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阪神の契約更改交渉が本格化 揃ってアップした1年目トリオ《11/17・前編》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
初めての契約更改で揃ってアップ。(左から)青柳投手、坂本選手、板山選手です。

ことしの阪神タイガースの契約更改交渉は、まず6日(日)に鳴尾浜の虎風荘でスタートしました。安芸の秋季キャンプに行っていない桑原投手、竹安投手、守屋投手、小豆畑選手の4人がサインをしています。翌7日(月)には高知県の秋季キャンプ宿舎にて望月投手、伊藤和投手、田面投手、横山投手、石崎投手、山本投手、森越選手の7人が交渉に臨み、やはり全員がサイン。また14日(月)は鳴尾浜で西田選手が育成契約、背番号は133番と発表されました。

そして秋季キャンプを打ち上げた翌日、きのう17日から球団事務所での交渉が始まったわけで、いよいよ本格的な契約更改モードに突入ですね。きのうは(交渉順に)青柳投手、伊藤隼選手、岡崎投手、板山選手、坂本選手、松田投手、歳内投手、横田選手、植田選手が登場。12年目のベテランからルーキーまで9選手が交渉の席につき、全員サインしています。

また契約更改が全部終わったあと、来季の背番号変更も発表になりました。

藤川投手 18→22

小宮山選手 39→59

上本選手 4→00

秋山投手 27→46

揃って1軍で働いたルーキーー

では17日に契約を更改した9選手のうち、1年目を終えた3選手のコメントをご紹介します。交渉が行われた順番で、年数の横の数字は『今季の年俸→来季の年俸』で、金額(万円)は推定。きのうは最後の植田選手が現状維持で、他はアップ6選手、ダウン2選手という内容でしたが、植田選手以外は金額のヒントらしきものがなく…みんなで悩み抜いた、まさに“推定”です。

【青柳投手】1年目 720→1200

「初めてのことだったので緊張したけど、やっと終えたなという感じ」と、初体験の契約更改交渉を振り返った青柳投手。「サインしました。1年目で4勝できたことをすごく評価してもらった」そうで、その結果「上げていただきました」と笑顔です。どのくらい上がったかは「ご想像にお任せします」とのこと。

想像するのにも材料が必要なので、例えば金額を見てニンマリするくらいか?ガッツポーズが出るくらいか?と聞かれ「すごいガッツポーズが出るくらい(笑)」と答えました。そのため会見終了時にカメラマンから再現を依頼されて苦笑い。とても控えめに右手でガッツポーズをした次第です。

1年目を終え「悪い部分も出たけど、いい部分も出た。いい部分は強いボールで1軍選手相手に勝負できたこと。悪いのは球数とかボールの多さが負けにつながったこと」という感想。印象に残った試合、場面を聞かれ「巨人に初めて勝った時ですね」と答えました。(7月7日の東京ドームで巨人戦に初登板、7回1安打無失点で2勝目)

初登板初先発初勝利の楽天戦(6月1日)ではなく?「それももちろん印象に残っていますが、僕としては巨人に勝ったことが一番うれしかったので」。すごいバッターだなあと思った選手は?「巨人の安部さんです。どこに投げても打たれてしまったので、抑えたイメージがない。もちろん来年はリベンジさせていただきます!巨人戦をはじめ、すべて勝っていきたい」

カメラマンに促され、とっても控えめに小さくガッツポーズする青柳投手。
カメラマンに促され、とっても控えめに小さくガッツポーズする青柳投手。

秋季キャンプではどんなことに取り組んだ?「制球はもちろん、クイックやフィールディング、牽制など、投げること以外の課題がいっぱいあったので、そこに重点を置いて練習させていただいて、すごく成長できたなと思います」

台湾から来季の2ケタへ

次は台湾のウィンターリーグですね。「実戦がメインになるので、実戦の中でしかできない練習をしっかりやりたい。バッターに対する制球力もそうですし、フィールディングも練習と実戦ではすごく違うと思うので積極的に取り組めたら」

1年目から13試合投げて4勝できたという点はいかがでしょうか?「こんなにできると思っていなかったので、監督やコーチにすごくチャンスをいただいた1年でした」。来季の抱負を。「監督に期待していただいているので応えられるように。また、2ケタという具体的な目標を持ってしっかり頑張っていきたいと思います」

2ケタ勝利については、球団の要望というより「金本監督から『いけるのでは?』という話をしていただき僕の中でモチベーションとなっている」とか。「開幕から最後までしっかりローテを守った上での2ケタを目指したい」と語りました。

そして「僕は課題ばかりのピッチャーなので、いいところはなくさないように課題をつぶしていきたい」と、いつもの言葉でした。「クイック自体も課題。このキャンプでよくなったという評価をいただいたので、自分のスタイルとしてしっかりできるようにしたいと思います」

年俸がアップして、好きな漫画も買える?「(笑)どんどん買っていきたいですね」。なお金額に関しては、帰りのエレベータに乗るまで…いえ乗ってからも「ご想像にお任せします」と繰り返すばかりでした。ずっとニコニコと笑いながら。

【板山選手】1年目 720→900

初めての契約更改に「すごく緊張しました」とホッとした顔。サインは?「もちろんさせていただきました」。どんな評価だった?「ある程度やれるということは見せてもらったということと、守備の方では消極的なプレーが何個かあった、バッティングでは低めの変化球に対しての対応、そういうところを言われました」

金額はアップ?「少し上げてもらいました」。どのくらい?「少しです(笑)」。提示された時の気持ちは、たとえばガッツポーズが出るような?「ガッツポーズは出ないです。今シーズン、自分の中でもっとできた部分ってのは結構あったので、ガッツポーズとまではいかなかった」

なるほど。もっとできた部分とは?「球団の方も言われたように守備で消極的なミス、防げるミスでもあったし。バッティングは自分が思ったことができなかったり、こうしておけばよかったというのが結構あったので、そういったところですね」

ここはできたというところはありましたか?「1年間大きなケガもなく、しっかり体を鍛えながらできたということと、1軍でお立ち台にも上がらせてもらって、自分でここまでできると思っていなかった部分も。また満員の甲子園でプレーさせてもらったり、すごくいい経験ができた。来年はもっと、この満員の甲子園球場でプレーしたい、活躍したいという気持ちになれたので、充実した1年だったと思います」

プロに入って一番伸びたところは?「1年間通してウエートトレーニングもずっと続けてきましたし、この秋季キャンプでも鍛えてきたので、それが少しずつ打球や動きやスローイングの強さに出てきたのかなと」。入団時と比べて体重は変わった?「夏場に一度落ちてしまい、そこから一生懸命工夫しながら増やして、今は入団時と比べたら2キロくらい増えたのかな」

印象に残っていることは?「一番は初ヒットですかね。10打席くらい結果が出なくて、いつ落とされてもいいという状況の中で、1番でまたチャンスをもらった。自分でもビックリして、また1番で使ってもらえるんだと思って。これでダメだったら落ちるんだろうなと複雑な気持ちでしたけど、意気に感じてやりました。そこで初ヒットが打てて、すごく印象に残っています」

交渉での緊張が解けたのか、会見では笑顔もこぼれる板山選手。
交渉での緊張が解けたのか、会見では笑顔もこぼれる板山選手。

レギュラーを獲るために何が必要だと?「1軍のエース級のピッチャーと対戦してみて、速いストレートに振り負けることが多かった。そのボールを打ち返していかないとレギュラーにはなれないんだなという感じですね」。思い浮かぶのは誰?「東京ドームでジャイアンツの菅野さんとやったのですが、本当にすごいの一言。このボールを打たないと1軍でレギュラーになるのは難しいと強く感じました」

高山選手を追い越す日まで!

入団直後から意識してきた高山選手の1年をどんなふうに?「本当にすごいの一言です。練習を見ても試合を見ても、すごいしか言えないですね。向こうがどう思っているかわからないですけど、僕も負けたくないと。まだまだ差はありますが、少しでも追いつけ追い越せと僕は毎日感じながらやっていたので、来季も負けないように頑張りたい」

その来年の抱負を。「ことしは1軍にいる期間が少なかったので、来年は1年間通して1軍にいて、試合にも多く出て、満員の甲子園で活躍する姿をファンや、親や、いろんな人に見せられたらいいですね」。上がった年俸の使い道を聞かれると「貯めようかなと思っています。まだ寮生なのでお金を使うところがないので、貯められる時に貯めようかな」と、堅実な回答でした。

囲み取材では長打についての話が出て、来年は「やっぱり打ちたいですね、ホームラン」と板山選手。「ことしは長打をあまり打っていない、2軍でもそういう印象なので(1軍では本塁打なし、ファームで1本)打っていきたいです」

ちなみに金本監督は入団2年目に4本打ったそうで。「じゃあそれを目標にします(笑)。秋季キャンプでほんと鍛えたしバットも振ってきたし、監督にも技術的なことを教えてもらって。自分でもバッティング練習の中で打球が変わったなと実感しました。オフも、春のキャンプも継続してやりたいと思う」

金本監督からは「ここで休んだらゼロに戻るぞ」と言われたそうで「オフも他の選手に負けずバットを振っていきたい。継続力を持って」と意欲満々です。「3拍子揃った選手になりたい。監督は目標とする選手なので一歩でも近づけるよう、教えてもらったことを信じてやっていきます!」

そうそう、最後に高山選手の年俸について聞かれ「いつかは追い越したいです」と言ってニヤリ。いい顔でしたよ。

【坂本選手】1年目 1200→1300

「サインしました。1年目からマスクを被ってということも評価していただきましたし、まだまだ期待もしていると言われたので、これからだと思っています」。アップですか?「少しだけ上げてもらいました」。想定内のアップ率?「僕自身、シーズンの結果には納得していませんし、ケガから始まったし。その中でも評価していただけたことはありがたく、感謝しています」

どんなシーズン?「自分でもまだまだ足りていない部分がたくさん見えました。それだけでなく、通用する部分、こういうことができたらやっていけるという部分も少しながらわかったので、その課題を今後に生かして、来シーズン通用する部分がたくさん増えるようにしたい」

何が足りないと感じた?「守る方で、もっと勝ちに貢献しないといけないと。盗塁の阻止であったり、ピッチャーの信用や信頼というのはまだまだ足りていないと思いました。そこがわかってきたら成績も伴ってくるのではないかと思います」。通用する部分は?「何か新しいことをというわけではなく、自分が今までやってきたことや思っていたことで実際にバッターを抑えることができたり、打てたりというような結果につながった部分があるので、そこがよかったと思う」

印象に残った試合や場面は?「後半戦が始まって初スタメンの試合で何もできず、そのあとマツダスタジアムで能見さんともう一度組んで9回までマスクをかぶらせてもらって、その時にやっと勝ちに貢献できたなという気持ちがあったので、その試合が思い出に残っています」

マツダスタジアムというと初ヒットの舞台でもありますが、覚えていますか?「覚えています。黒田さんの200勝がかかった試合で、(打球が)飛んで行ったのも黒田さんのところだったので当たったらどうしようかと思いました。黒田さんは(そういう打球に)右手をいつも出されるのですが、あの時は出してなかった。僕の初ヒットに気を遣っていただいたのかなと思って。よかったです」

ピッチャーとベンチの信頼を得る

正捕手となるため、技術的にも精神的にもレベルアップしたいと語る坂本選手。
正捕手となるため、技術的にも精神的にもレベルアップしたいと語る坂本選手。

来シーズンの開幕はマツダスタジアムですね?「マツダスタジアムで打てているのはいいことですが、それだけじゃダメだと思いますし、どのチームどの選手が相手であっても勝てるように、嫌な印象を持たれるような選手になっていきたい」

正捕手になるために必要なことは?「守るところで、こいつに任せておけば大丈夫だというピッチャーの信頼や、ベンチからの信頼が一番大切だと思うので、技術的にも精神的にも今後レベルアップさせていきます。ことし、まだ1年目だからと遠慮したわけではないけど、今後はいいことも悪いこともピッチャーのためになることだったら言えるようにしたいですね」

来季の抱負を、と言われて「ことしはケガで始まったので、まずはケガなく1年間やることが大切だと思う。1軍の試合に出られて1年目にしては貴重な経験ができたと思うけど、自分がマスクをかぶって勝てたという記憶があまりない。自信を持てるような結果や内容がもっとほしいと思ったので、そこは来年に向けて意識してやってきたい」と答えた坂本選手。

締めくくりは「その中で“坂本のおかげで勝てた”という試合が増えてくるようにしたいと思います」という言葉でした。

※17日に契約を更改した他の6選手については後編でご紹介します。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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