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ウエスタン・リーグ開幕 5連覇中の小鷹に逆転勝ち!《3/17 阪神ファーム》 

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
5回1死一、二塁で逆転の2点タイムリー二塁打を放った陽川選手。9回にも同点打!

1軍に先立って、17日にウエスタン・リーグが開幕しました。阪神は、2年目を迎えたタマホームスタジアム筑後でソフトバンクと対戦。なかなかもつれる展開だったのですが、最後の最後に逆転して2017年シーズンのスタートを白星で飾っています。

ここ10年の間に開幕カードでソフトバンクと対戦したのは、今回を入れて6回目。かなり苦手なイメージが強いものの、通算4勝2敗なんですね。しかも2010年(鳴尾浜)が4-0、2011年が3-1(鳴尾浜)、2015年(雁の巣)が4-1、ことし(タマスタ)が5-4と、これで4連勝になりました。まあ“ここ10年間”の“開幕戦”に限っての成績ですけどね。

オープニングセレモニーで整列するソフトバンク。
オープニングセレモニーで整列するソフトバンク。
試合前のメンバー交換。掛布監督(右から2番目)と水上監督(中央)と審判団。
試合前のメンバー交換。掛布監督(右から2番目)と水上監督(中央)と審判団。

タマスタでは既に3月4日、5日の教育リーグで試合をしているものの、公式戦は昨年9月25日のシーズンラストゲーム以来でした。松坂大輔投手が先発することと、試合後にはリーグ5連覇を達成していたソフトバンクへのペナント授与式やファン感謝イベントがあったりして、チケットは前売りで完売の大入りだったんですよねえ。あれからもう半年、早いものです。

初戦はさすがに平日なので、当日券はまだありましたが、それでも朝早くから大勢のお客様が詰めかけたタマスタ。試合は榎田投手と山田投手の先発で始まり、1点ビハインドの9回に阪神が逆転して勝利。同じようにオープン戦で逆転勝ちした1軍みたいな派手さはないものの、この場面は打った選手だけでなく、それぞれがいい仕事をした結果だと言えるでしょう。もちろん無失点リレーのリリーフ陣も!

《ウエスタン公式戦》3月17日

ソフトバンク-阪神 1回戦 (筑後)

阪神 000 120 002 = 5

ソフ 100 120 000 = 4

先発は榎田投手でした。
先発は榎田投手でした。
7回に登板した石崎投手。
7回に登板した石崎投手。
8回を抑え、勝ちがついた山本投手。
8回を抑え、勝ちがついた山本投手。
9回は柳瀬投手が締めています。
9回は柳瀬投手が締めています。

◆バッテリー

【阪神】榎田-石崎‐○山本(1勝)‐S柳瀬(1S) / 長坂

【ソフ】山田(6回)-星野(2回)-●岡本(1敗)(1回) / 斐紹

◆三塁打 九鬼

◆二塁打 真砂、陽川、緒方

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]遊:植田  (4-1-0 / 2-0 / 1 / 0) .250

2]二:大和  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .333

〃打:今成  (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .000

〃走:森越  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

3]中:緒方  (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .200

4]一:陽川  (4-2-3 / 1-1 / 0 / 1) .500

5]三:大山  (5-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .400

6]指:狩野  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

7]左:伊藤隼 (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .500

8]捕:長坂  (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .000

9]右:板山  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .250

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

榎田 6回 89球 (6-4-2 / 4-3 / 4.50) 143

石崎 1回 18球 (1-1-1 / 0-0 / 0.00) 151

山本 1回 7球 (1-0-0 / 0-0 / 0.00) 137

柳瀬 1回 14球 (1-1-0 / 0-0 / 0.00) 136

試合経過

先制したのはソフトバンク。1回2死から榎田は釜元の中前打に続き、4番・真砂の右中間二塁打で1点を失いました。

4回は伊藤隼選手が食らいついて適時内野安打。
4回は伊藤隼選手が食らいついて適時内野安打。
5回は植田選手が内野安打と盗塁でチャンスメイク。
5回は植田選手が内野安打と盗塁でチャンスメイク。

しかし阪神も4回に大山の左前打、狩野の右前打で無死一、三塁として伊藤隼が執念のショート内野安打!これで大山が還って追いつきます。なおも無死一、二塁で長坂がスリーバント失敗、板山は二ゴロ併殺打で1点止まり…。するとその裏、榎田は釜元と真砂に連打され1死一、三塁となって5番の斐紹の中犠飛で勝ち越しを許しました。

でも阪神は5回、先頭の植田がファーストへの内野安打と盗塁、大和は四球、続く緒方のバントはピッチャーフライになってしまい1死一、二塁と変わります。ここで次の陽川がセンターオーバーのタイムリー二塁打!2人とも生還して3対2と逆転成功と喜んだのも束の間、その裏の榎田が下位打線につかまりました。中前打の幸山を張本が初球で送り、続くルーキー・九鬼が右中間へタイムリー三塁打。さらに曽根の打球をファースト・陽川がファンブル…九鬼も還って4対3とまたソフトバンクがリードです。

9回は板山選手の中前打から。
9回は板山選手の中前打から。
2死一、二塁で陽川選手が同点の左前打!
2死一、二塁で陽川選手が同点の左前打!

その後は両チーム追加点なく、阪神も7回の石崎、8回の山本とも1安打ずつされながら抑えています。そして9回、先頭の板山が中前打し、植田は初球でバント成功。代打・今成はストレートの四球を選んで1死一、二塁。緒方は三振に倒れるも、陽川が左前タイムリー!またまた同点となり2死一、二塁で、続く大山の放った鋭い打球がサードの横を抜けた…と思ったのですが、記録はエラーでした。確かに、グラブで弾いたような音もしたような。これで、今成の代走・森越が二塁から生還!

9回裏は柳瀬が登板しました。先頭の幸山に中前打を許し、犠打で二塁へ進めますが後続をビシッと断って無失点。古巣相手に今季初セーブですね。なおソフトバンクは5回の張本、川瀬、9回の三森が犠打を決めていて、しかも全部初球。鮮やかでした。

「勝ったから反省しやすい」と掛布監督

掛布監督は「(5回無死一、二塁で)バントのミスとかありましたが、陽川が4番の仕事をしてくれると楽だよね。植田海の足とかも素晴らしい。大山もそれなりに対応力がある。大したもんだよね。いろいろあったゲーム、勝ったから反省しやすい。個々の選手、勝ちの中から課題が出た。そういう意味では2017年の開幕戦、とってもいいね。バントミスのあと4番としてフォローする、あの1本。大きかったよねえ」とコメント。

出迎える掛布監督に、ウイニングボールを手渡す長坂選手(左)。
出迎える掛布監督に、ウイニングボールを手渡す長坂選手(左)。

さらに9回の攻めを振り返り「人数の少ないベンチをフルに使って戦いました(笑)。代打・今成の、あのフォアボールも大きい!最後の大山のはエラーになったけど、しっかり振り切っているからね」と話しています。

その大山選手について「金本監督が言うように、大山は体が大きくなって体幹が強くなったら、かなり期待していい。今の大山の野球が大切なんだろうね。ずっと1軍にいて(開幕前の降格は)悔しいと思うよ。テンションが落ちてもおかしくないところだけど、すごくいい子。素直でいい子。吸収力もあるし楽しみだね。守備も、投げることで心配がないので、捕ったらアウトと思える安心感がある」と、我々にとっても嬉しい言葉でした。

投手は榎田と柳瀬のコメント

イニング間のキャッチボールをする榎田投手。
イニング間のキャッチボールをする榎田投手。

続いて投手2人の話をご紹介しましょう。まず先発の榎田投手。釜元選手と真砂選手に2安打ずつされたことを聞いてみたところ「当たり事態はそんなによくなかったので。でも、やっぱり9番に打たれてしまったことですかね。気をつけていかないと」と5回1死二塁で9番の、しかもルーキー・九鬼選手(秀岳館)に許した三塁打を反省していました。

「オープン戦や教育リーグと違って野球の流れというものがあるので、1点取ってもらって1点、2点取ってもらって2点取られていては…。そこはしっかり抑えられるように、先頭を切っていかなきゃダメですね。今後はそこをやっていければと思います」

そして最後を締めた柳瀬投手は「最初にしては、まあまあの内容ですね。早く投げたいタイプだから、きょう投げられてよかった。最初につまずくのはよくないんで、難しい場面だったけどゼロに抑えられてよかったです」と振り返りました。

ウイニングボールを持った掛布監督に迎えられる柳瀬投手(左)。
ウイニングボールを持った掛布監督に迎えられる柳瀬投手(左)。

3月4日の教育リーグ初戦も、同じタマスタで古巣のソフトバンク相手。今回も公式戦しょっぱなで「試合前にいろいろ挨拶して、もう少し投げにくいかなと思ったけど、マウンドに立ったら敵なので気にせず投げられた。また1つ思い出に残る試合になりました。次もゼロに抑えられるよう頑張ります」とのことです。

野手は陽川、大山、植田のコメント

変わって野手陣。9回2死の土壇場で同点タイムリーを放った陽川選手ですが「その前に自分のミスで逆転されてしまったので、回ってきたら何とかしてランナーを還そうと思っていました」というコメントです。自身の二塁打で一時は逆転しながら、その直後にエラーで再逆転されたことが申し訳なかったのでしょう。

陽川選手、5回の2点タイムリー二塁打。
陽川選手、5回の2点タイムリー二塁打。

その5回の2点タイムリー二塁打は、3番・緒方選手がバント失敗した直後に打ったもの。掛布監督も評価しています。「そうですね。あそこでゲッツーを取られたら、チームの流れが悪くなる。後ろに何とかつながないと、という意識でした」。また1軍から戻って、少しバッティングがずれていたかと聞かれ「徐々に開きも早くなっていたので、意識しながらやって(今は)いいと思います」と答えた陽川選手。とにかく続けていくしかありませんね。

9回に相手エラーを誘う痛烈な打球を放って逆転勝ちに貢献した大山選手は、他に2安打も。ところが「やっぱり一番は、チャンスでの打席でピッチャーゴロを打ってしまったこと。あそこがいけないですね」と7回1死二塁の場面を反省します。

エラーを誘う当たりを放ち、試合を決めた大山選手。
エラーを誘う当たりを放ち、試合を決めた大山選手。

思いきりのいいスイングだと掛布監督が話していたと伝えても「初球のスイングはまだまだイマイチです。修正していきたいと思います。やるべきことは明確。レベルアップするだけです。一日一日しっかりやっていきたい」と、気合いの入った言葉。

トリは植田選手で、内野安打と盗塁にバントもきっちり?と言ったら「盗塁、よかったです。スタートもよかった。バントとかも、しっかり練習しているので」と少し笑顔がこぼれます。そして「最後、得点に絡めたのが一番よかったですね」と。あの犠打は本当にいい仕事です。ちなみにスリーバント失敗の長坂選手は…へこんでいました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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