部活動 「自主的」なのに「全員加入」 全国の学校で長年つづく“制度違反”

部活動は生徒の「自主的な活動」と定められているが、現実には強制参加となっている

■「部活動をしない」という選択肢

4月も下旬に入り、中学校や高校では、いよいよ新入生が見学や体験を経て、正式に部活動に加入する時期になった。事前に、希望調査用紙に、どの部活動に入りたいかを記入した生徒も多いことだろう。

ところで、その用紙に、「部活動には入らない」という選択肢はあっただろうか。そして、学校側は、ちゃんとその選択肢を設けていただろうか。

部活動は、長年にわたって学校教育に根づいてきたため、参加して当たり前の空気がある。だが、じつは部活動というのは、正規の教育活動には含まれていない。

■部活動=生徒の自主的な活動

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長らく、日本の部活動の理念は、「子どもの自主性」に置かれてきた(中澤篤史『運動部活動の戦後と現在』青弓社)。なるほど、文部科学省が定める中学校の学習指導要領には、部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」(中学校学習指導要領、第1章総則)と記されている。

つまり、どの部活動に所属するかはもちろんのこと、そもそも部活動をするかどうか自体も、生徒が自分で決めればよい。「部活動には入らない」という選択肢も、当然、生徒が自主的にそう決めることができる。

■生徒全員が強制加入

ところが、現実はそうなっていない。

正規の教育活動ではない部活動、つまり生徒の自主的な参加によるはずの部活動が、実際には生徒全員の強制加入となっている場合が多い。

下の表をみるとわかるように、調査時期はやや古いものの2008年の時点で、部活動の参加を生徒に義務付けている学校が、岩手県では99.1%を占めている。岩手県ほどではないにしても、静岡県では54.1%、香川県では50.0%で半数を超えている。

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東京都は8.9%とかなり少ないものの、ここで問題なのは、自主的なものが強制されている点であるから、8.9%とはいえ、そうした学校があること自体に疑問符がつく。

なお、1996年の文部省による全国調査では、中学校では54.6%が全員加入をとっている。また、近年の調査においても、島根県では2011年度時点で中学校の45.0%が全員加入(高校は7%)、山口県では2013年度時点で中学校の27.7%が全員加入である。

■生徒が全員加入、教員が全員顧問

複数の調査結果からは、地域によって差はあるものの、全国的に中学校の部活動では、生徒は全員加入の歴史がずっとつづいてきたということがいえる。

すでにお気づきの人もいるかもしれない。じつはこのことは、教員側の「全員顧問」の問題につながっている。2015年に入ってから、教員に部活動顧問の仕事が強制される点について、それを問題視する声があがっている。私も複数のエントリを出して、問題を訴えた(「部活動顧問の過重負担 声をあげた先生たち」など)。

その主張のエッセンスというのは、生徒における全員加入の問題とまったく同じである。すなわち、部活動というのは、正規の教育活動ではないにもかかわらず、なぜその顧問を強制的に担当させられるのかということである。そのせいで、平日の時間外さらには土日にも部活動を指導しなければならない。それによって、授業の準備が手薄になることを嘆く教員もいる。

■部活動の明確な制度設計を

教員にとっては、職務として制度化されていないものが強制されている。生徒にとっては、自主的な判断にゆだねられているものが強制されている。

部活動は、明確な制度的規定を欠いたまま、慣習として、長年にわたって存続されてきた。そのなかで、自主的にはそれを望まない生徒や教員の声は、ずっとかき消されてきた。部活動とはいったい何なのか。これ以上、グレーな状況を放置しておくわけにはいかない。慣習に頼るのではなく、明確な制度設計が必要である。

<生徒や教員の負担感に関するエントリ>

内田良「部活動 先生も生徒も 本音は『休みたい』」

<表の出典>

中澤篤史・西島央・矢野博之・熊谷信司、2008、「中学校部活動の指導・運営の現状と次期指導要領に向けた課題に関する教育社会学的研究」『東京大学大学院教育学研究科紀要』48: 317-337.

<写真の出典>

「写真素材 足成」