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安芸組も「挑む!」 阪神タイガースの春季キャンプがスタート《前編》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
安芸キャンプ初日、練習前に行われた歓迎セレモニーで整列。

2月1日、阪神タイガースの2017年が始まりました。沖縄県宜野座の1軍に負けじと、高知県安芸でファームもキャンプイン。ことしは西岡選手や、10年ぶりに安芸スタートとなった大和選手の姿もあり、なかなか渋い安芸市営球場です。“掛布監督”元年だった昨年は、初日からマスコミ陣も相当な数でしたが、ことしは少し落ち着いた感じに見えますね。また土日になるとお客様が増えるでしょう。

そんな昨年の安芸キャンプ初日の模様は、こちらからご覧ください。初日に行われたシートバッティングで、原口選手がホームランを含む3安打だったんですよね。ちょっと懐かしいかも。また2015年の初日についても合わせて貼っておきます。

<2016年 安芸キャンプ初日>

<2015年 安芸キャンプ初日>

狩野選手会長がブリ担当

歓迎セレモニー、安芸市の皆様はご覧の法被姿です。
歓迎セレモニー、安芸市の皆様はご覧の法被姿です。

初日はセレモニーがあるため普段より15分ほど早く、朝8時すぎから次々と安芸ドームへ集まってきた掛布監督やコーチ陣、選手、スタッフの皆さん。まず昨年と同じく全員でウエートトレーニングをし、それからメイングラウンドへ移動して9時20分から約10分間のセレモニーが行われました。まず横山市長の歓迎の言葉。続いて掛布監督をセンターに、宮脇ファームディレクターと狩野選手会長の3人が代表として前に並び、花束と記念品の贈呈。

花束贈呈後、白いビニール手袋をつける狩野選手(右)。笑う掛布監督(左)。
花束贈呈後、白いビニール手袋をつける狩野選手(右)。笑う掛布監督(左)。
後ろで望月投手が新人たちに「あのブリを受け取るんだよ」と耳打ち?
後ろで望月投手が新人たちに「あのブリを受け取るんだよ」と耳打ち?
狩野選手、しっかりとブリをいただきました!
狩野選手、しっかりとブリをいただきました!

監督らに贈られた花束は、後ろに整列した選手たちの中から、2年目の望月投手、ルーキーの才木投手と浜地投手が受け取りました。次は記念品。ここで出世魚のブリが縁起物として登場するのは毎年恒例です。いつもは監督が受け取るんだけど…と見ていたら掛布監督はニヤニヤ、宮脇さんもニヤニヤ。その隣で、なぜか狩野選手が大急ぎで両手に白い手袋を装着しています。そこに「掛布監督にはポンカン、宮脇ファームディレクターにはイチゴ、狩野選手にはブリ」というアナウンスが!な、なるほど。ことしはそういう段取りなんですね。

最後に狩野選手が大きなブリを受け取ると、また監督と宮脇さん、さらに後ろの選手たちもニヤニヤが止まりません。そして望月投手と浜地投手がポンカン、イチゴを引き受けたということは…かなり戸惑いの表情を浮かべながら前進してきた才木投手が手を出しかけたところ、狩野選手がそれを制して自分で持ち続けました。自分は手袋をしているからいいよ、と言ってくれたのでしょう。ホッとしたような、でも先輩いいんですか?という申し訳なさも混じる顔で列に戻った才木投手。

才木投手が受け取りに出てきますが…
才木投手が受け取りに出てきますが…
「いいよ」と狩野先輩。「ほんとにいいんですか?」
「いいよ」と狩野先輩。「ほんとにいいんですか?」

夕方、帰りの車へ向かう才木投手に「ブリを受け取る係だった?」と聞いたら「あ、はい!」と言って、ちょっと思い出し笑いをしました。狩野選手は白いビニール手袋をつけたそうで、あれはブリ用?と尋ねると「そうそう!匂いがつくからね(笑)」と。2015年だったでしょうか?トラヴィス投手が古屋監督からブリを手渡され、自身の皮手袋のままで持っていたら…なかなか匂いが取れず「あのあとブリヴィスって呼ばれる」と笑っていたのを思い出します。

余談ですが、ブリはやはり浜地投手に持ってほしかったなあという記者陣の言葉も。ハマチからブリへ、出世まちがいなし!ですもんね。

セレモニーは、安芸保育所と染井保育所の子どもたち42人が三塁側ベンチ前で整列して「がんばれ、がんばれ、タイガース!」「がんばれ、がんばれ、掛布!」と太鼓に合わせて大きな声援で締めくくりました。

ルーキー・福永投手が50球

ことしの安芸キャンプは、投手が14人で《A組》榎田、竹安、守屋、桑原、伊藤和、田面。《B組》安藤、高宮、福永、望月、柳瀬。そして高校生の才木、浜地というグループ分けがされています。野手は《捕手》長坂、小豆畑、小宮山。《内野手》大和、新井、森越、陽川、西田。《外野手》伊藤隼、緒方、狩野。《別メニュー》西岡の12人。全部で26人というのは昨年よりさらに少ないですね。

福原コーチとブルペン見学中の才木投手(左)と浜地投手(右)。
福原コーチとブルペン見学中の才木投手(左)と浜地投手(右)。

初日の投手陣はA組が午後のシートバッティングに登板する6人で、ブルペンでは B組のうち4人がピッチングをしました。安藤投手は小豆畑選手を座らせて40球、高宮投手は長坂選手をやはり座らせて30球、また 望月投手は藤井バッテリーコーチに立ち投げで40球(うち20球は中腰になってもらったもの)という球数。そしてルーキー・福永投手も初日からプルペン入りして、本田ブルペン捕手と長坂選手を座らせて50球を投げています。

なお望月投手が最後に「牽制いいですか?」と言って、何球か牽制の練習。すると隣で投げ終えた福永投手も遠慮がちに「牽制やってもいいですか?」と聞き、少し試しました。いや~初々しいですね!去年の今ごろは望月投手もそんな感じだったなあと、福永投手より年下の“先輩”が頼もしく思えました。なお高校生ルーキーの才木投手と浜地投手は、福原投手コーチに連れられてブルペンで見学。先輩のピッチングを食い入るように見ていました。

では、ルーキー・福永春吾投手(23)の、初日を終えた感想をご紹介しましょう。「どの時間も無駄にすることなく、充実した良い一日を送れたと思います。このキャンプで、しっかり肩を作ってゲームに合わせて投げられるようにしたいです」。初日から早速ブルペン入りし、キャッチャーを座らせて投げた福永投手。50球は予定通り?「はい」。終わってからコーチにどんな話を?「抜け球がちょくちょく出ているので、それをなくしていくように言われました。回数を重ねることで減らしていきたいです」

初日に50球を投じたルーキー・福永投手です。
初日に50球を投じたルーキー・福永投手です。

いよいよキャンプイン、改めて抱負を。「1年間通してケガなく、その中でしっかり結果を出せるようにやっていきたい」。ちなみに鳴尾浜の新人合同自主トレでも既にピッチングをしていましたが「それより力は入れていなかったのに、きょうの方がよかったです。やっぱりユニホームを着ると変わるんですかね?」とニッコリ。それはあるかもしれませんよ。次も楽しみにしています。

久保投手コーチは福永投手について「ルーキーでも高校生たちとは別ですね。鳴尾浜でも(投げるのは)見ていたし、きょうも50球。少し進ませた。A組は“いつでも1軍へ行けるように”という振り分けで、福永はA組に入れようかなというところです。打者に投げさせたいし、11日か12日の練習試合で一度、と思っている。1~2イニングね」と話しました。フリー打撃、シート打撃と段階を踏んで、順調にいけば第3クールでゲームデビューとなりそうです。

6投手が投げたシート打撃

榎田投手
榎田投手
桑原投手
桑原投手
伊藤和投手
伊藤和投手
守屋投手
守屋投手
田面投手
田面投手

午後には予定通り、昨年に続くキャンプ初日のシートバッティングが行われました。竹安投手は打者3人のみ、以降の5投手は打者5人ずつに投げています。結果はこちら。

◆竹安 (捕:小宮山) 5球

【伊藤隼】左飛

【緒方】 左前打

【長坂】 左前打

◆榎田 (捕:小宮山) 14球

【小豆畑】死球

【狩野】 三ゴロ

【長坂】 一邪飛

【伊藤隼】遊飛

【緒方】 中越え三塁打

◆桑原 (捕:小豆畑) 19球

【狩野】 右前打

【新井】 遊ゴロ

【大和】 中前打

【小宮山】右前打

【陽川】 四球

◆伊藤和 (捕:長坂) 24球

【西田】 中飛

【森越】 右飛

【小宮山】見逃し三振

【小豆畑】三ゴロ

【新井】 四球

◆守屋 (捕:小宮山) 12球

【大和】 三ゴロ

【森越】 遊ゴロ

【陽川】 一ゴロ

【西田】 二ゴロ

【小豆畑】右翼線二塁打

◆田面 (捕:長坂) 14球

【大和】 三ゴロ

【陽川】 左前打

【伊藤隼】左前打

【西田】 右飛

【緒方】 二ゴロ

掛布監督と竹安投手の思い

全体練習が終わり、個別練習の特打(伊藤隼、緒方、ティーのみ大和)の後半に掛布監督が取材対応。「いい緊張感がありますよね。選手たちも12月と1月の過ごし方において、しっかり準備して2月1日を迎えていますので。かなり準備してきたんだろうなと思いますし、ことしに賭ける気持ちを感じる一日でした」。初日のシートバッティングについて聞かれ「これは去年もやってるんですけど、ファーム(ウエスタン)が3月17日、キャンプが終って2週間ほどで開幕するから今やっても決して早いわけじゃなく、それに向けての準備です」と答えています。

シート打撃は5球で終わったため、投げる姿は取れませんでした…。
シート打撃は5球で終わったため、投げる姿は取れませんでした…。

そのシートに登板した竹安投手の話になり「去年の11月、2月1日に投げる準備をして迎えなさいと言っていた。3人だけでしたが、きょうマウンドに立ったことが大事。精神的な準備、体の準備、両方して迎えたからでしょう。去年の田面もそう。嬉しかったですね。投げさせるかどうか球団とも話しましたが、本人の気持ちを大切にしてやるのも大事。本人の気持ちと俺の気持ちです」と掛布監督。

「きょうはストレートしか投げていないので、判断するのは早い。打者3人に20球くらい限定で、変化球も投げるなということだったので、バッターもストレートを狙い打ってるからねえ。次はBP(フリーバッティング)で、11日の練習試合に先発で1イニングと思っています。きょう投げられなければ11日はなかったところ。竹安の気持ちが前に出ていたからね。投げるか?はい、投げますと。投げたことに意味がある。彼にとってプラス。もし投げられなければ、今までやってきたことが“?”になってしまうところ、1つの答えが出たからね」

竹安大知投手(23)は「5球だけでしたけど、投げられたのが一番かなと思います」との感想。シートバッティングのあと、メイングラウンドの投球練習場で結構投げていましたね?「ピッチングを含めて61球。もともと投げる予定だったんですが、まさかシートで5球とは思っていなかったんで、ちょっと多めに」。確かに打者3人とはいえ5球で終わってしまってビックリしました。本人もちょっと苦笑いです。

11日の練習試合・四国銀行戦で先発、1イニングと掛布監督が話していました。「ある程度、11日って話はあったので自分の中でも準備してきたし、投げられたら」。昨年の田面投手のように、ことしは竹安投手から始まるシーズンになりそうです。万全でその日を迎えてください!

シート打撃登板前、サブグラウンドで練習中の竹安投手。
シート打撃登板前、サブグラウンドで練習中の竹安投手。

なお初日に聞いたルーキー・長坂選手、スイッチに取り組む大和選手、打撃好調の緒方選手、大きくなった小豆畑選手の話などは《後編》へ続きます。こちらからご覧ください。→<10年ぶりの安芸スタートで、スイッチに「挑む」大和選手!《阪神キャンプ開幕・後編》>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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