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『みやざきフェニックス・リーグ2016』は雨の開幕 阪神戦も中止

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
6月のある日、試合前練習での掛布監督。宮崎でもノックバットを持つ姿が見られます。

プロ野球12球団が参加する秋季教育リーグ『みやざきフェニックス・リーグ』が、ことしも始まりました。ただし3日は沖縄に接近中の台風18号が影響して、成立したのは1試合だけという初日に…。早く中止が出たところもあれば、開始1時間前くらいのところや、始めたけれどノーゲームになったりで、計7試合が流れています。

雨天、またはグラウンドコンディション不良のため

・斗山 vs 広島(天福)

・西武 vs LG(南郷)

・DeNA vs オリックス(SOKKEN)

・日本ハム vs 阪神(清武第二)

・巨人 vs 中日(サンマリン)

以上5試合が開始前に中止。

生目第二のロッテ-四国アイランドリーグplus選抜戦は、30分早く試合を始めたものの4回終了時に降雨ノーゲーム。四国IL・徳島の小林選手がリーグ1号ホームランを打っていますけど、これは幻…ってことですよね。残念。またお隣のアイビースタジアムで行われた楽天-ソフトバンク戦は2回終了で降雨ノーゲームとなりました。

結局、西都のヤクルト-ハンファ戦が唯一できたわけです。といっても、やはり5回終了で降雨コールドゲーム。8対3でヤクルトが勝っています。

阪神は清武まで行かず、宮崎総合運動公園内で練習をしたとか。午前11時頃には中止が決まったみたいです。昨年は何年ぶりかに1つも中止がなく、全144試合を消化したフェニックス・リーグ。ことしは雨の開幕となりました。しかも台風が近づく4日、5日も予報は雨。1試合でも多くできるよう、祈るしかありませんね。

既に発表済みですが、参加メンバーを書いておきます。ことしもおそらく途中で入れ替えがあるでしょう。

《投手》横山、歳内、秋山、石崎、守屋、金田、青柳、松田、望月、岩崎、島本、田面

《捕手》坂本、梅野、小豆畑

《内野手》西田、森越、陽川、荒木、植田

《外野手》横田、江越、板山、緒方

「内容にこだわれば数字がついてくる」と監督

ではフェニックス・リーグに向けての抱負など、コメントをご紹介しましょう。ただ2日の宮崎移動後や3日の練習後に、また新たな内容が出ていると思いますが、1日の荷物出し中に聞いた話で、しかも全選手ではありません。どうぞご了承ください。

早く台風が過ぎて、こんな宮崎らしい空を見られますように。
早く台風が過ぎて、こんな宮崎らしい空を見られますように。

まず掛布雅之監督は「来年の戦いが始まるので準備しておかないと。2月1日からじゃなくて、あすからシーズンが始まる。変わったなと言われるものを作っておかないとね。結果より内容を重視した戦いになると思う。自分たちの課題を見つけて、宮脇ファームディレクターに提出するように言ってあります」と語りました。

それが少し前から話題になっている、選手が自分の目標を書いて出すシートですね。このあと選手のコメントに出てきますが、野手と投手それぞれに『打率』や『防御率』などの項目がいくつか設定されていて、そこに数字を書き込んだりしたようです。

「こだわる部分はいろんなとこにあるだろうけど、内容の伴った数字がベスト。その中で、江越と横田、1軍から合流してくる陽川や板山もフルに使って、どういう数字を出すか楽しみだね。形をもって数字に表さないと。数字に固執するわけじゃないけど、内容にこだわることによって数字がついてくる」

秋季キャンプは1軍主導で、来年に向けてのものになることから「僕らが見るのはフェニックスが最後になるかもな」と掛布監督。しっかり鍛え上げて、安芸の金本監督に預けなくてはなりませんね。

【野手】各自、走攻守に目標設定

◆西田直斗選手

9月11日の中日戦(鳴尾浜)。泥んこになった西田選手。
9月11日の中日戦(鳴尾浜)。泥んこになった西田選手。

忘れ物がないか一生懸命考えている時にすみません。西田選手はどんな目標を設定しましたか?「3割はぜったい打ちたい。チャンスであまり打っていないと思うので、打点を増やしたいですね。チャンスで打ちたい」。その他、数字的にあったかもしれませんが、ここでは打率と打点のことだけでした。具体的にこんな話もしています。

「ことし7番あたりをよく打っていて、チャンスで回ってくることが多かったんですよ。常にランナーがいる状態で、ピッチャーもクイックしてくる。そんな中で、自分は長く足を上げてタイミングを取っているけど、そう長くはできないから、そこでできるだけ長くタイミングを取れるようにしたいですね」

◆小豆畑眞也選手

9月21日、試合後にランニングをする小豆畑選手(左)。
9月21日、試合後にランニングをする小豆畑選手(左)。

小豆畑選手も「数字は特にないです」とのこと。「当たり前のことを当たり前に。カバーリング、全力疾走、できることをやるだけです」。ことしのフェニックス、キャッチャーは小豆畑選手、梅野選手、坂本選手の3人だけ。ここは来年の1軍初出場に向けて、しっかりアピールしたいところ。勝負ですね。

「いつだって勝負ですよ。どんな時でも勝負ですから。結果のいい悪いはあるけど、野球ができることに感謝しないと。いつどんな風に終わるかわからない。きょうが最後と思って勝負しないと」。聞いたのが10月1日だったというのもあったんでしょう。厳しい表情でした。

◆江越大賀選手

抱負を聞くと「頑張ります」とだけ言って去ろうとする江越選手(笑)。いやいや、もうちょっと詳しくお願いします。提出した目標は?「打率が3割3分3厘、打点12、ホームラン4、盗塁10」。おお~なかなか細かい数字ですね。「143試合で考えた時に、ホームラン30本で打点100だとしたら、18試合はこれくらいかなと」。なるほど。

同じく9月21日、江越選手も試合後のランニング。
同じく9月21日、江越選手も試合後のランニング。

その他にも何か?「バッティングでは、簡単に三振しないこと。2ストライクに追い込まれてからが課題です。当てれば、(打球が)前に飛べば可能性はあるので。そういった意味でも、簡単には三振しないよう。たとえ三振するにしても、1球でも多く投げさせる。その方がチームにしても打線になるので」

最後に盗塁の話。「盗塁も意識してやりたいです。だから塁に出ること。毎日3打数1安打で1四球とか。フォアボールも大事ですね」。10個というのは、どういう計算?「2日で1盗塁、プラス1個です」

◆緒方凌介選手

ちょうど荷物を運んできた緒方選手に、どんな目標を提出したのかと聞いたら「フェニックス優勝!と書きました」。それはいいことですねえ。って…そうじゃなくて打率とかの数字を。「打率10割」。このあたりで荷物を積み終わったので、気を取り直して真面目にし取材をさせていただきました。

緒方選手、9月25日のタマスタ。このあと右前打します。
緒方選手、9月25日のタマスタ。このあと右前打します。

「打率は3割5分、ホームランは1本以上、打点は10、盗塁10」というのが緒方選手の設けた目標値です。それに加え「出塁率を上げて、盗塁にこだわってやっていきたいなと思っています。体調も足の具合も万全だったのに、あまり走れなかったので。フェニックスでは積極的にどんどん走りたい」と言います。

「監督、コーチ、みんな『アウトを恐れなくていい』と、すごく走りやすい環境を作ってくれているので、それに乗っかって積極的に攻めていきたいと思います。スタートもフリーにしてもらっていましたが、行っていいとこで行けなかったりするので」

◆横田慎太郎選手

金沢へ遠征していた時も、まだ具体的なことは「あす考えます!」と言っていた横田選手ですが、本当に翌日はちゃんと数字を挙げていたみたいですね。1日にもう一度答えてもらいました。「打率3割以上、ホームランが5本、盗塁は毎試合1個で計20個くらいって書いたかな。あとは出塁率。18試合で全部出塁したいです」

これも9月25日のタマスタ。練習中の横田選手です。
これも9月25日のタマスタ。練習中の横田選手です。

ホームランって、フェニックスは意外と出ないんですよ。多くても5本だったような。なので適度な設定と言えるでしょう。その他には?「来年に向けて何かつかむのはもちろんですけど、外野手がいっぱい1軍で活躍しているので、来年いけるぞというのを見せられるように頑張ります」

ほんと、コメントが大人になってきましたねと言ったら「いや、まだ、そんなことないですよ」と真顔で返してきた横田選手。あらま、謙遜までしてしまいますか!

◆森越祐人選手

とある野球教室にて、真剣にボールをトスする森越選手。
とある野球教室にて、真剣にボールをトスする森越選手。

「打率は2割8分、18試合で9打点、ホームラン1本」というのは森越選手。そして「失策は0が目標で、あっても1つ以内に」だそうです。よって目標は、まず「ピッチャーが打ち取った打球は絶対アウトにする!」とのことでした。

「バッティングは、掛布監督から『平行に振れていない。左腰のベルトが浮く』と言われて、そこをずっとやっています。向こうでは試だけじゃなくも練習もあるので、いろいろと試せる期間だと思う。有意義に過ごして、来年につながるフェニックスにしたい」

【投手】中継ぎ陣は防御率0点台が目標

◆横山雄哉投手

9月29日の石川戦(金沢)で先発をした横山投手。
9月29日の石川戦(金沢)で先発をした横山投手。

これまでの何人かと同じく、抱負を聞くと「頑張ります」だけで終わろうとした横山投手。そうはさせませんよ。どんな課題を自身に設けましたか?「まずストレートを磨くこと。ゲームをしっかり作ること」。数字は?「防御率は2点以下を目標に。ゲームを作るとなったら、そこですよね。試合も締まってくると思うので。しっかり、ピリッとしたゲームを!」

9月29日の石川戦(金沢)で5回パーフェクトピッチングだったことを振られ「ストレートの回転がすごくよくて、バッターの反応どうこうは言えないですけど、スピンが効いていたと思います。もっと腕を振れたら、スピードももっと出ると思う。きっかけになればいいですね」と答えました。

◆守屋功輝投手

同じく石川戦で登板した守屋投手です。
同じく石川戦で登板した守屋投手です。

守屋投手は時間がなかったため、かなり短めになってしまいました。「防御率2点台、ストライク率65%と、自分で設定して出しました」。以降も出てきますが、“ストライク率”という項目もあるんですね。2点台ってことは、先発で投げると思われます。

何か新しい球を練習するとかは?「新しいというより、今の球種の精度を上げることですね。それが自分の球種になるので」。つまり今持っている球の精度を上げて磨いて、さらにパワーアップさせれば武器になるということでしょうか。

◆石崎剛投手

石崎投手は「防御率0点台と、ストライク率は70~80%。常に0-2、1-2のカウントを多く作って、ストライクでしっかり勝負できるんだというところを見せたいですね。真っすぐにしても変化球にしても、自分自身が自分のボールをどれだけ信頼できるか」と言っていました。そして「ボール率が上がってしまったので、そのへんを改善すること。自分に自信をつけるためにも、思いきって真ん中に投げていきたい」とのこと。

試合前練習で汗だくの石崎投手。8月6日の鎌ヶ谷です。
試合前練習で汗だくの石崎投手。8月6日の鎌ヶ谷です。

「ことし前半、真っすぐとフォークだけで勝負してこい!と掛布監督に言われて、その意味をわかっていきたいと考えながらやっていました。それを思い返すためにもストライク率を上げていきたいです。もちろん必要なボールもありますが、どのポジションで、どんな場面でも自分の球を信じて。前半みたいに打ち取れるように。自信より力みが強くて“おりゃ~!”となっていましたから」

そういえば初フェニックスですね?「はい。去年行っていないのでフエニックスがどんな感じかわかりませんが、自信をつけるため精一杯やってきます。来年につなげるため、負けない自分作りを」。いい締め言葉です。

◆田面巧二郎投手

思えば昨年のフェニックスは後半で3試合に先発、成長をアピールした田面投手。そのあと台湾ウインターリーグを経て、掛布監督から2月の安芸キャンプ“開幕投手”に指名され、4月の支配下復帰となったわけです。ことしはどんな目標を書いたのでしょうか?

今季公式戦の最後は田面投手の先発でした。
今季公式戦の最後は田面投手の先発でした。

「防御率は0点台。たぶん中継ぎだと思うので、10試合で10イニングくらい投げるとして。ストライク率は60%くらいを設定しました。それでも高い方だと思います。調べてみたんですよ。そしたら65%あたりに一流と言われる選手がいっぱいいたので」

その他にやりたいことは?「ソフトバンク戦の最後(9月29日・タマスタ筑後)でフォークとシュート系の球を投げた、その制球力を上げることとバッターの反応も見たいと思います」。なお、9月30日の記事で『前の日に練習したばかりのツーシームを投げた』と書いてるんですけど、これがシュートのことでした。ややこしくしてしまって、すみません。

「バッターの打ち取り方を、投げて覚えていきたいので。使える球になっていけばいいですね。ただ、これは“プラス”部分で意識して投げるように。それ以前に真っすぐをしっかり投げることです」

◆島本浩也投手

9月21日のオリックス戦で投げた島本投手。
9月21日のオリックス戦で投げた島本投手。

「中継ぎだと思います。なので防御率が0点台、ストライク率は60%と書きました」と島本投手。数字以外では何かありますか?「とりあえず左バッターを確実に打ち取ること。緩急を使っていきたいので、真っすぐを速く見せるために緩いチェンジアップとか練習していこうと思います」

お、チェンジアップ復活ですね。フォークボールは?「フォークはある程度の自信があるので、あえて投げないようにしようと考えています。他の球で三振を取れるようにしたいですね。簡単にはいきませんが、目標をしっかり持ってやりたい」

なお竹安大知投手はメンバーに入っていませんが「途中から行くんじゃないかなと思います」と話していました。そうそう、石川俊介サブマネージャーにもフェニックス・リーグの目標を尋ねたら「全力投球ですっ!」と力強い返事が。誰よりも多忙な仕事ですから体に気をつけて頑張ってください。フリー打撃での140キロ、期待しています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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