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核実験もミサイル発射もカウントダウンに入った!? 後は「Xデー」

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
2月7日に「衛星」と称して発射された「テポドン」

北朝鮮の核実験場やミサイル発射場で不穏な動きがあることから韓国軍はRC-800とRF-16偵察機を投入し、監視にあたっている。政府も非常待機態勢を敷いている。

米国もまた、高高度戦略偵察機U-2やEO-5Cクレージホーク偵察機、通信盗聴用特殊偵察機RC-12を投入するだけでなく、ミサイル基地と核施設、さらには北朝鮮軍の移動を監視できる沖縄駐留の最新鋭偵察機J-STARS(E-8Cジョイントスターズ)まで動員している。

韓国では5度目の核実験(核弾頭の爆発実験)が9月9日の建国記念日に合わせて行われていることから、明日の労働党創建日(10日)に合わせて核実験、もしくはミサイルの発射もあり得ると構えている。

「Xデー」は不明だが、6度目の核実験も、「KN-08」あるいはその改良型の「KN-14」と呼ばれる長距離弾道ミサイル(ICBM)の発射実験も、さらには「衛星」と称して発射されてきた長距離弾道ミサイル「テポドン」の発射もすべて年内まで行われる公算が高い。その根拠は大きく分けて二つある。

(参考資料:安保理の対北非難「声明」は北朝鮮にとっては「不渡り手形」

一つは、最高司令官である金正恩委員長が以下のように直接指示していることだ。

「必要な核物質を生産し、核兵器技術をたゆみなく発展させ、より威力的で精密化、小型化した核兵器とその運搬手段をもっと多く作るだけでなく、すでに実戦配備した核打撃手段も更新し続けるための対策を立てなければならない」(3月9日、核兵器開発に従事している科学者や技術者らに対して行った指示)

「新たに研究製作した核弾頭の威力を判定するための核爆発実験と、核攻撃能力を高めるのに必要な実験を続けていかなければならない」(3月10日、射程500kmの弾道ミサイル発射テストを視察した際の指示)

「核攻撃能力の信頼性をさらに高めるため、早い時期に核弾頭の爆発実験と核弾頭装着が可能なあらゆる種類の弾道ロケット(ミサイル)試験発射を断行せよ」(3月15日、弾道ミサイルの大気圏再突入環境試験に立ち会った際の指示)

「水爆実験で幕が開けた今年に多階段で起きた核武力強化の奇跡的成果を引き続き拡大せよ」(9月5日、ノドンミサイルの発射に立ち会った際の指示)

「衛星を多く製作し、発射して、数年内に停止衛星保有国にせよ」(9月19日、停止衛星運搬ロケット用の新型エンジン噴出試験に立ち会った際の指示)

次に、核実験も、ミサイルの発射もすでに予告していることだ。

北朝鮮は外務省が5度目の核実験から2日後の9月11日、「我々の尊厳と生存権を保衛するため核武力の質量的強化措置を継続する」と公言したのを皮切りに9月15日には李容浩外相がベネズエラで開かれた第17回非同盟運動閣僚会議での演説で米軍の長距離戦略爆撃機B-1Bが朝鮮半島に飛来してきたことについて触れた際「米国の挑発に対抗して別の攻撃を開始する準備ができている」と報復措置を示唆していた。さらに、2日後の17日付の労働新聞には「米国の核脅威と制裁圧力が続く限り、それに伴う我々式の自衛的対応措置も連続的に取ることになるだろう」との記事が掲載されていた。

(参考資料:不気味な北朝鮮外相の「新たな攻撃」発言

今月(10月)に入っても、6日の国連総会第一委員会(軍縮・安全保障委員会)で北朝鮮の代表が「自衛的な核戦力を質的、量的にさらに強化する」と核実験を示唆する一方で、「宇宙制服の活路を開いていく」と述べ、衛星打ち上げ目的で長距離弾道ミサイルの発射を示唆していた。また、翌7日には北朝鮮外務省が「米国は近い将来、我々の命を狙った槍の先がむしろ自分らの息の根を止めることになる恐ろしい現実に直面するだろう」と警告していた。

そして、昨日8日には「今月6日と7日にB-1Bが朝鮮半島上空を飛行した」と突然言い出し、「米国の核先制打撃企図が一層無謀になっている条件下で我が軍隊の対応も一層徹底的、無慈悲に行われるだろう。不敗の先軍朝鮮が、好戦漢らが追及する核先制打撃妄動をどのように粉砕するかを世界ははっきりと見ることになるだろう」と、不気味な予告をしていた。

北朝鮮の対抗措置は、国連安保理のミサイル発射非難声明(8月25日)に反発して出した外務省スポークスマン声明(8月28日)の中で「事変的行動措置を段階的に見せつける」と予告していることからおそらく連続的に行われる可能性が考えられる。まして、オバマ政権下でやることはぜんぶやってしまう計略ならば、12月までにすべての実験を駆け込み的にやる公算が強い。

それには大義名分と記念日が必要となるが、今月は10日から米韓合同海上軍事訓練が始まり、国連安保理の新たな制裁決議も今月中には採択されることから「対抗措置」を取る大義名分はある。また、来月(11月)は8日に米大統領選挙があるし、12月は「科学院」設立日(1日)、「科学工業の日」(6日)、「軍需工業の日」(12日)、金正日総書記死去5周忌(17日)、金正恩最高司令官就任5周年(30日)と記念日が目白押しである。

(参考資料:国連安保理が追加制裁すれば、初のICBM発射か、6度目の核実験か

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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