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横田慎太郎選手が今季初のファームへ…「悔しさを持ってやります」《5/6 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
1人残った名古屋の地で巻き返しを誓う横田選手。ナゴヤ球場のウエスタン中日戦にて。

大虎が連続完封で2勝1敗と勝ち越して引き揚げた名古屋に、今度は小虎がやってきました。きょう6日からウエスタンの中日3連戦です。どんよりした空のナゴヤ球場に背番号24・横田慎太郎選手の姿が…。1軍本隊とともに帰阪せず、そのまま残ったのでしょう。俊介選手が昇格し、代わって横田選手が今季初の抹消となっています。試合には6番センターで、久しぶりのフル出場。ヒットや犠飛があったけれど…痛いエラーもしちゃいました。

金本監督がナゴヤ球場に?あら、桑田さんも?お2人のポーズにスタンドも大喜びです。
金本監督がナゴヤ球場に?あら、桑田さんも?お2人のポーズにスタンドも大喜びです。
お客様だけではありません。阪神ベンチも始球式に爆笑!
お客様だけではありません。阪神ベンチも始球式に爆笑!
それがこちら。マネモトさんが投げて…
それがこちら。マネモトさんが投げて…
ミニ大さんが打ちます。空振りして倒れるところまでキッチリ(笑)
ミニ大さんが打ちます。空振りして倒れるところまでキッチリ(笑)
みんな楽しそうに見ていました。最後は拍手喝采。
みんな楽しそうに見ていました。最後は拍手喝采。

ところで、試合前の阪神ベンチに見たことのある顔が。私も思わず二度見してしまいましたけど、筒井打撃コーチはかなり驚いていた様子で「めっちゃビックリしたよ~。えっ、なんでここに!?って」と試合後にも言っていた、その人とは…金本監督。ではなくて、おなじみの『マネモトさん』です。ちゃんとビジター用ユニホームを着て、立ち姿では身長が違うのでわかりますが、筒井コーチが見たのはベンチに座っているところ。それは確かに「え、なんでここに」となりますよね。

そのマネモトさんが始球式を行うとのことで、バッターとして紹介されたのは『小笠原ミニ大(みにひろ)さん』。中日の小笠原ファーム監督のそっくりさんですが、三塁側ベンチ横にいたのを目にしていながら気づきませんでした。監督だと思っていて。いや~ソックリ!そんなお2人の始球式に阪神ベンチも大ウケです。選手だけでなく、監督やコーチ、スタッフの皆さんも思いきり笑っていました。

なおマネモトさんと一緒にPL学園(ロゴはLP学園)のユニホームを着て、その胸元をギュッと握りながら“集中”していた桑田真澄さん…ならぬ『桑田ます似さん』の姿も。始球式に参加してほしかったですねえ。

7回降雨コールド、上本が決勝2ラン!

試合は3点を先取しながら、今季最長の5回を投げた先発・松田投手が、ラストの5回に古本選手の2ランと横田選手のエラーで3点を失って追いつかれます。しかし、雨が本降りとなった7回に上本選手の2ランで勝ち越し!7回が終わったところで雨脚が一気に強まり14時59分から中段に入ったのですが、延々と降り続いたことで内野に水も浮いてきたため15時03分に終了。降雨コールドゲームで阪神が勝ち、今季初の貯金2としました。

なお、きょう7日はグラウンドコンディション不良のため中止になりました。試合後もずっと降っていたので、数年前の改修で水はけがよくなったナゴヤ球場とはいえ、やはり無理だったのでしょう。きょうの先発予定は…秋山投手でした。雨男は返上、横山投手に譲っていたはずなんですけどね。残念です。

《ウエスタン公式戦》5月6日

中日-阪神 7回戦 (ナゴヤ)

阪神 001 200 2 = 5

中日 000 030 0 = 3 

※7回終了 降雨コールドゲーム

◆バッテリー

【阪神】松田-○金田(1勝)-S小嶋(1S) / 梅野

【中日】岩田(6回)-●山本(1敗)(1回) / 赤田

◆本塁打 古本1号2ラン(松田)、上本3号2ラン(山本)

◆三塁打 上本

◆二塁打 友永、荒木

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:緒方  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .277

2]三:荒木  (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .220

3]一:へイグ (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .406

4]二:上本  (4-2-2 / 0-0 / 0 / 0) .274

5]右:中谷  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .206

6]中:横田  (1-1-1 / 0-1 / 0 / 1) .250

7]捕:梅野  (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .238

8]遊:坂   (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .193

9]指:柴田  (3-1-0 / 0-0 / 1 / 0) .221

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

松田 5回 73球 (5-2-0 / 3-2 / 4.09) 146

金田 1回 15球 (0-0-0 / 0-0 / 5.14) 146

小嶋 1回 23球 (1-1-0 / 0-0 / 4.50) 139

試合経過

まず打線は1回、中日の岩田に対してヘイグが中前打するも無得点。2回は横田が中前打で1死一塁としますが梅野は遊ゴロ併殺打。3回に1死から柴田が中前打(ショートのジャンプは届かず後ろへポトリ)して2死後に二盗成功、さらに暴投で三塁へ進み、荒木の左中間へのタイムリー二塁打で生還しました。4回は先頭・上本が左中間三塁打を放ち、中谷の四球後に横田の左犠飛。続く梅野が右前打して1死一、三塁となり坂がバットを真っ二つに折られながらの中前タイムリー!

先発で今季最長の5回を投げた松田投手。
先発で今季最長の5回を投げた松田投手。
7回、2ランの上本選手とヘイグ選手を迎える阪神ベンチ。
7回、2ランの上本選手とヘイグ選手を迎える阪神ベンチ。
雨が強くなって中断したナゴヤ球場。
雨が強くなって中断したナゴヤ球場。
15時03分にゲームセット。もうこんなに水が浮いています。
15時03分にゲームセット。もうこんなに水が浮いています。

先発の松田は1回が石川の右前打のみ、2回は三者凡退、3回は2死から友永に右中間二塁打を許したものの得点を与えず。4回は再び三者凡退でした。ところが3点のリードをもらったあとの5回裏、先頭の近藤を右前打で出し、次の古本に6球目の真っすぐをライトへ…。ライナーで飛びこむ2ランで1点差になりました。阿部の右前打などで2死一塁としながら、石川が放った打球に前進した横田が捕球エラー。一塁から阿部を還して同点。これで石川も三塁へ進みましたが、勝ち越しは免れます。

6回は横田の四球、梅野の死球があっただけで、その裏は金田が三者凡退に切って取り、3対3のまま迎えた7回。中日2人目の山本から緒方が四球を選び、荒木の一ゴロで1死一塁、その荒木も盗塁を刺されて2死ランナーなしになったのですが、ここでヘイグが相手エラーを誘う二ゴロ、続く上本がレフトへホームラン!2点を勝ち越します。7回裏は小嶋が登板して代打・松井佑の左前打を許しながらも後続を断ち無失点。

最初にも書いた通り、ここで雨が激しくなって中断。そのまま7回終了で降雨コールドゲームとなっています。今季は、貯金が1つ出来たら負け、出来たら負けの繰り返しでなかなか増やせませんでしたが、34試合目にして初の貯金2!まあ借金が膨らむこともなかったので、健全な状態ですね。なお、この時点で首位・中日と2位・阪神のゲーム差は3.0になりました。

「本当の横田にならなきゃね」

では最初に掛布監督の談話をご紹介します。試合前の練習中、横田選手にどんな話を?「トップの位置ですね。下半身の、足はいいんだよ。トップを作ることの大切さをね。今、時間があるので6番という形でじっくりやらせられる。当て逃げのゴロとかは絶対するなよ!と言っている」。試合を振り返って「1打席目(中前打)のバッティングは“張り”が作れていた。思ったより悪くはなかったよ」と話しています。

今後はどんな風に?「中谷と横田を5番、6番で固定して使っていく。長打力もあるし。横田は1軍に行って、打順も2番でスタートした。難しい打順なので、転がすことをしていたと思う。そういう意味では本当の横田にならなきゃね。金本監督がトリプルスリーもできる素材と言っていたわけだし。じっくりと一回、積み木をばらして、また積み上げていく。一番難しいのは手だからね。弓を張る状態が作れていなかった。時間はかかると思うけど」

それから、一時は同点に追いつかれるエラーがありましたが、次の打席では四球を選んだ横田選手に「そこは1軍にいた経験でうまく切り替えられていたと思う」と掛布監督は言います。また「松田は休ませながらね。連投というのではなく、きっちりとケアをしながらやっていく。上本は(7回のホームランで)仕留めてくれた。4番の仕事だね!」というコメントでした。

横田、再挑戦の時に備えて

ここでエネルギーをいっぱい補給して、また戦いの場へ出ていきましょう!
ここでエネルギーをいっぱい補給して、また戦いの場へ出ていきましょう!

横田選手は、まったく笑顔のないままです。上本選手が打ってくれて勝ったけれど、あのエラーは身に染みたのでしょう。掛布監督も「当たり前や~あんなエラーして」と繰り返します。雨で芝生が滑ったのでは?と聞かれて、横田選手は「いえ、普通のエラーです」とひとことだけ。そのあと四球で出塁したのは1軍の経験と掛布監督が言っていましたよ。「切り替えてやったので」

そして今回の登録抹消には「残れなくて…。競争に負けたんで、悔しさを持ってこっちでしっかりやります」と言葉を絞り出しました。大丈夫!横田くんが乗り越えられると思うからこそ、金本監督も掛布監督も時間を作ってくれたんですよ。焦らず、じっくりと、今度上がったら二度と戻らないくらいの力を蓄えてください。

上本選手は三塁打と2ランを放ったものの「調子はよくないですけど、ホームランが出てよかったです」と、やはり控えめな返事でしたね。監督が“4番の仕事”と。「これまで足を引っ張ってきたので、きょうはきょうでよかったんですけど、あしたはあしたで頑張ります」

今季最長の5回、収穫も反省も

松田投手は先日から、こんな感じでワインドアップに。
松田投手は先日から、こんな感じでワインドアップに。

最後は松田投手です。ことしは3イニングが最長で「長いイニング、5回は初めてですね」とのこと。そのあと続けて「最後まで0で抑えられなかったけど、その中で良いこともありました」と言います。それはどんなところ?「真っすぐ自体はよくなっていると思います。だけど反省することもある。しっかり修正して、もっと長い回を投げられるようにしたいですね」

4回まで危なげなかったのに、5回になって急に球速も落ちて捉えられましたね。「勝ちを意識して力んだ分、そうなったのかもしれません。単に力がなかったというのもある。次は失敗しないようにしたいです。でも次につながるようなピッチングにはなったと思います。反省を次の登板で生かしたい」。球速に手応えは?「何キロ出てました?」。146キロが2球だと答えると黙ってうなずいたので、もっと出る?と聞いたら「はい」と。楽しみにしています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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