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坂本がプロ1号!陽川、横田は二塁打の競演!ソフトバンクと引き分け《7/8 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
2試合連続スタメンマスクの坂本選手。8日はソロとタイムリーで2-2-2でした。

きょうは天気予報通り午前中は雨で、鳴尾浜のウエスタン・ソフトバンク戦が中止になりました。午後からは回復して、甲子園の1軍・広島戦は問題なく行われています。ファームは毎年この時期、フレッシュオールスター前の変則日程で月曜日にも試合が組まれているため8連戦だったんですけど、ちょっと一息。残りは3試合です。

きのう8日は雨が強くなる中で最後まで、しかも延長10回まで試合が行われました。初回先頭打者ホームランで先制されると、坂本選手がプロ1号でお返し。秋山投手が4回にエラー絡みで4点を失い、リリーフ陣もソロ2本を浴びますが、こちらは5回以降だけで計6本の二塁打を放つなど、追いついて引き分け。その勢いで勝ち越すか、サヨナラ勝ちだったら、なおよかったんですけどね。

なお、この試合でもタイムリーを放ち6試合連続打点となった緒方選手が、きょう1軍に昇格しています。6回に代打で登場しましたが、併殺打でした。残念!それにしてもカープはよく打ちますねえ…。誰もかれも。

では気を取り直して、8日の試合結果です。

《ウエスタン公式戦》7月8日

阪神-ソフトバンク 17回戦 (鳴尾浜)

ソフ 100 401 100 0= 7

阪神 001 013 200 0= 7

※延長10回 引き分け

◆バッテリー

【阪神】秋山-伊藤和‐二神-筒井‐福原‐山本-鶴-小嶋 / 坂本-清水(6回~)-小豆畑(9回~)

【ソフ】笠原(5回2/3)-巽(1/3回)-加治屋(1回)-嘉弥真(2回)-星野(2回) / 斐紹

◆本塁打 福田2号ソロ(秋山)、坂本1号ソロ(笠原)、真砂4号ソロ(伊藤和)、カニザレス7号ソロ(二神)

◆二塁打 福田2、阪本、陽川3、横田2

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]右:俊介  (5-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .284

2]遊:森越  (5-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .227

3]三:陽川  (5-3-1 / 0-0 / 0 / 0) .325

〃走:柴田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .258

〃三:坂   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .163

4]中:横田  (5-3-2 / 2-0 / 0 / 0) .328

5]一:新井  (5-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .286

6]指:ペレス (3-1-0 / 2-2 / 0 / 0) .309

7]左:緒方  (5-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .262

8]捕:坂本  (2-2-2 / 0-0 / 0 / 0) .293

〃捕:清水  (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .357

〃走:植田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .075

〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

〃打:今成  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .400

9]二:板山  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 1) .224

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山  5回 91球 (6-3-3 / 5-1 / 2.11) 144

伊藤和 1回 18球 (1-1-0 / 1-1 / 8.68) 143

二神  1回 20球 (1-1-1 / 1-1 / 1.35) 141

筒井 1.0回 15球 (1-2-0 / 0-0 / 2.96) 140

福原 0.2回 6球 (0-1-0 / 0-0 / 5.40) 142

山本 0.0回 8球 (0-0-2 / 0-0 / 1.57) 140

鶴  0.1回 2球 (0-0-0 / 0-0 / 1.93) 144

小嶋  1回 12球 (0-2-0 / 0-0 / 4.86) 144

試合経過

先発の秋山は1回、福田の先頭打者ホームランで1点を失うも以降を抑え、2回は2死からの1安打のみ、3回は2奪三振の三者凡退でした。一方、ソフトバンク・笠原の前に2回まで完璧に抑えられていた打線ですが、3回に坂本が1号ソロを放って追いつきます。

ところが4回は秋山が先頭に四球を与え、1死後に釜元の左前打、塚田は二ゴロエラーで満塁。続く高田の三ゴロで江川を本塁封殺、2死となって8番・真砂に左前タイムリー(記録はヒットながら…三遊間の打球がサード陽川のグラブの下を抜けていったもの)を許します。これで2点を勝ち越され、斐紹への四球で再び満塁となって福田の左越えタイムリー二塁打でもう2点。5対1とリードを広げられました。

阪神は5回にペレスが右前打し、1死後に坂本がセンターのフェンスを直撃するタイムリー二塁打で1点返すも、6回は伊藤和が真砂にソロを浴びて6対2と4点差は変わらず。しかしその裏、1死から陽川が左中間へ二塁打を放つと次の横田も左中間へ二塁打!これで1点を返し、2死後にペレスが四球を選んで一、二塁。続く緒方が中前タイムリー!そしてセンターのエラーでペレスも還り、6対5と1点差に迫ります。

7回は二神が2死を取ってから江川にソロホームランを許しましたが、その裏は先頭の俊介の四球などで1死二塁として、陽川がまたも左中間へタイムリー二塁打!さらに横田も負けじと今度はライトフェンス直撃のタイムリー二塁打!これでついに7対7の同点です。

8回は筒井が三者凡退に切って取り、9回に先頭の福田の右中間二塁打を浴びたところで降板。代わった福原が犠打と三振で2死三塁として交代。次は山本が代打・川島を敬遠、盗塁を許したあと釜元への四球で満塁。ここで鶴が登板して塚田を二ゴロに打ち取って三者残塁。

打線は8回、先頭の清水が中前打し、板山の犠打で1死二塁としますが後続を断たれて無得点。9回は陽川が3打席連続の左中間二塁打、横田は右前打で無死一、三塁とチャンスを広げ、陽川に代走・柴田も送られてサヨナラのお膳立ては整いました。でも…新井は右飛、ペレスは三振、先ほどのタイムリーで6試合連続打点となった強い緒方も三振で得点なし。

延長10回は小嶋が2三振を奪って三者凡退。その裏は星野の前にこちらも三者凡退で、7対7の引き分けでした。

いい面、悪い面が出て引き分け

掛布監督は、よく追いついた、でも追い越せなかった試合を振り返り「あれで勝ちきれないのがねえ」とため息。「点を取ったあとにホームランを打たれる。防げる点を与えた。取ったあとに必ず取られているでしょう?そこに“ゼロ”があれば、展開も変わっていたはず。まあ野球ってそんなもんだろうね」

6日のナゴヤ球場で素振りをする陽川選手。この日もタイムリー二塁打がありました。
6日のナゴヤ球場で素振りをする陽川選手。この日もタイムリー二塁打がありました。

3番の陽川選手、4番の横田選手ともに2試合連続の3安打。しかも2試合で2人合わせて7本の二塁打と当たっています。しかし掛布監督は「陽川は4回2アウト満塁で、三遊間の打球を捕れなかった(記録は真砂選手の2点タイムリー)。難しい当たりではあるけど、信頼を失うプレーなんだよなぁ」と、守備に苦言を呈しました。

例えば4番を打っていたとして「4番は4番の信頼を持って打席に入らないといけない。ミスはするものだけど、守っている時に納得できるミスであってほしい。なんかこう、弱いでしょう?でも(打席で)ああやって自分のミスを取り返したので、それがまた信頼につながる」と掛布監督。

「ピッチャーも野手も、反省すべき点の多いゲームだった。そしてお互い何かを取り戻そうというゲーム。点を取ったあとゼロに抑えられなくて、バッターもチャンスをもらって決め切れない。小嶋が最後を締めくくってくれたけど。いい面、悪い面の両方が出た。その結果が引き分けということでしょうね」

そしてホームランとタイムリー二塁打の坂本選手について「坂本はバッティングがよくなってきてる。小力(こぢから)もあるしね。金本監督もだけど、僕もバッティングが悪いとは思っていない。体がレベルに振れるようになってきたから、ボールとバットが当たった時にミスが少ない。いい状態だと思いますよ。あのホームラン、完璧だったもんねえ!左足の使い方で肩が開くこともあって、まだまだこれから。ただティーバッティングでも打てるようになっているし、きっかけはつかめそうだね」と、期待のこもった言葉です。

監督の「いってこい!」に応えたプロ1号

では坂本選手のコメントをご紹介します。プロ初ホームランについては「掛布監督から、いけ!って言われた」そうです。狙って打ってこいってこと?「そうですね。バッティングの感じが悪くないので、いってこい!と(笑)」。いや~監督も、本当に打ってきて嬉しかったでしょう。それだけの根拠があって、ハッパをかけたんですもんね。

「打ったのは真っすぐです。カウント3-1まで4球とも変化球だった。真っすぐのキレもあるので、差し込まれることだけは避けたいと。初回に先頭打者ホームランを打たれて、早く返したいと思っていました。1打席目で打ててよかったですね」とホッとした様子。次の打席では初球を打ってのタイムリー二塁打。「カットボールか小さいスライダー。つまりたくないから、早めにタイミングを取っていったんです」

6月12日のファーム交流試合・巨人戦(甲子園)にて。
6月12日のファーム交流試合・巨人戦(甲子園)にて。

掛布監督がいう左足の使い方は「左ひざを柔らかく使わないと、いろんな球に対応できないと。僕のクセをわかった上で、そう言っていただいていると思います。そこを意識して状態がよくなっているので続けていきたい」とのこと。

長打も増えてきたのでは?「そうですね。自分の思ったところで捉えられているのが一番かなと思います」。金本監督も掛布監督もバッティングがいいという評価なので、そこをアピールする気持ちは?「全然ないです。どっちもですけど、基本は守備で。(相手に)点をやらなきゃ負けないわけですし、その中で打てるに越したことはないので。最近、打つ方がよくなって、でも点を取られることも多い。そこはしっかりやらないと」

なるほど。まず失点しないように、もし与えてしまったら打って取り返す。そういうことですね。「はい。自分でホームランやタイムリーで点を挙げるのもいいんですが、そうでなくても自分が打ったことで(次につないで)貢献したいと思っています。点を取られないのが一番ですけど」。あくまで『守』があっての『攻』だという坂本選手でした。

もっともっと上を目指す“YY”コンビ

陽川選手は最初の2打席とも左飛に打ち取られていたのですが、そのあと3打席連続の二塁打。ただし「きょうは守備でピッチャーに迷惑をかけてしまったんで…残りの打席はチャンスで回ってきたら何とか還したいという気持ちでした」と、4回の守備を悔やみます。難しい当たりだったと言われても「あれを捕らないと1軍ではできないと思うので」と首を振りました。

2試合続けて3安打という結果ですが「まだ3月、4月に比べると、そこまでの状態ではないと自分では思っています」と陽川選手。後半戦を1軍で過ごせるよう、まずはオールスター前の残り3試合で全部打っておきましょう。

打撃好調の横田選手。でも「まだまだ」と言います。写真は7日のナゴヤ球場。
打撃好調の横田選手。でも「まだまだ」と言います。写真は7日のナゴヤ球場。

その陽川選手に続いて二塁打2本と右前打を放った横田選手。7日の中日戦では4番・横田選手、5番・陽川選手でしたが、1回に連続二塁打を放って得点したし、きのう8日も6回と7回に2人の連続二塁打で点が入っています。9回に陽川選手が二塁打を打ったので、よし自分も!と考えたか尋ねたら「いえ。チャンスだったので還したいなと思っただけです」とオトナの返事。

7回に出た2本目の二塁打はライトフェンスを直撃する当たりでした。「高めを意識して、浮いてきたのをうまく捉えられてよかった」。現在5試合連続安打中で、その間は24打数13安打4打点、打率が.542です。ところが「まだそんな信じてない。長く続けられるように練習します」という横田選手。1軍を経験したからこそ、まだまだ足りないと思えるのでしょうね。そんな“YYコンビ”が甲子園で暴れる夏、秋を期待しています!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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