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阪神・安芸キャンプの練習試合第2弾 西武戦は12安打7得点で勝利《2/12》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
安打を放ち、新井の二塁打で生還した陽川を“サムズアップ”で迎える掛布監督(右)

11日の四国銀行戦に続き、12日は西武ライオンズB班(ファーム)との練習試合が安芸市営球場で行われました。例年、西武B班とは春野球場で対戦することが多いんですけど、ことしは安芸で2試合、春野で1試合の計3度も予定されています。3試合は初めてですねえ。その最初の試合が12日にあり、1回に打者一巡で5点を取った阪神が7対4で勝利!計12安打です。

投手は3イニングずつで、榎田投手が1安打無失点。以降も5安打しか許していませんが、長打などで田面投手と伊藤和投手は2点ずつ失いました。では試合結果と経過をどうぞ。

12日の練習試合のスタメンです。
12日の練習試合のスタメンです。

《練習試合》2月12日

阪神- 西武B班 (安芸)

西武 000 101 002 = 4

阪神 501 001 00X = 7

◆バッテリー

【阪神】榎田-田面-伊藤和 / 小豆畑-長坂(4回~)

【西武】佐藤(1回)-玉村(3回)-川越(1回)‐松本(1回)‐南川(2回) / 藤澤‐駒月(7回~)

◆本塁打 愛斗ソロ(田面)、新井ソロ(松本)

◆三塁打 愛斗

◆二塁打 新井、戸川、小宮山、斉藤

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]右:緒方   (4-1-0 / 1-1 / 2 / 0)

2]二:大和   (5-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]中:伊藤隼  (4-0-1 / 0-1 / 0 / 0)

4]三:陽川   (5-3-0 / 0-0 / 1 / 0)

5]左:新井   (4-2-3 / 0-1 / 0 / 0)

6]指:狩野   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指:小宮山 (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]一:西田   (2-0-0 / 1-3 / 1 / 0)

8]捕:小豆畑  (1-0-1 / 0-1 / 0 / 0)

〃捕:長坂   (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

9]遊:森越   (2-1-2 / 0-1 / 1 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

榎田  3回 41球 (1-3-0 / 0-0) 140

田面  3回 49球 (2-1-2 / 2-2) 143

伊藤和 3回 42球 (3-2-2 / 2-2) 146

試合経過

1回、中前打で出た緒方選手が二盗。
1回、中前打で出た緒方選手が二盗。
無死一、三塁となって伊藤隼選手の捕ゴロの間に生還。
無死一、三塁となって伊藤隼選手の捕ゴロの間に生還。
新井選手が右中間へタイムリー二塁打!
新井選手が右中間へタイムリー二塁打!

先取点は阪神。1回に中前打した緒方がすかさず二盗、大和の右前打で無死一、三塁として伊藤隼は捕ゴロ。一塁へ送球する間に緒方が生還しました。続く陽川の左前打で1死一、三塁となり、新井が右中間へ2点タイムリー二塁打!さらに狩野が左前打を放ち、西田の四球で1死満塁と攻めます。続く小豆畑も四球を選んで押し出し、森越の左犠飛でもう1点。最後は緒方の中飛で、打者一巡の攻撃が終わりました。この回、5安打で5得点です。

ついで西武は2人目の玉村が登板。2回は2死から陽川が右前打と盗塁を決めますが追加点なし。3回に西田の四球と盗塁などで2死三塁として、森越のピッチャー強襲タイムリー内野安打。ちなみに森越も二盗成功、続く緒方も四球で出て、この試合2つめの盗塁を決めています。ここまでで阪神は5盗塁となりました。

5回は西田が3つ目の四球を選び、途中出場の長坂が左前打、森越の四球で無死満塁!しかし緒方は三振、大和の三ゴロで西田がホームタッチアウト。伊藤隼は捕邪飛に倒れて得点なし。6回は新井が2ボールからの真っすぐをレフトへ今季1号ホームラン!途中出場の小宮山はレフトフェンス直撃の二塁打を放ちましたが、後続を断たれて1点止まり。7回は唯一の三者凡退、8回は陽川が左前打、新井は四球で1死一、二塁。小宮山が今度は中前打したものの、陽川がホームでアウトになり0点。

チーム5盗塁のうち1つは西田選手。顔を隠して笑ってる?
チーム5盗塁のうち1つは西田選手。顔を隠して笑ってる?
6回にソロHRを放った新井選手。これで3打点です!
6回にソロHRを放った新井選手。これで3打点です!
小宮山選手はあと15センチ(?)でサク越えという二塁打。
小宮山選手はあと15センチ(?)でサク越えという二塁打。

次に投手陣。先発の榎田は1回、三者凡退の立ち上がり。30分近く待たされた2回は先頭の4番・戸川に右翼線二塁打を許すも、あとはストライク先行でしっかり打ち取り、3回は鬼崎を3球で見逃し三振(決め球は真っすぐ)に仕留めるなど三者凡退!この回わずかでした。

4回からは田面と長坂のバッテリー。4回は1死から3番の愛斗に2球続けたスライダーをレフトへ…ホームランで1点失います。2死後に四球と捕逸(高い球、ミットに当てながら後ろへ)があったものの、追加点は与えず。5回は三者凡退でした。ところが6回、先頭の鈴木に左前打され、内野ゴロ2つで2死三塁として、暴投で1点返されます。でも長坂がすぐに盗塁を刺して3アウト!

3人目として登板したのは伊藤和。7回は二ゴロ2つと二飛で三者凡退、8回は真っすぐとチェンジアップで連続三振を奪うなど、この回も三者凡退です!7対2で迎えた9回、先頭の2番・斉藤に右翼線二塁打を浴びると、続く愛斗に右中間へタイムリー三塁打。さらに戸川の二ゴロでもう1点を与えました。2死後、金子一に右中間二塁打を許しますが、次を二ゴロに打ち取って試合終了です。

掛布監督が陽川に望むこと

掛布監督は初回から5点を奪った試合を振り返り「大和の、追い込まれてから右へ打ったヒット。大きかったよね、あれは。流れを考えると、あの1本は大きかったと思うよ」と話しています。3安打の陽川選手については「あの高いフライ(2本の中飛)なんかも紙一重でしょ?1本出れば違ってくる。体がレベルに回り出しているんだと思いますね」という評価でした。

新井選手の二塁打で生還した大和選手と陽川選手。
新井選手の二塁打で生還した大和選手と陽川選手。

さらに「率を上げることより、ホームランを打つ方がいい。3割10本より、2割7分や8分で20本とか30本打つべきだと思う。今の(チームの)右バッターのバランスを考えると。3割打つより20本、30本にこだわるバッターになってほしい」というのが、陽川選手への注文です。

「ホームランの打ち損じがヒットになって2割8分に乗ったりすればいい。本人は率を上げたいかもしれないけど、僕は3割とは思っていない。フォアボールも増えてくるだろうし、そうしたら自然に率も上がるよね。すべてのボールに手を出しているとホームランは増えないので。相手も考えるし、フォアボールは増える。ホームランを打つことによってフォアボールを増やして、そうすれば率が上がる。僕もそうやっていたから」

また榎田投手には「あれだけ経験もしているし、ブルペンでの彼の姿、投内連係での姿を見ていると“自分からやらなきゃ!”って気持ちがわかるね。この1ヶ月を自分にとってブラスにしなきゃいけないと。きのう(11日)の竹安や守屋のピッチングを見て、立ち上がりの大切さがわかっているだろうし、いいピッチングをしていた。リズムもいい」と掛布監督。

三者三様の投手陣

先発の榎田投手は3回1安打無失点!
先発の榎田投手は3回1安打無失点!

では選手のコメントをご紹介しましょう。まず投手陣。榎田投手は「真っすぐのラインが出ている球もありましたが、逆球もあった。ボール球でも結構、高めに反応していた。真っすぐ(のライン)がよく出ていたと思います。変化球の精度は悪くなかった。真っすぐの質を高めたいですね。左バッターのインコース、振ってはいましたが(バッターにとって)アンラッキーで抑えていた部分もあった」と言っています。そして「イメージをつなげていきたい」とのことでした。

田面投手は4回のホームランについて「スライダーが高めに浮きました」と苦い表情。2球続けてスライダーだった?「そうです。サイン通り。あ、高めってのはサインじゃないですよ」。はい、わかります(笑)。「点の取られ方がよくないですねえ。3イニング目(6回)の先頭を、追い込んでからうまく拾われて。ワイルドピッチももったいなかった!ちょっと流れはあまりよくなかったんですけど、キャッチャーも刺してくれたんで」

2人目は田面投手。3イニングで2安打2失点でした。
2人目は田面投手。3イニングで2安打2失点でした。

5回はビシッと三者凡退だったんですが、最後の空振り三振はカーブ?「はい、カーブです。あれでフォームの修正とかできたので、よかったですね」

次は伊藤和投手です。3回パーフェクト!って見出しを考えていたんだけど…と言ったら苦笑い。「感じとしては悪くなかったです。でも3イニング目(9回)はちょっと、上にいっちゃいましたね。3回を投げるのはいつ以来かなと思って。去年のキャンプ以来かもしれません」。そう言われてみると確かに。

久々の3イニングだったという伊藤和投手。
久々の3イニングだったという伊藤和投手。

でも2月のこの時期に、最速146キロですよ。「そんな出ていました?まあ、よかったと思いますね。前のシートバッティングが良くなくて、きのうブルペンで久保コーチに言われて。きょう急によくなりました。去年の秋に言われたのと同じこと。再確認ですね」

というわけで久保投手コーチにも聞いてみます。どんなことでしょう?「体の回転軸について、です。開きたくないあまり、前へいってしまっていたので」。なるほど。それですぐ結果が出たと。「効果てきめんでしたね。一緒に原因を探してあげて、劇的に変わるってのは嬉しいもの。コーチ冥利につきます」。しみじみとした口調でした。

勝利に貢献した新井、陽川、緒方、大和

変わって野手陣のコメントです。1回に2点タイムリー二塁打、6回にはホームランで2安打3打点の新井選手。「ホームランは真っすぐです。ちゃんと芯に当たってくれました!二塁打も真っすぐです」。2安打したことに「人数が少ないこともあって、たくさん打席に立たせていただいているので、ムダにしないようやっていきたいと思います。今のうちに、こうやって実戦で立たせてもらっているうちに、いいものをつかんでいきたい。まだこれから、どんどんやっていかないと」

この日3安打の陽川選手。これは2回の右前打です。
この日3安打の陽川選手。これは2回の右前打です。

3安打の陽川選手は、いまひとつという顔つき。「ヒットが出ましたけど、センターフライ2つ打ち損じがあったので、そういう打ち損じを少しずつなくしていけたらいいなと思います」。でも掛布監督は、そのセンターフライも紙一重だと、体はレベルに回っているという話でしたよ。「今、結果としてヒットは出ていますけど、やっぱり自分の納得するようなものではなかったし、打ち損じが目立っていたので、そこをなくしていけたら。長打の確率を上げていくことが課題です」

前日に続き、先頭でヒットを放って得点につなげた緒方選手。この1安打のみだったせいか「きょうは打つ方が物足りなかったですけど」という言葉から始まったコメントです。でも2盗塁には納得していて「走る中でも課題はいっぱいありますね。きのうは早いカウントからと思って、きょうは行けた。スタートもよかったと思います」と言っていました。

1回は右打席でライト前ヒットの大和選手。
1回は右打席でライト前ヒットの大和選手。

大和選手は、西武の先発が左投手だったため1回は右打席で右前打を放ち、新井選手の二塁打で生還しています。掛布監督も開口一番で「あれが大きかった」と絶賛でしたよ。「追い込まれていたので、ランナーを進めることだけ考えて」打ったそうです。それにしても先発が1回で降板し、次は左、右、左、右、右とコロコロ代わったから、そのたびに準備しなくちゃいけなかったんですね。

「いっそがしかった~!防具をつけかえるのが大変なんですよ。次のピッチャーはどっちか、先に教えてほしい(笑)」

ルーキー初ヒット!しかし反省も

最後はルーキー・長坂選手です。5回に放った左前打については「打ったのは真ん中のまっすぐです。ちょっと詰まりましたけど詰まった分、前に落ちてくれたので良かったと思います」とのこと。バッティングの状態はいい?「シートバッティングから結果が出ているので、いいんだと思います 」。初ヒットですね。どんな気持ち?「めちゃくちゃ嬉しいとかはないですけど、節目というか、初めてのプロでのヒットなので記念かなと思いますね」

5回に出た、長坂選手の“プロ初ヒット”!
5回に出た、長坂選手の“プロ初ヒット”!

そして6回には盗塁阻止も。「いい送球ができたと思います!」とニッコリ。問題なくゲームに入れている?「自分なりに落ち着いてやれていると思います」。ゲームは楽しい?「楽しいですね。結果を出せたんで。ブルペンとは全然違う。またいろいろ勉強して、ゲームメイクもできるようになりたいです」。この試合はいろんな事がありましたねえ。「そうですね。ヒットも、盗塁阻止も、ミス(捕逸、また暴投での失点)もあって。まだまだいっぱい勉強しないといけないです」

練習後、ふと「まだ外にお客さんはいますか?」と聞くので、なぜだろうと思ったら「待っている方にサインをしようと思って。僕まだやっていないんですよ」と長坂選手。なるほど、新井選手とか、全部の練習が終わって帰る前に安芸ドームへ入る道路のところで即席サイン会をしていますね。でもルーキーの、しかも野手って誰よりも帰りが遅いので、なかなかチャンスはありません。この日も試合があって、そこから個別練習、ウエートとやったので外はもう暗くなり始めていました。

監督と勝利のハイタッチをするバッテリー。長坂選手(中)はボールを渡そうと?
監督と勝利のハイタッチをするバッテリー。長坂選手(中)はボールを渡そうと?

とりあえず様子を見に行ってみたら数人おられたものの、それを伝えて長坂選手が向かおうとした時にはもう姿がなく…戻ってきちゃったんです。「せっかく日曜日だからと思ったんですけど」と残念そうでした。でもまたチャンスはありますよ。「そうですね!」。ただ暗くなる前に上がれたことがないような気もするので、どうなるかわかりませんが。長坂選手のその思いは皆さんに届くでしょう!キャンプ中に機会があるよう祈っています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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