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【雨のライディングも工夫次第】雨の季節を少しでも快適に過ごすために!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
梅雨時はライダーにとって辛い季節

ジメジメした日が続きます。今年の梅雨明けはやや遅めで、地域によっては7月後半になりそうですね。そこで、バイクライダーにとっての大敵、雨の日を少しでも快適に過ごすためのネタをお伝えできればと。

雨の中を走るのは誰でもイヤなものですよね。でも、気持ちまで萎えてしまうと、せっかくのツーリングも楽しくなくなってしまいます。そこでまず私がやっていることは気持ちの入れ替え、セルフモチベーションアップです。雨といってもたかが水。水は生命の源であり、人間も元をたどれば太古の海からやってきた。これぞ天の恵みだ!などと自分に言い聞かせるだけで、だいぶ気が楽になります(笑)。

次は装備。雨天では視界確保が最重要です。安全のためにも、ヘルメットのシールドは曇り防止のピンロックシステムの装着をおすすめします。これはシールドの内側にもう一枚薄いシールドが重ねてあり、その間に空気の層を作ることで結露を防ぐシステムです。ペアガラスなどと同じ発想ですね。

また、細かいテクニックとしては、ヘルメットを被る前に髪毛を濡らさないこと。蒸れて曇るからです。また、首回りはどうしても密閉できないので雨が浸入しやすく、不快になりやすい部分です。自分の場合、ネックウォーマーや夏だと速乾素材のバンダナを首に巻いたりして浸水を低減しています。用品メーカーからヘルメット下側に装着するタイプの防水アタッチメントなども出ていますので、参考にされるといいでしょう。

グローブについては高速道路を一気に移動する場合などは本格的なレイングローブを使います。ただ頻繁に着脱すると、どんな防水タイプでも内部が濡れてきてしまうので、近距離なら濡れる前提でネオプレーンタイプのほうが使い勝手がいいと思います。足元はアスファルトからの跳ね水などにより最もヘビーに濡れる部位。自分の場合、ハーフ丈の全天候タイプの革製ブーツを愛用しています。ゴアテックスなどの透湿防水フィルムが内装されているので快適性は抜群。これ一足あれば、真夏以外はいつでもどこでも気持ちよく過ごせるのでおすすめです。

要となるレインウエアは今や常識となった透湿防水タイプで決まり。昔ながらのビニール製などの合羽だと内部が結露して気持ち悪くなります。防水性能については「耐水圧表示」が目安で、この値が高いほどハイスペック。たとえば高速連続走行や暴風雨のときなどに威力を発揮します。ただ、その分値段も張るので、折衷案としてはオールウエザータイプのジャケット&パンツ等を最初から着ておいて、軽い雨ならそのままで通してしまい、大雨になったらコンパクトタイプのレインウエアを重ね着する手もあります。レインウエアを着るときは襟や袖、裾をしっかりと絞って浸水を防ぎつつ、なるべくバタつかないようにするのがポイントです。

また、レインウエアは「降られる前に着る」のが大事。濡れたジャケットの上から着込んでも、身体が冷えたり逆に蒸したりしてかえって不快になります。今は天気予報の「雨雲レーダー」などを見れば、直近の天候もかなりの精度で分かるので有効に活用したいものですね。

小物として意外と役立つのが人工セーム革。洗車の仕上げなどに使うあれです。吸水力抜群で、ヘルメットやシートをさっと拭くのに便利。絞れば何回も使えるし、乾くとコンパクトになるので収納に場所をとりません。ちなみに私はハンカチ程度の大きさの古くなったスイム用タオルを使っています。

そんなこんなで、いろいろ工夫してみると、雨天のライディングもそれほど苦にはならないはず。快適に帰ってこられれば貴方の勝ちです。まあ、最後は気の持ちようですけどね。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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