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2017年 阪神タイガースの“新虎”8人衆が入寮!《1/6》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
ここ数年、入寮日おなじみの風景。ベランダからの“ドラ1お披露目”、大山選手です。

阪神タイガースの新人選手が、1月6日に揃って入寮しました。日にちは昨年と同じで、新人合同自主トレのスタートも同じ、あす1月8日ですね。寒さは厳しかったものの前日よりは風が弱く日差しもあって、まずまずの入寮日よりだったと言えるでしょう。

また6日は“鳴尾浜開き”でもあり、グラウンドやウエートルームなどの施設が使えるようになるので、先輩たちもやってきます。ことし4年目の岩貞祐太投手(25)が一番乗り。一番?と聞いたら「もちろんです!よかったです。何がいいのかわかりませんけど」と笑っていました。他に7年目・島本浩也投手(23)と3年目・守屋功輝投手(23)、また5年目・藤浪晋太郎投手(22)も汗を流したようです。

8人も入寮したのは6年ぶり

それにしても8選手の入寮は、なかなかのものですね。次から次へとやって来て、荷物を運んだら部屋でのテレビインタビューと写真撮影、そして記者陣による囲み取材と繰り返されます。流れ作業のように。

このところ2016年が5人、その前は6人の指名が続いたので、8人っていつ以来だろう?と思ったら、2010年のドラフトで5人(榎田、一二三、中谷、岩本、荒木)+育成3人(阪口、島本、穴田)がありましたね。ただし一二三選手が病気で5日遅れになったため、2011年1月6日の入寮は7人です。つまり、その前の2009年ドラフト(二神、藤原、甲斐、秋山、藤川俊介、原口+育成の田上、高田)の8人が、揃って2010年1月11日に入寮して以来の多さということになりますね。

部屋のベランダでの撮影。左から大山選手、小野投手、二神広報。
部屋のベランダでの撮影。左から大山選手、小野投手、二神広報。

その時のドラフト1位だった二神一人氏は昨年、現役を引退して12月1日付で球団広報に転身しました。もういろんな現場で選手のアテンドや取材の仕切りなどをこなしています。この日の入寮でもしかり。ドラフト1位・大山選手、2位・小野投手と並んでベランダにいると、まだまだ現役選手にしか見えません。体はだいぶスリムになっていますけど。

ほやほやのルーキーたちは才木投手(10:55)、福永投手(11:15)、糸原選手(11:18)、大山選手(12:13)、藤谷投手(12:18)、浜地投手(13:23)、小野投手(14:00)、長坂選手(14:05)という順番で到着しました。ただ取材がこの順ではなかったので、ドラフト指名順にコメントをご紹介します。

なお、福永投手は新入団発表後に入寮済みなので、この日も“勝手知ったる”グラウンドをランニング。そのあと午前中に入寮し、住民票などの手続きも済ませた才木投手が延々と走っていましたよ。浜地投手もです。早くから飛ばし過ぎないで、と心配するスカウト陣はお父さんのようですね。

◆大山悠輔 内野手(22) 白鴎大

入寮してみて感じたことを聞かれると「ほんとに楽しみですね!」とにっこり。荷物の中にあったストレッチポールは?「プロになったら体が一番大事だからと、大学の同級生たちが気を使ってプレゼントしてくれました。12月の誕生日に合わせて(お祝いと)、頑張ってというのを込めて」。使い心地は?「はい、最高です!」。今までも使っていた?「ストレッチポールはありますけど、部屋の中に自分だけのというのは初めてですね。これから使い方もいろいろ勉強していきたい」

寮の階段を登りながらカメラが気になる大山選手。
寮の階段を登りながらカメラが気になる大山選手。

持ってきたグラブは3つ。「大学で使っていたものが2つで、大学時代の気持ちを忘れないようにと思って持ってきました。それと新しいのが1つです。みんな内野用で、ポジション別ではありません」。モデルで選ぶ?「いえ、こだわったことがなくて、大学時代もカタログを見て“これがいいかな~”という感じで選んでいました。これから用具も大事になってくるので、合うものを考えて選びたいと思います」

どこをポイントに選んでいた?「(サイズ等より)色とかですね。守っていて一番目にするものなので好きな色を。赤が好きだから、赤に近い色にしてきました。大学時代は赤を好んで使っていた。赤を身につけている時、すごく力が出る感じがしたので。他に手袋とか、ジャージにも赤をワンポイントで取り入れたりして。これからも赤を意識して使っていきたいです」

もしかして高いところは苦手?撮影の合間に何度か下を覗いていました。
もしかして高いところは苦手?撮影の合間に何度か下を覗いていました。

バットは?大学と同じもの?「少し軽くしてもらいました。まだ打席に立っていないのでわかりませんが、大学でのボールとは違うと思うので。グラムは…わからない。少し軽くです」。いよいよ8日から合同自主トレが始まりますね。「本当に一日一日を大切に、できることを精一杯やって、2月1日のキャンプインに向けて体を作っていきたい。開幕1軍の前にキャンプ。キャンプでアピールできるかどうかで変わってくると思うので、しっかり準備していきたいですね」

◆小野泰己 投手(22) 富士大

改めて鳴尾浜と虎風荘の感想を問われ「球場が目の前にあって、いい環境だなと思います」と答えています。そのあとは恒例の、何か持ってきた物は?という質問。

「大学の時も4年間、ずっと寮に置いていたボールを持ってきました。高校の担任でもあった(野球部)の監督さんにいただいたもので『みんなと俺がおる』と書いてあります」。みんなはチームメイトのこと?「はい、それとクラスのみんな」。俺っていうのは、もちろん監督ですね?「はい」

小野投手はまったく顔を上げずに階段を登り切りました。
小野投手はまったく顔を上げずに階段を登り切りました。

監督さんは「何があっても、お前には高校時代の仲間と、俺がついているからな。頑張れよ!」という思いで書いて贈られたのでしょう。教わることは多かった先生ですか?「そうですね。野球だけじゃなくて人間性や礼儀など、そういう面をしっかり指導していただいた監督さんでした。大学の寮では常に見えるところに飾っていたので、ここでも机の上に置いておきます」

それ以外に、こだわって持ってきた物は?寝具とか。「特に何も。どこでも何でも寝られるし、まったくこだわりはないです」。家電類は?「全部こっちで買います。今から」

◆才木浩人 投手(18) 須磨翔風高

入寮の感想は「また違う緊張感というか、やっとプロの一員として練習ができるという実感がすごく沸いてきました」と初々しい言葉。寮生活や1人暮らしは初めて?「はい。ちょっと不安はありますね」。大丈夫ですよ。先輩はもちろん、同級生もいますからね。

「悩んだんですけど…体や筋肉についての本を。タイトルは『体のメカニズム』と『筋肉の仕組み』、もう1冊はトレーニングのことがいろいろ書かれています。高校の後半くらいから読んでいました。結構むずかしいですね。筋肉の名前とか、漢字も」。筋肉の名前は言える?「だいたいです。…だいたい(笑)」

自宅が近い才木投手は入寮一番乗りでした。
自宅が近い才木投手は入寮一番乗りでした。

今やっているのはどんなこと?「大胸筋、前腕筋など。足を捻挫したので、そこの補強トレーニングとかしています」。トレーニングの意識も変わった?「変わりますね。ここの部位を鍛えていると考えながらやるので」。勉強しようと思ったきっかけは?「教えてもらってトレーニングをしている中で、ある程度の知識を入れておくと1人でもできるし、そういう点でもやっておいた方がいいかなと思って」。自主的に?「そうです」

ダルビッシュ投手も詳しいみたいですね?「はい。よくツイッターでも見かけました。参考にさせてもらっています」。やっている最中に実感したりしますか?「はい」。どんなふうに?「ここ来てるわあ~!みたいな(笑)」。さすが関西人、ツボを心得ています。

◆浜地真澄 投手(18) 福岡大大濠高

浜地投手の到着が、ちょうど大山選手の囲み取材中に重なってしまったため、ごめんなさい!写真が撮れませんでした。よって1人だけ、昨年12月5日の新入団発表会(正確には、そのあとのファンミーティング)のものを使っています。ご了承ください。

入寮の感想は「いい雰囲気で練習に集中できそうです」、寮生活は才木投手と同じく初めてだそうです。持って来たものは?「自分の家の甘酒を持ってきました。アルコールはまったく入っていないんです」。なぜ甘酒?と思われるかもしれませんが、実家は『浜地酒造』。そこで作られた甘酒なんですよね。しかもノンアルコールとあって「小さい頃から飲んでいました。栄養価が高いって聞いています」とのこと。甘酒は“飲む点滴”と言われるくらいだそうで。

浜地投手は新入団発表会の写真です。すみません…。
浜地投手は新入団発表会の写真です。すみません…。

「習慣にしたのは高校に入ってからです。毎朝は絶対に、あとは練習後やちょっと疲れたなという時に飲んでいます」。寒い季節は朝の1杯で体の中から温まりそうですねえ。じゃあ寮で先輩にも飲んでもらいましょうか?「はい。ほしいと言っていただければ。準備はしているので(笑)」。かなりたくさん持参したみたいで、よかったら一声かけてください!先輩の皆さん。

甘酒の他には何か?「ことし夏(の予選)1回戦で負けた、その時の新聞を切り取って持ってきました。今までで一番っていうくらい悔しかったので、その悔しさをわすれないようファイルに入れてきました」。地元・西日本スポーツの終面に大きく出た記事だったとか。「見るたびに悔しさと、達成できなかったもどかしさというのがあるので、今も糧になっています」

◆糸原健斗 内野手(24) JX-ENEOS

いよいよという感じですか?「まだ荷物の整理ができていないけど、これからしっかりやっていこう!と思いますね」。持って来たものは?「会社の職場(横浜の総務グループ)の方々にもらった、寄せ書きをもってきました。ボールの形をした色紙で、そこに50人分くらい。退社する時に、頑張って!と渡されたものです」

糸原選手はスーツを着なれている印象でしたね。
糸原選手はスーツを着なれている印象でしたね。

その他には?例えば寝具とか。「マットレスは大学4年から使っているマニフレックスを、新しく買ってきました」。大学4年から?「はい。いいと聞いたのでネットで調べて、買って使ってみたんです。それからずっと使っています。こっちでも、そのままの寝心地でいこうと思って持ってきました」。大学生には高い買い物だけど、やはり体のことを考えて?「そうです」

寮生活は?「大学(2人部屋)も、社会人(1人部屋)も経験しているので不安はないです」。ちなみに家電は、冷蔵庫だけ買おうと思っていると言っていました。

◆福永春吾 投手(22) 四国IL:徳島

先月から既に虎風荘で生活を始めているので「年が明けて、きょうは改めて入寮という気持ちで来ました」と言います。寮では「ゆっくり足を伸ばして入れるのでリラックスできる」入浴がお気に入りのよう。虎風荘では“先輩”ですから、同期にいろいろ教えてあげられますね。「いやいや、まだ2週間か3週間くらいなので」と少し苦笑いでした。

入団発表後から住んでいますが、新たな気持ちで入寮する福永投手。
入団発表後から住んでいますが、新たな気持ちで入寮する福永投手。

新しく買ったものはないと以前言っていたけど、このたび持ってきたものは何かありますか?「徳島の時、縁があって知り合ったシンガーソングライターの方から色紙をもらって持ってきました」。それは池田夢見(いけだゆめみ)さんという方で、曲名と同じ『がんばりや』という言葉とサインが書かれたもの。

昨年末で退団された、徳島インディゴソックスの牛田成樹ピッチングコーチ(もとDeNA)がトレーニングしていたところの人と池田夢見さんが知り合いで、「夢を追っている人はいませんか?」と聞かれて福永投手に話が来た、という縁です。それが昨年4月ごろで、この『がんばりや』のMVにも福永投手は出演したみたいですよ。

これはもう、ぜひ登場曲に!「そうですね。今後、考えていきたいと思っています」

◆長坂拳弥 捕手(22) 東北福祉大

荷物を運び終え「いよいよ始まるっていう緊張感と、楽しみな気持ちです」と目を輝かせました。何か持ってきたかと聞かれると「高崎市の名物、だるまを持ってきました!」とニヤリ。なるほど、狙いを定めてきたようですよ。それは、もともと持っていたもの?「いえ、高崎のお店で買って来たんです。これくらいの大きさで」と両手で作ってくれた輪は、ソフトボールくらいの大きさでしょうか。

入寮のトリを務めたのは長坂選手でした。
入寮のトリを務めたのは長坂選手でした。

「健康などを祈願して、目はもう入れてありました。1年間ケガなくできるようにという思いを込めてです」。高校時代を過ごした高崎のものを持ってきたのは「健大高崎に育ててもらったという思いがあるので」とのこと。そして、だるまは黄色なんですね?「はい。阪神カラーにしてもらいました!」と再びニヤリ(笑)。つかみはOKでしょう。そして「だるまのように転んでも起き上がる、という気持ちです」と締めました。

その高校時代の恩師・青柳監督からは「元気よく頑張れ!」という言葉を贈られた長坂選手。また持参した荷物には本もあり、以前から読んでいる野村克也さんの「野村ノート」はもちろん入っています。

◆藤谷洸介 投手(20) パナソニック

「これから頑張ろうと思いました」という入寮の感想に続き、持ってきたものを聞かれると「家電、みんなパナソニック製品です!」と、まさに用意周到な答え(笑)。「冷蔵庫だけ新しく買って、他は今までのものを持ってきました」。冷蔵庫もパナソニックの?「当たり前じゃないですか!」。失礼しました。

他にこだわりの品は?「路上で、相手を見て色紙に絵とか文字とか書いてくれるのがありますよね。あれで書いてもらった色紙を持ってきました。『洸の魂』という、僕の名前の入った文字があって、自分以外の人を成功させるエネルギーの源になる、ありのままの自分を出したら友だちは自然とついてくる、という言葉が書いてあります」

社会人1年目に京阪くずはモール付近でもらったという色紙は、ずっと社宅に飾っていたとか。あると安心?「そうですね。ずっと置いていたものなので」。これからも虎風荘の部屋で、藤谷投手を見守ってくれるでしょう。

社会人からの入団ですが、まだ20歳。スーツにリュックが似合う藤谷投手。
社会人からの入団ですが、まだ20歳。スーツにリュックが似合う藤谷投手。

194センチという身長だけに寝具もロングサイズ。でも据え置きのベッドは付け足して長くしてあるので問題なく「横になってみたけど寝やすかったです!」とニコニコ。おいしいと評判の寮の食事にも「期待しています」と楽しみな様子でした。現在の95、6キロの体重が目標の100キロになるよう頑張ってください。

そうそう、寮内で藤浪投手に会った?「はい、さっき会いました。見上げました」。いい返しです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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