Yahoo!ニュース

陽川が2日連続の3ラン、桑原は10試合連続で完璧リリーフ!《8/28 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合後の野球教室で子どもたちの話に笑顔の(左から)新井選手、荒木選手、陽川選手。

28日のウエスタン・阪神-広島戦は兵庫県のウインク球場(姫路市立姫路球場)で行われました。2年間かけて改修され、2014年にリニューアルオープンした姫路球場。その年の8月は中日戦で横田選手が3本塁打したことは記憶に新しいしょう。そして、急きょ1軍昇格となった歳内投手に代わって先発した島本投手がプロ初勝利!秋に支配下登録される、きっかけと言ってもいいアピールでしたね。また昨年8月の広島戦では西田選手がシーズン1号を放っています。

そんな2014年、2015年の姫路球場開催ゲームについては、こちらからご覧ください。

★2014年→<横田慎太郎選手がリーグ11年ぶり、チーム17年ぶりの1試合3本塁打!>

★2015年→<姫路で初の広島戦、秋山が好投して西田は今季1号を放つも敗戦>

ことしは5661人というお客様が詰めかけ、試合後には姫路市内の少年野球7チームから約60人の子どもたちが参加して野球教室もあったのですが、ただ試合が長かった!リードしながら、またしても…。この3連戦はすべて終盤に追い上げられるパターンで、鳴尾浜での2試合は1点差で逃げ切ったものの、28日は8回と9回で追いつかれ引き分け。試合時間は4時間2分、両チームとも13安打で7得点です。

試合終了後、テレビ中継でインタビューを受ける掛布監督。
試合終了後、テレビ中継でインタビューを受ける掛布監督。

試合後のテレビインタビューで掛布監督は、姫路球場について聞かれ「阪急ブレーブスとのオープン戦で何試合か来たことがあるけど、きれいになっていてビックリしました。勝つゲームをしたかったですねえ。お客さんに申し訳ない」と話しています。そうそう、1軍のオープン戦が行われていた記憶はあります。というか、見に行っていました。そんな姫路でも、やはり掛布監督が一番人気だったのは言うまでもありません。

《ウエスタン公式戦》8月28日

阪神-広島 22回戦 (姫路)

広島 001 120 021 = 7

阪神 003 211 000 = 7

※9回引き分け

◆バッテリー

【阪神】歳内-山本-伊藤和-小嶋-桑原-鶴-高宮 / 岡崎-小宮山(8回~)

【広島】塹江(5回)-小野(1回)-デラバー(1回)-オスカル(1回)-飯田(1回) / 中村亘-白濱(8回~)

◆本塁打 陽川10号3ラン(塹江)

◆二塁打 中村亘、小窪、横田、バティスタ、ルナ

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]右:伊藤隼 (6-3-1 / 1-0 / 0 / 0) .310

2]二一:荒木 (5-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .270

3]三:陽川  (5-2-3 / 1-0 / 0 / 0) .290

4]中:横田  (5-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .283

5]一:新井  (3-1-0 / 2-1 / 0 / 0) .301

〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 1) .244

6]指:梅野  (3-1-0 / 0-2 / 1 / 0) .218

7]左:俊介  (3-3-0 / 0-1 / 0 / 0) .257

8]捕:岡崎  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .118

〃打二:板山 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .225

9]遊:植田  (4-1-0 / 2-1 / 1 / 0) .143

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

歳内 3.1回 49球 (4-1-0 / 2-2 / 5.17) 141

山本 0.2回 11球 (1-2-0 / 0-0 / 2.25) 133

伊藤 0.2回 20球 (3-1-0 / 2-2 / 8.55) 140

小嶋 0.1回 11球 (0-0-1 / 0-0 / 3.41) 136

桑原  2回 21球 (0-3-0 / 0-0 / 2.89) 148

鶴   1回 29球 (2-0-3 / 2-2 / 2.52) 146

高宮  1回 21球 (3-3-0 / 1-0 / 3.94) 137

試合経過

歳内投手。一巡目はしっかり抑えました。
歳内投手。一巡目はしっかり抑えました。
3回に陽川選手が2日連続となる3ラン!
3回に陽川選手が2日連続となる3ラン!
ホームインして伊藤隼選手とタッチ。
ホームインして伊藤隼選手とタッチ。
ついで植田選手とも両手を合わせます。
ついで植田選手とも両手を合わせます。
掛布監督や、みんなに迎えられる陽川選手。
掛布監督や、みんなに迎えられる陽川選手。

先発の歳内は1回、2回とも三者凡退の立ち上がり。3回も簡単に2死を取ったのですが、9番・中村亘に中前打(横田が打球を見失ったか?少しスタートが遅れ、飛び込んで捕れず)、続く小窪に左中間へのタイムリー二塁打。先に1点を失います。しかしその裏、先頭の植田が左前打して盗塁も決め、伊藤隼の中前打で無死一、二塁。1死後に陽川が右中間へ3ラン!3対1と逆転しました。

4回は歳内が2安打され1死一、三塁となったところで交代。次の山本は6番・土生に右前タイムリーを許したものの、その後は連続三振を奪って最少失点にとどめると、直後に打線がまた追加点!梅野の四球と俊介の左前打、さらに梅野が盗塁成功で無死一、三塁。1死後に植田は四球を選んで満塁とし、伊藤隼の遊ゴロで1点。続く荒木の左前タイムリー。5対2とまたリードを広げます。

ところが5回、伊藤和は1死から小窪と野間の連打で一、二塁。2死後に4番・ルナの左前タイムリーを浴びて降板。代わった小嶋は岩本に四球を与え、2死一、三塁となり、土生への初球が暴投…三塁から野間を還して1点差に詰め寄られました。打線はその裏、1死から新井が死球、梅野と俊介が連打して満塁と攻め、岡崎への3球目が暴投。1点を加えて6対4。両チームとも同じような攻撃、似たような守備をしていますねえ。

7投手のうち唯一、ランナーを出さなかった桑原投手。
7投手のうち唯一、ランナーを出さなかった桑原投手。
7回にバントをする俊介選手。ボールが来て…
7回にバントをする俊介選手。ボールが来て…
目の前のバットに当たって、打球が飛ぶところ。
目の前のバットに当たって、打球が飛ぶところ。
9回の高宮投手。同点とされるも3連続三振締め。
9回の高宮投手。同点とされるも3連続三振締め。
見逃し三振で終了…肩を落とす伊藤隼選手。
見逃し三振で終了…肩を落とす伊藤隼選手。

6回は絶好調の桑原が登板。セカンド・荒木の好守備もあり、下位打線とはいえ7球で三者凡退に切って取ります。その裏、伊藤隼の右前打などで2死一塁から横田が左中間フェンス直撃のタイムリー二塁打!7対4と、ほんの少しですが余裕の持てる点差になりました。7回も続投の桑原は、小窪から見逃し三振を奪うなど三者凡退。この日もパーフェクトリリーフです。

しかし、この3連戦恒例の終盤追い上げパターンが、またありました。8回は鶴と小宮山のバッテリーに代わり、ルナと岩本に連続四球を与えてバティスタの左翼線タイムリー二塁打。2人を還して1点差です。9回は高宮が野間の左前打と盗塁、刺そうとした小宮山の送球エラーで三塁まで進め、続く下水流の右前タイムリーでついに同点(自責点はなし)。ルナにも二塁打され無死二、三塁とした高宮ですが、ここから代打・メヒア、バティスタ、桑原を3者連続三振に仕留めて勝ち越しは許しません。

一方、7回は2四球、8回は陽川の中前打と1四球で走者を出しながら得点のなかった打線は9回、先頭の俊介が四球を選んで板山の犠打で二塁へ。植田は空振り三振で2死となるも、伊藤隼のところで暴投があり2死三塁。サヨナラの期待が高まる中、伊藤隼はフルカウントからの6球目を見逃して…球審のコールは「ストライク!」。7対7の引き分けで終わりました。

納得させる“数字で”再昇格を

掛布監督は試合後、地元ケーブルテレビ局のインタビューを受けました。これは中継の解説をされていた黒田正宏さんとの掛け合いで、放送にも流れたと思います。「ピッチャー陣は、イニングの先頭の入り方に課題を感じた。打つ方は、ここ最近は打線が上り調子なんですが、ここで勝たないと厳しくなる。打者の気持ちの強さを感じられなかったので、そういうのを出してほしい」

それから陽川選手について「上げた軸足が、うまく体を支えられていなかったのが、右足の粘りが出て上体を支えられるようになってきた。軸足がぶれなくなって粘りが出てきた。ボールを長く見る間ができつつある。あとは見極めが課題なんだけど、長いのが出るのが彼の持ち味。右で長距離は1軍も欲しいだろうし」とのこと。

野球教室で新井選手の熱血指導に笑う陽川選手(右)。荒木選手、笑いすぎ…
野球教室で新井選手の熱血指導に笑う陽川選手(右)。荒木選手、笑いすぎ…

あまりに短い滞在期間だった前回の昇格も踏まえて「今度は、数字で(1軍に)行かないと。形はよくなってきているし、自分でも意識していると思うよ。体が止まるようになってる。数字を残していかないとね。ホームランの数も打点もついてくるし。それで上の首脳陣を納得させて上がれる。数字を残さないといけない」と“数字”という言葉を繰り返す掛布監督です。

では、5打数2安打3打点の陽川選手本人のコメントをご紹介します。連日の3ラン、第10号は塹江投手の初球(1497キロの真っすぐ)を打ったもの。「チャンスでもあったし、ピッチャーは真っすぐが多かったので、初球からどんどん振っていこうと思っていました。いい結果になってよかったです」。監督の、軸足の粘りが出てきたという言葉に「そこを意識しています。しっかり続けたい。1試合1試合、切り替えてやっていきます」と気合いを入れ直しました。

「一戦一戦、投げていくだけ」

久保投手コーチには歳内投手のことを聞きました。4回途中での交代は「ボールが上ずってきたから、ということで。もう少し行かせたかったけど」だそうです。課題として「基本的なところ、つまり『下のラインを揃え、そして高めを使う』というところでしょう。140キロ台のピッチャーにとって、そこをやっていかないと」と低めへの投球が重要という分析でした。

そのあと「桑原、よかったですね!しっかり抑えてくれているでしょう?」と久保コーチ。その桑原投手は直前の記事でも書いたように、8月は登板した試合すべてで無安打、無四球、無失点です。1試合だけ1/3回があり、他はみんな1イニング。そして28日は今季初のイニングまたぎとなりました。2イニング目に入った時は少しドキドキしたものの、安定感は変わりませんね。

少年のピッチングを見つめる桑原投手。どんなアドバイスをしたのかなあ。
少年のピッチングを見つめる桑原投手。どんなアドバイスをしたのかなあ。

ことしは6月に結果が出ない試合もあり、7月10日のソフトバンク戦では1イニングで6安打3失点と打ち込まれた桑原投手。そのあと登板がなく、次が8月4日のオリックス戦でした。そこから28日まで10試合(10回1/3)続けて、見事なパーフェクトリリーフとなっています。

試合後に「また抑えましたね」と言われ「投げていくだけです。一戦、一戦」と短く答えた桑原投手。1軍のチャンスも近づいているでしょう。「1軍については、あまり考えないようにしています」。力んでしまったりするから?「まあそうですね」。いつもと変わらないところが、桑原投手らしいですね。

掛布監督は「攻めるリズムを持っている。他のピッチャーは弱い。打たれるのも、抑えるのも仕事。冷静に考えて勝負してほしい」と、このところ打ち込まれることが多いリリーフ陣への注文。そのあと桑原投手には「いい状態。続けてほしいですね。あまり無理はさせないように久保コーチには言ってるけど。きょうは2イニングね。素晴らしいです!」と絶賛でした。

3安打の俊介と伊藤隼、戻ってきた板山

3打席連続安打と犠打、四球で3打数3安打の俊介選手。「3本打てたっていうのはよかったです。とにかく結果を出さないと上に上がれないので」。なお7回無死一塁でバントを試み、1球目はファウルとなって、2球目が顔の前へ来る球にバットを当てたもの。反動で後ろに倒れ込んだ俊介選手ですが、すぐに起き上ってホッとしましたね。でも本人は「初球で決めないといけなかった」と反省しています。

伊藤隼選手は1回に左前打、3回が中前打、6回に右前打と3方向へ3安打を放ったものの「たまたまです」と淡々。やはり9回裏の見逃し三振が悔しい?と聞いたら、少し言葉を選んで「…ノーコメントです」という答え。そりゃもちろん、メチャクチャ悔しいはず。

野球教室でいい当たりを飛ばす子に声をかける板山選手。
野球教室でいい当たりを飛ばす子に声をかける板山選手。

また、腰の張りで戦列を離れていた板山選手が、この試合で復帰。「まったく問題なかったですね」と笑顔です。デラバー投手の時に代打だったけど、ピッチャーの速い球も対応できた?「大丈夫でした」。休んだ分を取り返さないと。「はい、そうですね。1軍に行けるよう頑張ります!」。板山選手が誰よりも意識している同期、高山選手の活躍ぶりをテレビで見ているわけにはいきませんからね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事