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BCリーグ・富山戦 望月が5回2安打1失点で“プロ初勝利”《5/28 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合終了時にスタンドからの声援に応える掛布監督。富山でも大人気です。

今週末の阪神ファームは北陸遠征。ルートインBCリーグとの交流試合です。阪神にとっては交流試合でも、昨年は4月のリーグ開幕時に富山と福井で試合を行ったのと同じく、BCリーグ側には公式戦の一部となっています。まず、きのう28日は富山県高岡市のボールパーク高岡で富山GRNサンダーバーズと対戦。先取点を許しながら、中盤に逆転して勝ちました。先発した望月投手はプロ最長の5回を投げ、2安打1失点の好投です。

始球式のボールを空振りする掛布監督(右)、キャッチャー役の富山・吉岡雄二監督。
始球式のボールを空振りする掛布監督(右)、キャッチャー役の富山・吉岡雄二監督。

なおプレーボールに先だっての始球式では、掛布監督が打者、富山の吉岡雄二監督(もと巨人、近鉄など)が捕手を務めてスタンドからは拍手喝采!これについて試合後、地元テレビ局のインタビューを受けた掛布監督は「久しぶりに左のバッターボックスに入りました。現役の頃を思い出しますね。タイガースファンも声援を送ってくれて、背中で現役時代を感じるバッターボックスだった」と振り返りました。

《交流試合》5月28日

富山- 阪神 (高岡)

阪神 000 003 201 = 6

富山 000 100 002 = 3

◆バッテリー

【阪神】望月-伊藤和-トラヴィス / 梅野

【富山】佐藤(6回)-竹林(1回)-コラレス(1回)-押谷(1回) / 沢田-橋爪(9回表)

◆二塁打 富山:野原、大上戸

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:伊藤隼 (5-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]指:柴田  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

〃打指:緒方 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]左:江越  (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

〃打一:荒木 (1-0-0 / 1-1 / 1 / 0)

4]右:横田  (4-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

5]三:陽川  (3-2-1 / 0-0 / 0 / 0)

〃打三:森越 (2-1-2 / 0-0 / 0 / 0)

6]一左:中谷 (4-2-2 / 1-0 / 0 / 1)

7]二:西田  (5-2-1 / 1-0 / 0 / 0)

8]捕:梅野  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

9]遊:植田  (4-0-0 / 0-0 / 1 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

望月  5回 53球 (2-1-1 / 1-1) 147

伊藤和 3回 39球 (3-4-0 / 0-0) 142

トラ  1回 17球 (2-1-1 / 2-1) 143

試合経過

陽川選手は6回無死満塁で同点タイムリー。
陽川選手は6回無死満塁で同点タイムリー。
2回、望月投手からライト線に二塁打を放った富山の野原祐也選手。
2回、望月投手からライト線に二塁打を放った富山の野原祐也選手。
6回は陽川選手のタイムリー、中谷選手の犠飛に続いて西田選手が投ゴロで1点追加。
6回は陽川選手のタイムリー、中谷選手の犠飛に続いて西田選手が投ゴロで1点追加。

まず阪神打線は富山の佐藤に対して、1回に柴田、江越が連続三者を喫するなど三者凡退。2回は横田、中谷、西田にヒットが出たものの、牽制死や走塁死などがあり無得点。3回は相手エラーと伊藤隼の中前打などで2死一、三塁と攻めますが還れず。4回は陽川の左前打のみ。5回にも相手エラーで先頭を出しながら後続を断たれ、やはり得点はありません。

一方の望月は、1回が内野ゴロ3つで三者凡退!2回は先頭の4番・野原に右翼線二塁打を許しましたが、次の望月は144キロの真っすぐで見逃し三振、バルデス、高山も打ち取って無失点。3回はわずか5球で三者凡退!

しかし4回、先頭の中村に死球を与え、続く3番・大上戸に右前打されて無死一、三塁で野原が二ゴロ併殺打、その間に1点を先制されます。とはいえ次は三ゴロ、プロ初の5回も、二ゴロ、遊ゴロ、右飛の三者凡退!ベンチに戻る際、野手陣に声をかけられて飛び上がるような仕草。笑顔が弾けました。

すると打線は6回、先頭の柴田が左前打、江越は投ゴロですがピッチャーの二塁送球エラー、さらに横田が四球を選んで無死満塁!まず陽川の右前タイムリーで追いつきます。なおも無死満塁、続く中谷が勝ち越しの右犠飛、横田は三塁へ進み、西田の投ゴロで生還!この回3点を取り逆転です。

先発の望月投手。この日も1回に147キロをマークしました。
先発の望月投手。この日も1回に147キロをマークしました。
2人目の伊藤和投手。2回を投げて無失点でした。
2人目の伊藤和投手。2回を投げて無失点でした。
9回投げたトラヴィス投手が2点を失っています。
9回投げたトラヴィス投手が2点を失っています。

7回には伊藤隼が右前打、代打・緒方はサード内野安打などで2死二、三塁とし、代打・森越が左前タイムリー!2人を還して5対1とリードを広げました。8回は西田のショート内野安打と梅野の左前打などでチャンスを作るも追加点なし。

阪神のリリーフ陣は6回から伊藤和が登板し、6回と7回は計3奪三振などでパーフェクト!8回は3安打を許して2死満塁のピンチを招きながらも0点に抑えています。

5対1のまま迎えた9回の攻撃は、先頭の荒木が四球を選んで1死後に盗塁成功。森越の右飛で三塁へ進み、続く中谷の左前タイムリーで1点を追加しました。

その裏はトラヴィス。いきなり先頭の大上戸に左越え二塁打を浴び、石突への初球を梅野が捕逸、石突はストレートの四球で無死一、三塁となります。1死を取ったものの、バルデスの右前タイムリーで1点返されて、なおも1死一、三塁。2死後に暴投でもう1点を許し、それでも最後は空振り三振で締めて試合終了です。

初の5イニングで勝ちがついた望月

プロ最長の5回を投げて2安打1失点だった望月投手。全体を振り返って「真っすぐで空振りが全然取れなかった。空振り三振もなかったし、そういうのがちょっと…。試合前に、きょうはストレートのキレとかを意識しようと臨んだけど、そこが全然できていませんでした。ストレートのキレがあんまりよくなかったし、空振りを取れなかったんで」と、あまり納得していない様子です。

それでも許したヒットは2本だけでしたね。「変化球も、きょうは右の上に抜けないよう意識していたけど、デッドボールは抜けちゃいました。そういうのも課題ですね。デッドボールから始まって点を取られているんで、先頭の入りを意識しないと」。やっぱり反省の言葉が出てきますが「1回はチェンジアップがワンバウンドしましたが、3回はチェンジアップでゴロも打たせられたし、ファウルもあった。修正できたのでよかった。もっと練習していこうと思います」と収穫も。

試合前の練習中、先輩方に交じって汗を流す望月投手。
試合前の練習中、先輩方に交じって汗を流す望月投手。

プロ最長の5イニング、スタミナは?「周りの人から4回も5回はスピードが落ちたと言われました。練習で量を投げていくしかないですね」。次はおそらく、公式戦での5イニングになるかと。さらに力が必要ですね。「はい!スタミナ、スライダーの投げ分けなど、課題が見つかりました」。次回の登板も楽しみにしています。

夏場のローテ入りを目指して

掛布監督は「53球?球数少なく5回を投げた。次が楽しみですね。先発して5回1失点とゲームを作った。彼にとって次のステップにつながる。投げ終わったあとも疲れはないと言っていたよ。もう公式戦で投げさせる時期かなと思う。次の準備ですよね。もう1つ階段を上がるんじゃない?」と話しました。公式戦の先発が中止で流れた時は、まだ5回の予定ではなかった?「そう。あれは3回までのつもりだったからね。次は公式戦でも5回投げさせると思う」

ファームの先発ローテーションに入ってというのは「夏場じゃないの?そんな焦る必要もないでしょう。球団と話し合いながら、ある程度の間隔をあけて、投げる量も久保コーチが考えているでしょ。次の登板も久保コーチの中では決まっていると思います」と掛布監督。じっくり待たせていただきます!

なお富山の先発・佐藤投手について、地元紙の記者に聞かれた掛布監督は「ボールを持つうまさがあるよね。間を作るのがうまい。ランナーが出ると、いい間を持ってなげてくる。うちのバッターもタイミング取り辛かったと思いますよ。バッターと勝負する術、自分の中でいい間を持っていますね」というコメントでした。

伊藤和、陽川、そして野原

6回から登板した伊藤和投手は、2イニングが完璧だったのに3イニング目で満塁のピンチ。どうしたのかな?と聞いたら「ちょっとバテてしまったような…」と苦笑い。でも結局、1人も還さずに投げ終えましたね。「そうですね。粘れたのでよかったです」。真っすぐで三振も取れたし、カーブの曲がりも素晴らしかった!「いい球が増えてきたので、しっかり続けられるように頑張ります!」

「結果も内容もこだわっていきたい」と話す陽川選手。
「結果も内容もこだわっていきたい」と話す陽川選手。

続いて、6回に同点タイムリーを放った陽川選手。ファームに来てから約1週間が経ち「結果にはこだわっていますし、内容も意識してやっています」とのこと。きのうは「満塁のチャンスで回ってきた時に、真っすぐに立ち遅れはしたけど、その後すぎに修正して対応できたから、よかったと思います。追い込まれていたので」と振り返りました。

「掛布監督からは、バッティングについて特に言われるのではなく、基本的なことですね。こうバシッと」。鋭くコンパクトに?「そうです」。なるほど。

最後に富山で兼任コーチを務めている野原祐也選手に、望月投手のことを聞いてみました。2回に放った右翼線二塁打は真っすぐを打ったものです。「いい球投げていますよ~。さすがBCリーグとは違う。スピードもあって。高卒でしょう?。楽しみですねえ」とお褒めの言葉。なお野原選手自身の話は、後日改めてご紹介しますので、お待ちください。

きょう29日は福井フェニックススタジアムで、ルートインBCリーグの福井ミラクルエレファンツとの対戦。ドリス投手が先発して1イニングを三者凡退に斬って取りました。その後は、本来はきょう先発予定だった歳内投手が投げています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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