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リオ五輪での日韓メダル争いは日本に軍配

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
女子卓球団体で銅メダルの日本(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

リオ五輪での日韓メダル争いは日本に軍配が上がった。金メダル及びメダル獲得総数で日本が韓国を上回ったのは2004年のアテネ五輪以来だ。

日本オリンピック委員会(JOC)が目標にした金メダル数は女子レスリング4個、柔道3個、男子体操3個、競泳3個、バトミントン1個の計14個だった。結果は、金メダルはレスリング4、柔道3、体操2、競泳2、バトミントン1の計12個にとどまったが、銀(8)と銅(21)を合わせるとメダル獲得数は41個と五輪史上最高となった。アメリカの大手データサイト「グレースノート」が予想した37個(金14、銀10、銀13)を4個も上回る成果を上げた。

金メダルは体操と競泳が予想よりも1個少なかったものの、前々回の北京(9)、前回のロンドン(7)よりも増え、メダル獲得総数も北京(25)、ロンドン(38)よりも上回った。また、総合6位と、北京(8位)、ロンドン(11位)の時よりも順位も上げた。

一方の韓国は金10個以上、総合10位以内が目標だったが、順位は8位と目標の10以内に入ったものの、金は9個と目標を下回った。金メダルは、アーチェリ(4)と、テコンドー(2)、それに射撃(1)、フェンシング(1)、ゴルフ(1)と、日本と同じ種目は一つもなかった。

金メダルが10個を割ったのは2004年のアテネ大会以来である。また、メダル総数(21個)でも33個に終わった1988年のソウル五輪以来最低の成績だった。ちなみに韓国はアテネ大会以降の北京、ロンドンではそれぞれ13個の金メダルを獲得し、順位も北京は7位、ロンドンでは5位と上位に食い込んでいた。

金メダルが目標に届かなかったのは、全階級でメダルが可能だった男子柔道で一個も取れなかったのが誤算だったようだ。男子だけで世界ランク1位の選手が4人も出場したことから2個は固いと踏んでいたが、一つも取れなかった。柔道での金メダルゼロは2000年のシドニー以来である。

射撃とフェンシングでも金メダルを各2個期待したが、それぞれ1個しか取れなかった。また、金メダル有望種目のレスリングやバトミントンでも期待外れに終わった。レスリングは銅メダル1個で終わり、バトミントンも正式種目に採用された1992年のバルセロナ大会から2008年まで必ず1個は手にしていたが、ロンドンに続き、今回も金メダルを逃した。極め付きは、お家芸のテコンドーで女子が2個獲得したものの、男子は1個も手にすることができなかった。

夏季五輪ではバルセロナ(1992年)からロンドン五輪(2012年)までの計6回の大会で韓国が金メダル数、順位で日本よりも下回ったのは2004年のアテネ五輪のたった1回しかなかった。

バルセロナは日本22個(金3、銀8、銅11)に対して韓国29個(金12、銀5、銅12)、アトランタ(1996年)は日本14個(金3、銀6、銅5)に対して韓国27個(金7、銀15、銅5)、シドニー(2000年)も日本18個(金5、銀8、銅5)に対して韓国28個(金8、銀10、銅10)とこれまた韓国が上だった。

日本が韓国を上回ったのは、アテネ(2004年)で日本37個(金16、銀9、銅12)に対して韓国は30個(金9、銀12、銅9)と、金メダルの数でもメダルの総数でも日本が韓国を上回った。

しかし、北京(2008年)では日本25個(金9、銀6、銅10)に対して韓国31個(金13、銀10、銅8)と逆転され、前回のロンドンでは日本38個(金7、銀14、銅17)に対して韓国28個(金13、銀8、銅7)と、メダル総数では上回ったものの金メダル数で劣ったため順位は11位と、5位の韓国よりも下位に甘んじていた。

今回は、日本が金メダルで12対9、銀メダルで8対3、銅メダルで21対9、順位で6位と11位と、あらゆる面で韓国を圧倒した。

メダルを獲得した競技種目も日本は陸上(銀1、銅1)、競泳(金2、銀2、銅3)、体操(金2、銅1)、柔道(金3、銀1、銅8)、レスリング(金4、銀3)、ウエイトリフティング(銅1)、卓球(銀1、銅2)、テニス(銅1)、バトミントン(金1、銀1)、シンクロナイズスイミング(銅2)、カヌー(銅1)と幅広く12種目に及んでいるが、韓国は柔道(銀2、銅1)、レスリング(銅1)、ウエイトリフティング(銅1)、バトミントン(銅1)、アーチェリ―(金4、銅1)、フェンシング(金1、銅1)、射撃(金1、銀1)、テコンドー(金2、銅3)、ゴルフ(金1)と3種目少ない9種目だった。韓国は日本が複数のメダルを取った競泳、体操、卓球ではいずれもメダルゼロに終わった。

日本は次回2020年の夏季五輪の主催国である。前回、前々回の大会の例を見ると、北京大会で金19、銀13、銅15だった英国はロンドン大会では金29、銀17、銅19と大幅に伸ばし、順位も4位から3位に上げている。中国もアテネ五輪では金32、銀17、銅14と順位も2位だったが、北京大会では金51、銀21、銅28と増やし、米国を抜いて1位になっている。

前例からして、日韓のこの差はさらに開くことはあっても、韓国を下回ることはまずあり得ないだろう。

参考資料 日本は金メダル獲得数で韓国を上回れるか

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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