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「やめる」という選択によってPTAが変わるケースが増えている #PTAやめたの私だ

大塚玲子ライター
(写真:アフロ)

PTAに関する、こんな記事が話題になっています。

#PTAやめたの私だ 「入会しません」 ひとりの主婦の静かなる抵抗(Buzfeed)

内容は、PTA非加入を選んだ、ある女性(お母さん)のお話です。

Yahoo!ニュースに転載された同記事には、同日17:30現在で「6700」ものコメントがついており、多くの人たちの関心や共感を集めていることがわかります。

筆者も取材のなかで、「PTAをやめる(入らない)」という選択が徐々に増えていることを実感しています。そしてその選択は、PTAを任意加入の方向に促し、健全化することにも貢献しているように感じます。

PTAを任意加入にするための方法は、大きく分けて、2つあります。

1「内側からいく方法」…会員として、PTAの内部から働きかける方法

2「外側からいく方法」…非加入や退会を選択することでPTAに外側から働きかける方法

どちらも、そう簡単なことではありません。前者は、周囲の役員さんや学校側との合意形成という高いハードルがありますし、後者は後者で、同調圧力に屈しないだけの精神力が求められます。

でもおそらく、前者(内側から)のほうが、より難易度が高いでしょうか。

後者の場合、なかには学校や役員さんの理解度が低く、話がこじれて嫌な思いをしてしまうケースもあるのですが、このお母さんのように「すんなりと(非加入を)認められた」というケースも、じつは意外とあるからです。

おそらく、みなさんの学校のPTAにも非加入者はすでに何人か存在するのではないかと思います。

なぜそれが知られないかというと、退会の際に「やめたことを、ほかの保護者には言わないでください」と口止めされるケースが多いからです。

その理由は、同記事にも指摘があったように、ひとつは学校や役員さんからすると、非加入者が出てくると細かい部分での対応(いろいろあります)が“めんどう”だから。

もうひとつは、経済的な事情から非加入(会費を払っていない)の家庭もあるため、その部分への配慮、ということもあるかと思います。

実際、「うちは加入届を配っています」というPTAの方にお話を聞いてみると、配り始めたきっかけは「非加入者が登場したから」というケースが少なくありません。

一方で、「わたしが退会したのを機に、PTAが(近隣のPTAも含め)加入届を配るようになりました」といったお話も、ちらほらと聞きます。

この記事に登場されている女性の場合、PTAを任意加入にしてほしい(加入届を配るように)、ということまでは求めておらず、またそういう話にもなっていないようですが、実際のところ非加入者が増えてくれば、学校やPTAも、そういった対応を考えざるを得なくなっていくでしょう。

PTAで現在役員さんをやっている方からすると、こういった話は「厄介」に思えるかもしれません。その気持ちもよくわかります。でも、もしそうやってPTAが変わっていけば、役員さんたちも“前例踏襲”から抜け出しやすくなり、きっとラクになっていくのでは、と思うのです。

ただおそらく、その恩恵を受けるのは、いまの役員さんたちが卒業した後なのですね……。そのときには、べつの役員さんになっている可能性が高いという。

そこが、PTA改革が進みづらい理由のひとつでもあります。

ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

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