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阪神の契約更改交渉 12年目の岡崎選手が7年ぶりのアップ《11/17・後編》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
岡崎選手は会見後、帰りのエレベータを待つ間に、とびっきりの笑顔が出ました。

鳴尾浜、安芸に続いて17日からは西宮の球団事務所で阪神タイガースの契約更改交渉が本格的に始まりました。この日は交渉順に、青柳投手、伊藤隼選手、岡崎投手、板山選手、坂本選手、松田投手、歳内投手、横田選手、植田選手の9人が交渉を行い、全員がサインをしています。

その中で、1年目を終えた3人(青柳投手、板山選手、坂本選手)のコメントを紹介した前編は、こちらからご覧ください。<阪神の契約更改交渉が本格化 揃ってアップした1年目トリオ>

内訳は↑3人、↓2人、→1人

ここでは、その他の6人について書かせていただきます。同じく交渉順で、年数の横の数字は『今季の年俸→来季の年俸』で、金額(万円)は推定です。前にも言い訳した通り、現状維持でだった植田選手以外は本当に推し量るヒントもほとんどなかったため、完全な“推定”。そんなに離れていないと、あとで言ってくれた選手や「どんな数字が出るか楽しみにしてる」と笑っていた選手まで、様々でした。

【伊藤隼選手】5年目 1700→1500

サインは?「してきました。ダウンです。自分が納得できるような下がり幅でした」。球団からはどの様な話を?「1年間の振り返りと、来シーズン以降、自分の立場をどうしていきたいかという話です」。肩の故障の話も出ましたか?「はい、そうですね」

納得した話の中で、一番これはしょうがないなと思ったことは?「もう査定でしっかりとポイントが出ますので、結果で評価される職業ですし、それが金額に反映されると思うので。結果だけですね」。金本新体制はあらためてどんな野球でしたか?「結果を出し続ければずっと使ってもらえるし、結果が出なければその逆という、わかりやすかったですかね」。金本監督から掛けてもらった言葉の中で覚えているフレーズはありますか?「いえ、特には」

来季の抱負を。「6年目になりますけど、正直ここまであまり働けなかったという思いが強いので、ことし1年間怪我もしましたし結果も出なくて、そういった悔しい気持ちを来シーズン以降にぶつけていきたいと思います」

その後の囲み取材で「来年は背水の陣という気持ち?」と聞かれ「そうですね。言われなくても自分の立場はわかっているつもりですが、危機感を持ってやるだけです」と答えた伊藤隼選手。具体的には「やっぱり結果なので、結果を出して1軍に定着し、試合に出続けることだけ」と言っていました。

5年目のシーズンを終えた伊藤隼選手。ダウンでした。
5年目のシーズンを終えた伊藤隼選手。ダウンでした。

新しく外野手を獲得するという情報には「自分でコントロールできないことは意識しても仕方ないので」と、いたってクールな回答。確かに。伊藤隼選手らしいですね。

【岡崎選手】12年目 850→1300

「サインしました。少し上げていただきました」。そのあたりの満足度や、金額を聞いた時の感想は?「シーズン途中でケガをしてしまったのですが、その中でも評価していただいたと思います」。球団からは?「ケガをした時はチームとしても痛かったし、来季はまた正捕手争いをして欲しいと言っていただきました」

印象に残った話は?「守備に関してピッチャーを引っ張っていく姿がよく見えて、そういうのはよかったと」。球団へアピールした点はありますか?「やはりキャッチャーというポジションは試合に勝ってなんぼだと思う。そういう意味でスタメンで出た時の勝率はチームで一番よかったので、そこは言わせていただきました」

今シーズンを振り返り「去年の契約更改の時に“レギュラーを獲る”という目標を立てて、開幕はマスクを被らせていただきましたが中盤に怪我をしてしまった。1年通して試合に出ることができなかったので悔しいシーズンだった」と話しています。家族の支えも?「嫁さんと子どもには支えてもらいました。毎日、勝った時も負けた時も普通に接してくれてありがたかったですね」。

今後のプランは?「基本的にはキャッチャーは試合に勝ってなんぼなので、守備も大事ですが打つ方でもしっかり。バント、右打ちなど作戦面とか、あとは普通にヒットを打つというのも大事になってくるので、そういう部分もしっかりやっていきたいと思います」

決意も新たに13年目へ!

来季の抱負を。「ことしは1年通してプレーすることができなかったので、来年は1年間、若いキャッチャーに負けないという気持ちで、まだまだ出来るというのをプレーで表現したいです」。来年ももちろん開幕から?「開幕に限らず1年間通して出るという気持ちを、去年もそう思っていたけど、より強く持っていきたい」

岡崎選手は4年ぶりの大台復帰…といっても推定ですけどね。
岡崎選手は4年ぶりの大台復帰…といっても推定ですけどね。

さらに「キャッチャーは盗塁を刺したからいいとか目に見えることだけでなく、チームが勝つことが一番。ピッチャーのよさを引き出すことも。これからもっと突き詰めて、ピッチャーとコミュニケーションもとってやっていかないと」と気を引き締めています。

ことしの内容は自信になったのでは?「今までそれほど試合に出られなかったので想像つかなかったけど、出てみてレベルの高さを感じたとともに、しっかり自分のすべきことができれば抑えられると。そういうのが見えたというか感じられたのはよかったですね」。13年目のシーズンに向け、ますます目の輝きが増したように思えました。

【松田投手】5年目 1200→1400

サインは?「しました」。球団からはどのような話が?「後半は頑張ってくれたけど、1年間しっかり1軍にいて欲しいということを言われました」。金額的には?「上げてもらいました」。自分の想像したぐらい?「そうですね」

今年1年を振り返っていかがですか?「後半だけですが、来年につながるようなヒントを得られたというか、来年やっていけそうな感じがしたので。どうなるかわからないですけど今やれることを、まずはしっかりスタートを切れるように、きょうからやっていきたいと思っています」

防御率が昨年に比べて、かなり改善された点は?「ふだん中継ぎで投げていたチェンジアップだったりを、ファームで先発させてもらって、そういうボールがバッターの反応もよく有効に使えたかなというのはありました」。来年、先発でという話も。「投げる場所は自分で決められないけど、言われたところでやるだけです。優勝に貢献できるような投球をしたい」

どうしてもケガがついて回りますが、その部分はどういう取り組みを?「ピッチングフォームがまだ固まっていなくて、ケガしやすいフォームだったりということもあると思うので、キャンプでしっかりフォームの改善やトレーニングをしたいと思います。5年やってケガも多く、いろんなトレーニングを教えてもらっているので、そういうのを考えながら」

来年へのヒントはチェンジアップ?「まず真っすぐがないと。第一は真っすぐ。自信までは行かないけど、アピールしたいボールです。でも真っすぐだけで抑えられないので、チェンジアップなどを使いながら真っすぐが生きるように」

来年はケガなく1軍で投げ続けてほしい松田投手です。
来年はケガなく1軍で投げ続けてほしい松田投手です。

藤川投手と自主トレをしたり、ブルペンでもいろいろ学ばせてもらえた?「球児さんもですが、ブルペンにはベテランの方がいっぱいいらっしゃるので、そういうのを見るだけでも本当に勉強になり、毎日勉強という感じでした」。このオフの過ごし方は?「ウエートのやり方も去年から変わっていて、この秋季キャンプでもしっかりできたと思う。これでやらなくなったら意味がなくないので、しっかり継続してやっていきたい」

【歳内投手】5年目 1600→1500

サインは?「しました。下がりました」。球団の評価はどんな?「去年の成績と比べて、ことしの成績、試合数もだいぶ落ちていたので…」。ことしは納得いくような1年ではなかった?「開幕は1軍でしたが、2ヶ月弱ぐらいでファームに落ちたので、あのまま最後まで居続けて50試合、60試合投げたかったなという気持ちは強いですね」

何が足りなかったと思いますか?「ことしずっと中継ぎで勝っている場面でも行かせてもらいましたが、いろんな場面があって代打も出てきますし。セットアッパーやクローザーの人たちを見ていると、去年のオ・スンファンみたいに、必死になっている打者を圧倒している印象があったんで。自分は抑えるにしてもランナー出しながら何とか抑えていたなと。そういうところでバッターを圧倒でき、出てきたら“試合が終わるな”と思わせるピッチャーになっていきたい」

60試合投げたいということは、ことし頑張ったベテラン勢の中に自分が割って入っていかないと。「そうですね。中継ぎとしてはクローザーが究極、最高峰のポジションだと思うので、やっているからにはそこを目指していかないといけない。結果を残して得られるところだと思う。福原さんや安藤さんが投げていたポジションに若いピッチャーが入っていかないとダメだと思います。敗戦処理だけでなく、そういうのを目指していきたいです」

中継ぎでやるなら究極のクローザーを目指さないと、と語る歳内投手。
中継ぎでやるなら究極のクローザーを目指さないと、と語る歳内投手。

U-23ワールドカップで最後を任されたことも、クローザーへの意欲として高まったということ?「そうですね、9回に投げたことも何回かありましたが、大量得点で勝っているところが多かった。緊迫した場面でも締められるピッチャーというのはチームにとってもプラスになる。あそこでゲームを締めるという達成感は、メキシコで少しですが味わえたので、それをシーズン中に何度も味わえるようにやっていきたいと思いますね」

そこのポジションを狙う?「常に狙って、そのために体も技術も心も鍛えていかないといけない。このオフが勝負だなと思います」

【横田選手】3年目 720→870

サインは?「はい、しました」。評価してもらえた点、自分でも反省しないといけない点はどこだと思いますか?「最初の方は開幕スタメンで結果も出たけど、そこから全然結果が出なかったので、もう少し頑張ってほしかったと言われました」。金額は?「少し上げてもらいました。自分で思っていたくらいです」

上がったと言いながら。まったく笑顔のない横田選手。今シーズンを振り返って「最初の方は少し結果も出たんですけど、それが長続きすることなく、ほんと自分の実力の無さを感じたシーズンでした」と、やはり硬い表情のままです。

一軍で通用したこと、しなかったことは?「足に関しては、少しはアピールできたと思っています。逆にバッティング、守備は少し力のなさを感じたので、このオフでしっかり上げていけるように頑張りたい」。具体的には、どういうところがまだまだだと?「速いボールをファールにしたり、変化球を空振りしたりと、一流のピッチャーはまったく打てなかった。そこを何とか上げられるようにやっていこうと思っています」

ことし1軍でやって手応えなどは?「手応えはないですけど、ここから自分の持ち味を伸ばして、短所を少しでも減らしたい。盗塁にしても、最初のころは塁に出たら何回もサインを出してもらったのに、1軍でもできると思っていた甘さが出ました。悔しかったです」

来年は長打と脚力を見せる!

3年目で初の開幕1軍スタメンだった横田選手。来年に勝負をかけます!
3年目で初の開幕1軍スタメンだった横田選手。来年に勝負をかけます!

来年の抱負を。「今シーズンはチャンスを何度ももらって、そのチャンスをものにできなかったので、来シーズンは一度のチャンスをものにしたい!頑張っていきます。足に関しては、ちょっと通用したかなと。足は持ち味なので、普通のヒットを二塁打に、二塁打を三塁打にできる選手になりたい。長打も打てて、なおかつ走れる選手になりたいと思います。

「いいことも悪いことも経験したし、プラスの面もいっぱいあったので、そこを伸ばして。課題もいっぱいあるから、このオフは練習を続けていくだけです」とのこと。バットも振り込む?「金本監督の(秋季キャンプ)最後の言葉が『このオフサボったら来シーズン絶対落ちる』ということだったので、しっかり振り込んでいこうと思います。春のキャンプ初日からアピールしていかないと」

昨年に続いて参加する台湾のウインターリーグについては「秋季キャンプで平野コーチと下半身の使い方を練習していて、それを実戦で試せるいい機会だと思います。すべてにおいて、守りも走塁もバッティングにしてもレベルアップしていかないといけないので、結果にこだわってやってきます」

【植田選手】2年目 500→500

サインは?「しました」。球団からはどんな話がありましたか?「この前のメキシコ(U-23ワールド杯)の話と、あとは来年はバッティングをもうちょっと向上させて欲しいということですね」。金額は?「あ、そのままです」

最後に1軍で代走出場したから、上がるかなと思ったけど。「いえいえ、アウトになったんで(笑)」。でも出たのはいい経験になったでしょう?「来年は(盗塁を)絶対決めてやるって気持ちは強くなりました!」。足でアピール?「バッティングも打てるようにならないと試合に出られないので。この冬、しっかり体を作ってバッティングを上げていきたい」

U-23ワールドカップでは、ずっと2番を任されていましたね。「大会が始まる前から『1点ずつ取る野球をやる』と言われていて、2番で出させてもらったんで、そういうのはずっと頭に入れてやっていました。自分はバント失敗したらすぐ外される、失敗しないようにと思って」

このオフの目標は?「ちょっと体重を増やしたい。あとは秋季キャンプで最後に教えてもらった走る練習を意識してやっていきたいです」。体重の話が出て、聞きながら「顔がすごく細くなったなあ」「だいぶ痩せたんじゃないかなあ」と思っていました。なので帰り際に聞いたら「ちょっと減りました」と植田選手。ちょっとで、あそこまで顔の輪郭が変わらないと思いますけどねえ。

顔がシャープになった植田選手。宮崎→メキシコ→安芸と出かけっぱなしでしたもんね。
顔がシャープになった植田選手。宮崎→メキシコ→安芸と出かけっぱなしでしたもんね。

なんせ10月2日に宮崎へ行き、フェニックス・リーグの途中でU-23代表チームに合流してメキシコへ。帰国したあとも鳴尾浜に寄ることなく安芸へ。つまり契約更改の前夜、約1ヶ月半ぶりに寮の自室へ戻ったわけです。まあ疲れもあるのかな?メチャクチャ精悍な顔で、また少し大人になった植田海選手でした。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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