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アルファ化米のローリングストックのすすめ ー 料理のコツを伝授

奥田和子甲南女子大名誉教授、日本災害救援ボランティアネットワーク理事

アルファ化米はインターネット、主要な店舗でも市販されるようになり、自宅で備蓄する人も増えつつある。また被災地では救援物資として入手するケースもある。ところが、アルファ化米は災害時だけの食べものという思いが強く、ふだん食べなれていない。開封して熱湯を注ぐだけの食べ方では変化に乏しい。

そこで、アルファ化米を日常食として「ふだん食べ」してみることに挑戦した。災害時はライフラインが止まり米を炊くことが難しい。しかしアルファ化米は、米を炊飯後急速乾燥させて加工しすでに加工調理によってでんぷんが煮え消化しやすい状態になっている。そのため、再加熱時の時間が短縮でき、熱源の軽減も可能で、米を洗う手間も省け比較的容易に料理ができ利便性が高い。そして、何よりも「野菜ジュース」、「だし汁」などを加えた場合、米の芯まで吸い込む特性がある。美味しいパエリアや五目ご飯が出来るのはそのせいであり注目している。そこで、アルファ化米を日々のご飯のかわりに日常食べ、足りなくなったらまた補充するというローリングストック方法を提案する。

今回使用するアルファ化米は他の食品が入っていない「白飯(安心米―島根県出雲市アルファ-食品KK)」を使用した。

以下に示すように、使う食品、調理方法を変えて9種類の料理をつくり実験した結果、アルファ化米の戻し方にはコツがあったので皆さまにお知らせしたい。

「ご飯」の場合は袋の表示通りアルファ化米1袋100gに170mlの水量を加えた。「かゆ、ぞうすい」の場合はアルファ化米50gに270lmの水量を加えた。すべて1人1食分であるが、加える食品が多い場合には2人分できることもあり、いちがいには言えない。

災害時には電気の回復が比較的早いので、電気釜、電子レンジ、ポットなどの電気製品を主体に日常食なのでガスも使用した。

結果を表に示した。

アルファ化米をローリングストックしてふだんに使う場合の3つの方法

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上記の3通りの方法でつくった9種類の料理を以下に示した。

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使用した食材:野菜はたまねぎ、にんじん、やまいも、干し椎茸、黒豆瓶

詰、漬物、野菜ジュース缶、魚肉類はハム、ソーセージ、鶏肉、鮭缶、シーチキン、それに卵、チーズ、牛乳などである。ご自分の好みのもの、冷蔵庫の残りものを使うと充分楽しめる。日常の暮らしなので新鮮な野菜も使用した。

アルファ化米の使い方の要点は、沸騰した液体の中にアルファ化米を振り

入れるとかたまりができにくく戻りやすいことである。大釜で50人分以上大量に炊く時も同じように、必ず沸騰中の液体にアルファ化米を振り入れよく混ぜるとおいしいご飯になる。もちろんしばらくそのまま煮て蒸らすのを忘れないこと。これは湯炊き法といい、昔からのやり方で理にかなっている。

調理助手は中学生の奧田紗月である。中学生でも充分できる。料理を手伝うのではなく、日頃から主体的に料理をするくせをつけ、災害時の自立に備えてほしいものである。これが減災につながる。

甲南女子大名誉教授、日本災害救援ボランティアネットワーク理事

専門は食生活デザイン、食文化、災害・危機管理と食、宗教と食。広島大学教育学部卒業。大阪市立大学学術博士取得。米国カリフォルニア大学バークレー校栄養学科客員研究員、英国ジョーンモアーズ大学食物栄養学科客員研究員、甲南女子大学人間科学部人間環境学科教授を経て、現職に至る。「震災下の食―神戸からの提言」(NHK出版)、「働く人たちの災害食―神戸からの伝言」(編集工房ノア)、「和食ルネッサンス『ご飯』で健康になろう」(同時代社)、「箸の作法」(同時代社)、詩集など著書多数。

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