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鯖江市が「学生による滞在型まちづくり活動支援」を開始

西田亮介社会学者/日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授

先日のNHK Eテレビ「ニッポンのジレンマ」では、「オープンデータで日本最先端を目指すまち」としてご紹介した福井県鯖江市ですが、今度は「学生による滞在型まちづくり活動支援」を開始しました。

「「僕らの地域活性化作戦」番組収録後インタビュー:西田亮介」→

http://dilemmaplus.nhk-book.co.jp/talk/3713

鯖江市には大学が立地していないのですが、実は密かに「大学生によるまちづくり」が盛んです。これまで5回にわたって「鯖江市地域活性化プランコンテスト」を開催し、その完成度が高く、大学生たちにも大好評です。仕掛けているのは、鯖江市地域活性化プランコンテスト実行委員会という、いわゆる実行委員会形式を用いた官民協働プロジェクトです。竹部美樹さんという東京のIT企業でビジネスと、ビジネスプランコンテストの運営に精通された方がキーパーソンとなっていて、本格的で、かつ大学生にとっての学習効果の高い企画になっています。

また鯖江市も、提出された企画に、各担当課がきちんと実現可能性を回答し、良いものは市政に採用していくという本気度です。これまで「さばえブランド大使」などが実現しました。

さて、今回の企画は、鯖江市の宿泊施設で「提案型まちづくり活動」「合宿型まちづくり活動」「ゼミ合宿・ゼミ視察活動」を行う場合、1人1泊1000円〜1500円の宿泊費を補助するというもの。そして受け入れはNPO法人エル・コミュニティが担当してくれます。エル・コミュニティは鯖江の若手のキーパーソンが中心に、情報化や地域振興の企画を担っています。

派手ではないものの、着実に地域を外に開いていく活動といえます。大学生や大学教員という「さらにその先の情報発信」を期待できる、あるいは将来成長して大きく地域への還元を期待できる主体にうまく訴求しています。

より詳しくは以下の、鯖江市のページを参考に。

「学生滞在型まちづくり活動支援について(合宿補助)」

http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=9392

社会学者/日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授

博士(政策・メディア)。専門は社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大学大学院特別招聘准教授、東京工業大学准教授等を経て2024年日本大学に着任。『メディアと自民党』『情報武装する政治』『コロナ危機の社会学』『ネット選挙』『無業社会』(工藤啓氏と共著)など著書多数。省庁、地方自治体、業界団体等で広報関係の有識者会議等を構成。偽情報対策や放送政策も詳しい。10年以上各種コメンテーターを務める。

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