を選んだ際も余裕を感じました。「プロとアマのボールは違いますけど、余裕を持って見逃せたと思います。二塁打も追い込まれてから(2ストライクのあとボール3つで6球目を)打てたので、そこはすごくよかった」

1軍での戦いを意識して?「変な力みが出ず、冷静なプレーができたと思う。きょうは盗塁もしっかり相手の癖を見ていけたので。今までと違って、いい意味で気持ちに余裕がありました。それが悪く出るとか、逆にファームの雰囲気になじんでしまうことなくやっていければと」。最後に「高山、横田、打ちましたか?」と聞きます。やっぱり気になりますよねえ。しかもまた打っている…。それでへこむ緒方選手じゃありません!俄然やる気になっていました。

横山と松田、それぞれの“初”

今季初先発だった横山投手。「まだこれから調子は上がってくると思います」
今季初先発だった横山投手。「まだこれから調子は上がってくると思います」

続いて投手陣です。先発した横山投手は4回を投げて3安打無死点。「この前よりはよかったです。課題はたくさんあるので満足は全然していないですけど。まだまだ調子は上がってくると思います。しっかりやっていきたい」。課題はどんあところ?「真っすぐの質ですね。どうしても、しっくりこない。いい時はもっとスピンがきいてる。でも段階は踏んできたから、上げていければいいと思います」

松田投手は「ことし初めてでしたね、実戦登板。ケガあけでステップアップできたかなとは思いますけど、ケガで出遅れている部分があるので、そういうことも言っていられない。投げさせてもらえるなら公式戦で結果を出していきたい」と話しています。ここまで焦りはありましたよね?「ないわけじゃないけど、やることは変わらないので、それをしっかりやっていこうと一日一日を過ごしてきました」

右肩の状態は「ケガしないフォームにするのも大事ですし、真っすぐが僕の持ち味なので、それも良くなるようにしながら(ちょうどいいフォームを)探している感じですね」とのこと。

松田投手はまず第一歩。焦らないで、でも必ず1軍の戦力に戻ってください!
松田投手はまず第一歩。焦らないで、でも必ず1軍の戦力に戻ってください!

最後に久保投手コーチの談話です。横山投手について「前より少しは右肩上がりになっていますね。よくなっています。フォームが、というわけじゃないけど、腕が振れる場所、体重の移動とか基本的な部分をやろうとしてきた」と言います。最速で144キロが出ました。「前進ですね。いいことです。次は公式戦いきますよ」。既に中継ぎでは公式戦2試合に投げているので、これは先発でいきますよという意味だと勝手に解釈しました。

松田投手は「とりあえず出発したとこ!まだ次の駅まで行っていない。でも投げられるようになったから。あとは肩とか歪みがなければ、少しずつ入っていける。道のりは長かったですけどね。やっと出発したとこです」と、これからを強調した久保投手。はい、本人も周りも焦りは禁物ですね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事