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フェニックス・リーグ 西武の先発左腕に苦戦《10/8 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
7日の『街中イベント』に参加した横山投手と望月投手。右は司会の山本圭壱さん。

きのう8日から第2クールに入った『みやざきフェニックス・リーグ2016』。ことしは開幕日から台風の影響を受けるなど、雨にたたられています。きょう9日も前夜からの雨が止まず、今リーグ2度目の全8試合中止となりました。よく見ると無事に全部できたのは4日、6日、8日と一日おきですね。

阪神も3日、5日、7日(練習試合)に続き、きょう9日も朝8時半ごろ中止となったためチームは日向へ行かず、ヤマザクラ宮崎県総合運動公園内の屋内練習場へ。そこで10時から2時間半の練習を行いました。きょうから久保ファーム投手コーチ、筒井ファーム守備走塁コーチ(ファーム打撃コーチから変更)、濱中ファーム打撃コーチ(平野コーチと入れ替わって1軍打撃コーチから変更)が合流しています。

9日、屋内練習場で投内連係プレー中の秋山投手。
9日、屋内練習場で投内連係プレー中の秋山投手。

きょうの楽天戦は秋山投手が先発だったと思われます。あす10日は望月投手でしょう。それにしてもこの2人、横山投手、青柳投手と…どうも雨に縁のある先発ピッチャーが多いような。いや、他のチームも同じですからね。ことしはどこも雨男さんが多いってことで。はい。あす10日からは、しばらく雨がなさそうで何よりです。また発生している台風がありますが、影響なく通り過ぎますように。

打線がつながらず、完封負け

それでは8日に行われた西武戦の詳細をご紹介します。先発・金田投手は4回まで投げて3安打6三振無四球だったのですが、その3安打を2回に集中されて1失点。リリーフ陣は0点に抑えたものの、打線がつながらずじまいです。1番の板山選手が3安打し、2番の植田選手も2盗塁を決めるなどチャンスは作りながらクリーンアップが揃って4打数0安打…。1点が取れませんでした。

《フェニックス・リーグ》10月8日

阪神- 西武 (南郷)

西武 010 000 000 = 1

阪神 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】金田-松田-守屋-歳内-田面-石崎 / 梅野-小豆畑(8回~)

【西武】佐野(5回)-玉村(1回)-福倉(1回)-松本(2回) / 岡田-中田(6回~)

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]右:板山  (4-3-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]遊:植田  (4-1-0 / 0-0 / 2 / 0)

3]左:江越  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

4]中:横田  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

5]一三:陽川 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

6]指:緒方  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

7]三:森越  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打一:西田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

8]捕:梅野  (1-0-0 / 0-2 / 0 / 0)

〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]二:荒木  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

金田 4回 58球 (3-6-0 / 1-1) 152

松田 1回 11球 (0-2-0 / 0-0) 150

守屋 1回 29球 (2-2-1 / 0-0) 146

歳内 1回 10球 (0-0-0 / 0-0) 144

田面 1回 17球 (1-1-1 / 0-0) 146

石崎 1回 17球 (0-0-1 / 0-0) 152

<試合経過>

日南市の南郷スタジアム。最後まで雨は降らずにできました。
日南市の南郷スタジアム。最後まで雨は降らずにできました。

先発の金田は1回、ツーシームと真っすぐで3者連続三振を奪う立ち上がり。しかし2回、1死から5番・岡田に右前打され、2死後に永江の中前打、金子一の右前打。これで二塁から岡田がホームへ、ライト板山の返球でクロスプレーとなり…梅野は右手でタッチしましたが、走者の足が入ったとの判定でセーフ。1点を先取されたものの3回、4回は三者凡退に切って取った金田。

6回は松田が、2回に連打した永江、金子一から連続三振を奪うなど三者凡退です。6回の守屋は先頭の1番・田代に中前打、1死後に盗塁を許し、木村文の右前打で一、三塁。4番・山川は空振り三振で2死となったあと木村文の二盗、岡田の四球で2死満塁。でも戸川を空振り三振に仕留めて無失点でした。

7回は歳内がフライ3つ、10球で三者凡退。8回から小豆畑がマスクをかぶり、5人目の田面が登板して2死を取りながらヒットと四球で一、二塁としますが、ここは無失点。9回は石崎で、先頭の戸川に四球を与え、犠打で1死二塁としたものの後続を断っています。

一方の打線は1回、先頭の板山が三塁線を破るヒット、植田の遊ゴロで封殺されるも植田が盗塁成功で1死二塁。と思ったら江越の三振と横田の三ゴロで得点ならず。2回は2死後に森越の左前打、梅野の四球でチャンスを作りましたが、やはり無得点。

3回にまた三塁線突破のヒットを放った板山ですが盗塁を刺され、植田は中前打を放って二盗を決めたものの、江越は一飛、横田は見逃し三振…。うまくつながりません。4回は陽川と緒方の連続三振などで三者凡退。5回は2死から板山のショート内野安打があっただけ。

6回は玉村の前に江越が中飛、横田は左飛、陽川が右邪飛の三者凡退。7回、福良に対して先頭の緒方が左前打しますが、代打・西田は初球を打って3-6-1の併殺。次いで死球の梅野が荒木の右前打で三塁を狙うもタッチアウトでした。8回からは松本に完璧に抑えられて、1対0のまま試合終了です。

「きょうは内容がないんだよ」と監督

掛布監督は試合後、まず西武の先発・佐野投手に抑え込まれた打撃面を振り返り「タイミングを崩されていた。1軍でも投げているピッチャーだよね?ストレートが140キロ後半だし、テンポもよかったし」とダメ出ししました。特にクリーンアップの江越選手、横田選手、陽川選手が揃って4打数ノーヒットだったのもあったでしょう。

もと西武監督の渡辺久信さんが訪れ、掛布監督と話を。
もと西武監督の渡辺久信さんが訪れ、掛布監督と話を。
掛布監督、この日の内野ノックは少し長めだったような。
掛布監督、この日の内野ノックは少し長めだったような。

「的を外すとか、自分の間を作る工夫とか、ボールの見極めだよな。きょうはボール球を打ちすぎているよね。見逃し三振OKと言っているけど、あれだけ最初に攻め込まれてしまうと、下半身の動きを忘れて上体だけで打ちにいってしまう。バットだけで勝負して。そういうタイミングにさせられ、あとのピッチャーに対して自分のタイミングが取りづらくなった」

その中で板山選手は佐野投手から3打数3安打でした。「板山だけがうまく反対方向へポンポン打っていたけどね。最初にポンと打って。結果がどうであれ課題としている左ピッチャーの対応。左ピッチャーの打席を大事にしなさいよと言っています」

「あと10数試合、トータルで見なきゃね。野手が1人しか余っていないので、すごく打席数は出ている。全部で15試合できるかな?60~65打席くらいあるから、どのくらいの数字を出すか。3割後半を残すくらい(の打率)になれば、自信つくんじゃないの?」というのも板山選手への言葉です。

そして最後にもう一度、「きょうは内容がないんだよ。最初に崩されてしまった。内容ゼロだよ。内容も結果もゼロ。自分のやることを忘れさせられてしまった。今やっていることをやりきらないと」と苦言を呈す掛布監督でした。

課題と目標を持って 板山&植田

宮崎で数多く打席に立って、板山選手が収穫をたくさん持って帰れますように。
宮崎で数多く打席に立って、板山選手が収穫をたくさん持って帰れますように。

左投手から逆方向に3安打の板山選手は「左ピッチャーを打つことが1つの課題で、今は野手が少ないからチャンスをもらって左を打つことも多いですね。苦手意識はないけど、1軍では立つ機会がなかったので。ファームでもあまり。こういう時に課題として取り組めているかなという感じはします。1軍で左ピッチャーでも使ってもらえるようにしたい」と話しています。

フェニックス・リーグ初戦(4日の斗山戦)は5打数ノーヒットでしたが、次のLG戦(6日)で3ランを含む2安打に加え2つ四球を選んで2盗塁と本領発揮。ただし「調子いいから継続ではなく、常にレベルアップを目指してやろうかなと考えながらやっています」とのこと。

実りの秋、植田海選手はどんなふうに成長するのか楽しみですね!
実りの秋、植田海選手はどんなふうに成長するのか楽しみですね!

植田選手は2盗塁の“出来”を尋ねると「いいスタートでした!きょうは」とニッコリ。どういう選手を目指したいかと聞かれ「チームの作戦とか、そういうのを100%決められるような。あとは出塁率ですね。打率はあまり気にしたことがなくて。(出塁したら)盗塁とか、次の塁を狙えるようにしたいです」と答えました。フェニックス、そしてU23ワールドカップと多忙な秋になりますね。「はい!」。充実感あふれる顔です。

夏から取り組むフォームの確立

高橋投手コーチに金田投手と松田投手のことを聞きました。「金田は、あの回…2回だけでしたねえ。あの3安打がもったいない。でもそれ以外は素晴らしかったですよ。トータルで見てもいいピッチング、いい投手になりつつある。松田は2試合続けて好投していますね。上から見て、投げ下ろせている。意識して、真っすぐで三振が取れて」

では本人のコメントです。金田投手に3三振の立ち上がりでしたねと言ったら「よかったのは初回だけ…」と苦笑い。「初回から力みがありました。明らかに浮いていた」。2回までは真っすぐとツーシームがほとんどだったけど、3回はスライダーも多かったのは、そこで切り替えた?「いえ、スライダーは試合前から使っていこうと話をしていたので。でも2回は消していましたね。スライダー」

目の前に網戸があったため、“紗(しゃ)”がかかったような金田投手。
目の前に網戸があったため、“紗(しゃ)”がかかったような金田投手。

最速152キロだったものの「ほんとですか?」と意外そうな金田投手。「真っすぐは初回からシュート気味で、内に入っていたんで」とのことです。腰を低く落としたフォームは7月くらいからやっていて「きょうはちょっと横振りになってしまったけど、見た目もしっかり投げている印象かなと思います。フォアボールも少なくなっているので。はまっているから良い方向に進んでいますが、まだ安定していないですね。ものにしたいと思います」

今季の経験が自信になっている

松田投手は「自分の球をしっかり自分の感覚で投げられたと思います。変化球、チェンジアップが有効に使えたから、真っすぐ多めにいきました。そういうボールを使っていきたい」と言っています。来年は8回、9回に起用されるようなピッチャーに?「僕が決めることではないんですけど、そういうところで投げられたら。信頼されるピッチャーになりたいですね」

試合前の練習でスローイング中の松田投手。
試合前の練習でスローイング中の松田投手。

今季は防御率1.00でシーズンを終えた松田投手。0点台で終わりたかったでしょうね。「そういう悔しさもありますが、いろいろ経験させてもらって、それが自信にもなっているし、課題も見つかりました」。今回のフェニックスでは0点台にこだわる?「点を取られないに越したことはないですが、でもフェニックスなので試せるところは試してレベルアップしたい」

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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