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陽川選手がリーグ5年ぶり、チーム11年ぶりの4試合連続本塁打!《8/31 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
30日、サヨナラ3ランを放って掛布監督(右)に出迎えられ、笑顔の陽川選手。

オリックス戦が行われた阪神鳴尾浜球場は、まだ日差しが強いものの空と風に秋を感じますね。ということは…嫌な季節が近づいているわけで。千葉ロッテのサブロー選手がきょう9月1日、現役引退の会見を行いました。

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上が8月25日、下は9月1日。同じ時刻の甲子園の空です。
上が8月25日、下は9月1日。同じ時刻の甲子園の空です。

プロ22年間を振り返り「やり遂げた。後悔はない」と話しています。そう思えるまで、そう言えるまでの心情を察するに、決して簡単ではなかったでしょう。

そして、まだ何も表明していないし発表もない段階で、“引退”とか“戦力外”とか、そんな記事が出ましたね。本人はいつも通り、みんなと汗を流しているのに。

目を背けるわけにいかない現実は嫌でもやってきます。でも今はまだ戦いのさなか。1軍でもファームでも、チームのため自分自身のために選手は頑張っているのです。それに集中させてあげたいと、そう願うしかありません。

◆30日は3ラン競演!陽川の1発でサヨナラ◆

3ランを放った梅野選手(左)、一二三選手と文字通り“ハイタッチ”。
3ランを放った梅野選手(左)、一二三選手と文字通り“ハイタッチ”。
この日、2つの犠打をどちらもキッチリ初球で決めた緒方選手。
この日、2つの犠打をどちらもキッチリ初球で決めた緒方選手。

きょうは、8月30日と31日に行われたオリックス戦の結果をご紹介します。30日は故障後初先発の横山投手が3回を投げ3安打2失点。打線は5回に追いつき、6回には梅野選手の3ランなどで4点加えて6対2とリードするも、直後の7回に二神投手が園部選手の3ランを浴びるなど再び同点とされてしまいます。

6対6のまま迎えた9回裏、先頭の植田選手が左前打し、伊藤隼選手の犠打と新井選手の四球で1死一、二塁として、ここまでノーヒットだった陽川選手がレフトへ3ラン!サヨナラ勝ちしました。

これで陽川選手が3試合連続ホームラン。3戦連発は過去に何人かありますけど、ウエスタン・リーグでは今季初なんですね。しかも3本すべて3ランっていうのはすごい。それから、8月の登板10試合でパーフェクトリリーフを続けていた桑原投手が、この日9回に投げて四球とヒットを許してしまいました。でも連続試合無失点は継続中!そして今季初勝利となっています。

《ウエスタン公式戦》8月30日

阪神-オリックス 24回戦 (鳴尾浜)

オリ 002 000 400 = 6

阪神 000 024 003x = 9

◆バッテリー

【阪神】横山-榎田-山本-二神-高宮-○桑原(1勝2敗) / 梅野-清水(7回~)

【オリ】佐藤峻(6回)-岸田(1回)-近藤(1回)-●塚田(1/3回)-大田(0/3回) / 山崎勝

◆本塁打 梅野3号3ラン(佐藤峻)、園部8号3ラン、陽川11号3ラン(大田)

◆三塁打 中村

◆二塁打 板山

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]右:伊藤隼 (4-0-1 / 0-0 / 0 / 0) .290

2]一:荒木  (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .270

〃打:新井  (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .301

〃走:俊介  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .257

3]三:陽川  (5-1-3 / 2-0 / 0 / 1) .288

4]中:横田  (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .287

5]指:ペレス (4-3-0 / 0-0 / 0 / 0) .316

6]左:緒方  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .265

7]二:板山  (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .225

8]捕:梅野  (2-1-3 / 0-1 / 0 / 0) .223

〃捕:清水  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .288

9]遊:植田  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .152

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

横山 3回 47球 (3-2-2 / 2-2 / 3.38) 143

榎田 2回 42球 (0-1-3 / 0-0 / 0.96) 142

山本 1回 11球 (0-1-0 / 0-0 / 2.19) 139

二神 1回 39球 (3-0-2 / 4-4 / 3.75) 144

高宮 1回 14球 (0-0-0 / 0-0 / 3.71) 138

桑原 1回 25球 (1-1-1 / 0-0 / 2.75) 149

3戦連発3ラン!この日はサヨナラ弾

30日、同点の9回裏に陽川選手がサヨナラ3ラン!
30日、同点の9回裏に陽川選手がサヨナラ3ラン!
ヒーローを待っていたのは、いつもの…。この日はペレス選手が水かけ担当。
ヒーローを待っていたのは、いつもの…。この日はペレス選手が水かけ担当。
やっぱり氷の塊が!ウォーターサーバーの中でキューブアイスが固まったものです。
やっぱり氷の塊が!ウォーターサーバーの中でキューブアイスが固まったものです。

陽川選手に、3試合連続ホームランは?と聞いたら「ないでしょう」と即答。プロに入る前も?「はい。あっても2試合連続までですね」。ただし、この日の試合を振り返って「最後に(3ランが)出ましたけど、それまでの打席が内容的にダメ」と表情は晴れません。「幸いチャンスが回ってきたし外野も前に来ていたので、何とかバットに当たって間を抜けてくれればサヨナラもあると思い、気持ち的には楽に入れました」

取り組んでいる体重移動の件も「最近は右足を意識しながらやっているんですが、その前の打席では体重が載っていない感覚だった」と言います。「今後の課題もその部分と、ボールの見極めってところですね。継続してやっていきたい」と話す陽川選手。最後にもう一度、ホームランより、その前の打席が気になる?と聞かれ「それはもちろん」と、これも即答でした。

1人だけ水浸しで締めの挨拶。掛布監督も筒井コーチも笑っています。
1人だけ水浸しで締めの挨拶。掛布監督も筒井コーチも笑っています。
思わず陽川選手もこの笑い。水も滴るヒーローでした。
思わず陽川選手もこの笑い。水も滴るヒーローでした。

掛布監督は陽川選手について「本人もよくなっている感覚があるでしょう。軸足の粘りというか、テイクバックした時に体重を載せている感じがあるんじゃないかな。体重移動がスムーズにいっているかもしれない。(ボールから)目を切るのが早いのも、軸足が粘ってくると長く見られるので、これから楽しみな部分もありますよ」と話しています。

最終打席までに見逃し三振や3球三振などがあり、本人も気にしていますが「よくある特徴の1つだから。ああしなさい、こうしなさいと言ってしまうと、あのホームランがなくなる可能性もある。自分で覚えていかないとね。どのボールに手を出しちゃいけないとか」と掛布監督。これが翌日の第12号や二塁打につながったのかもしれません。

先発マウンドへ戻ってきた横山

横山投手のコメントもご紹介します。左肩の違和感で5月31日に登録を抹消されていたのですが、8月21日のオリックス戦で実戦に復帰。30日は先発で3イニングを投げました。試合後に「いいところもあり、悪いところも出た」と振り返っています。

いいところは?「まだバラつきはあるけど的を絞らせないというか、それなりに意識してくれるような球が多少あった。まだまだですけど、真っすぐも最初にしてはいいのが何球かあったと思います。もうちょっと欲しい」。悪いところは?「フォアボール。左バッターのインコースを攻め切れず、ボール、ボールで苦しくなった。またフォアボールのあと中村さんにスーッと入ってしまった。悪い癖です。もうちょっと何とかできたかなと」

いいところも悪いところも実感できたと横山投手。一気に表情が明るくなりました。
いいところも悪いところも実感できたと横山投手。一気に表情が明るくなりました。

3回1死から四球を与え、中村選手に三塁打で1点、2死後にブランコ選手の左前打で1点失い「ブランコには力で持っていかれたけど、その前にカウントを悪くしたのも」と反省。そして「先発でやらせてもらっている以上、しっかりゲームを作るのが仕事。今回は3イニングでしたが、この2失点があっても、そのあと0を並べればいいので。課題もあるけど、楽しみな面もあります」と声は弾んでいました。

久保投手コーチは「無事ゲームに投げられましたね。無事だけじゃあかんけど、きょうは無事でよかった。イニングを少しずつ増やし、ゲームでのスタミナを伸ばしていく作業に入ります。セットでのクイックが彼の課題といえば課題。クイックで球速が落ちる。ボールを低めに集めることも、スキルを上げていく課題ですね。もう一度、1軍を目指していくためのトレーニングをやっていきます」と、やはり明るい表情です。

◆31日はリードを守ったままゴール◆

31日は陽川選手が4試合連続となる12号ソロとタイムリー二塁打で2打点、植田選手がタイムリーなど2打点、あとは西田選手の内野ゴロで1点、暴投で1点という内容。1回の攻撃で代打を送られたペレス選手を除く先発全員の14安打でした。その代打・新井選手も3回にヒットを打っていますね。

30日はついに走者を出してしまった桑原投手ですが、8月の12試合はすべて無失点!
30日はついに走者を出してしまった桑原投手ですが、8月の12試合はすべて無失点!

岩田投手が6回5安打3失点、以降は歳内投手が中継ぎで1イニングを投げ三者凡退。高宮投手は走者を出しながらも0点に抑え、9回は桑原投手が三者凡退で締めくくり、無失点リレーでした。桑原投手はこれで8月に登板した全試合(12試合連続)無失点。そして、この日は今季初セーブです。

《ウエスタン公式戦》8月31日

阪神-オリックス 25回戦 (鳴尾浜)

オリ 010 011 000 = 3

阪神 012 110 10X = 6

◆バッテリー

【阪神】○岩田(2勝3敗)-歳内-高宮-S桑原(1勝2敗1S) / 小豆畑-小宮山(7回~)

【オリ】●青山(4回1/3)-大山(1回2/3)-坂寄(1回)-白仁田(1回) / 田中-伏見(6回~)

◆本塁打 陽川12号ソロ(青山)、園部9号ソロ(岩田)

◆二塁打 モレル、西田、陽川、板山

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]右左:伊藤 (5-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .299

2]二:荒木  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .271

〃打中:江越 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .208

3]三:陽川  (3-2-2 / 0-2 / 0 / 0) .292

4]中右:横田 (5-2-0 / 2-0 / 0 / 0) .289

5]指:ペレス (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .316

〃打指:新井 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .299

〃打指:緒方 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .269

6]左二:板山 (4-2-0 / 1-1 / 0 / 0) .232

7]一:西田  (2-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .231

8]捕:小豆畑 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .200

〃捕:小宮山 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .241

9]遊:植田  (4-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .155

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩田 6回 97球 (5-6-2 / 3-3 / 4.39) 146

歳内 1回 8球 (0-0-0 / 0-0 / 4.86) 139

高宮 1回 13球 (1-0-1 / 0-0 / 3.50) 138

桑原 1回 18球 (0-1-0 / 0-0 / 2.61) 151

掛布監督の助言を胸に

これは30日のサヨナラ3ランを放った打席です。
これは30日のサヨナラ3ランを放った打席です。
同じく30日、残った水を植田選手にかけられる陽川選手。
同じく30日、残った水を植田選手にかけられる陽川選手。
最後の一滴まで~!って植田選手、なぜそんなに真顔なの?
最後の一滴まで~!って植田選手、なぜそんなに真顔なの?

3回に12号ソロを放った陽川選手は、これで4試合連続ホームラン。感触を聞かれて「打った瞬間、いったと思いました」とコメントしています。掛布監督は「よくなってるんだけど、最後の打席で3-1から低めのボールを空振りしたでしょ?あそこなんだよ。あれを平然と見逃してフォアボールを選べるようになれば。もっと投手に怖さを与えられる」と説きました。

それを受けて「ボール球に手を出してカウントを悪くすると苦しい立場になってしまうので、もったいないと思います。打てる球を見極めて、1球で仕留められるようにしていきたい」と陽川選手。この日はソロとタイムリー二塁打と死球2つでした。監督の挙げた最後の打席は9回、1死一塁でボール球に手を出して空振り、その次の球を打って中飛です。

「ボール球に手を出していると、もう1つ上のレベルにいけないと思うので。まだまだ1軍のレベルには達していない。もっと頑張ります」と気を引き締める陽川選手に、掛布監督のこんな助言。「昔、王さんに『バットを振っているうちはホームランは増えない。どれだけ打てるボールを我慢して待てるかが大事だよ』と言われたんだ。もっとボールを絞っていくことを覚えればもっとよくなる」

柳田悠岐以来、リーグ5年ぶり

4試合連続ホームランは今季リーグ初。過去に16選手が計18度記録しており、2011年8月の柳田悠岐選手(ソフトバンク)以来5年ぶりのことです。阪神ファームでは2005年9月に喜田剛選手が打ちました。4試合連続は今回の陽川選手と合わせてチーム2人目。いえ正確には3人目ということになりますね。

ホームランを打って一周する陽川選手。いつも通り、ここでは無表情です。
ホームランを打って一周する陽川選手。いつも通り、ここでは無表情です。

というのも、阪神の萩原誠選手が1993年7月にウエスタン・リーグ最多の5試合連続を達成しているのです。その他は1999年の河野亮選手(ダイエー)、2004年の山下勝巳選手(近鉄)で、計3人。きょう9月1日のオリックス戦で陽川選手が打てばリーグ最多タイで、ここに4人目として名を連ねられたんですが…残念ながら出ませんでした。でも記録より1軍。秋の気配が濃くなる前にもう一度!そんな思いでしょう。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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