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【BMWのマキシ・スクーターに新型登場】「C650」シリーズが走りと装備をアップグレード!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
BMWが提唱する“持続可能なパーソナルモビリティ”

BMWモトラッドが手掛けるコミューター分野で「C」シリーズとして知られるマキシ・スクーターに新型が登場。「ニューBMW C 650 Sport」および「ニューBMW C 650 GT」として、3月11日より国内で発売開始となる。

スポーツ指向の「C 600 Sport」は名称が「C 650 Sport」に改められ、新しいデザインのフェアリングを採用しつつ外観を全面的にリファイン。エッジの効いたよりダイナミックなデザインに洗練された。一方、長距離ツーリングでの走行快適性やトランク等の収納力に主眼を置いて開発された「C 650 GT」は、車体後部のライトとフェアリングの形状を見直し、振動を低減する新設計のリアビュー・ミラーなどが採用された。

発進時のダイレクトなレスポンスと俊敏な加速性

BMW C 650 Sport
BMW C 650 Sport

共通の改良点としては、危険な路面状況のときにエンジン出力を制御するASC(いわゆるトラクションコントロール)が新たに標準装備されたこと。また駆動系も進化し、スクーターでは一般的なCVT(無段階変速機)と遠心クラッチの組み合わせにも改良が施されたことで、発進時のダイレクトなレスポンスと俊敏な加速性能を得ている。

さらにサスペンションにもファインチューニングが加えられ、乗り心地や路面追従性が向上。マフラーも内部構造やデザインなどが見直され音質が改善。並列2気筒270度クランクならではの鼓動感溢れるスポーティなサウンドに磨きがかかった。センタースタンドも改良されて使い勝手が向上するなど、全般的に細かな改良が加えられている。

また、新型C650には独自のソナーによってバックミラーの死角をカバーし危険をライダーに知らせる安全装置「サイドビューアシスト」がオプション設定される(初年度国内導入はない模様)など、BMWの先進性をアピールする機構が盛り込まれている。

BMW C 650 GT
BMW C 650 GT

BMWの提示する“持続可能なパーソナルモビリティ”

BMWに「C」シリーズの初期型が導入されたのは2012年。それまで大型スポーツバイクに特化してきたBMWが初めてスクーター分野に進出して話題を呼んだことは記憶に新しい。その当時、マキシ・スクーター(いわゆるビッグスクーター)市場への参入の狙いについてBMWは、世界の交通環境の急速に変化に対応するものとしていた。都市への人口集中とこれに伴う慢性的な渋滞の発生や駐車スペースの不足、排出ガス増加、ガソリン価格の高騰など、今後さらに厳しさを増すであろうこれらの問題に対しての解決策がBMWの提示する“持続可能なパーソナルモビリティ”だった。

新型「C」シリーズがどこまで存在感を示せるか

その先陣を切るかたちで登場したのが「C 600 Sport」および「C 650 GT」であり、今後はスクーターの枠にとどまらない新たな「Urban Mobility(アーバン・モビリティ)」のジャンルとして確立していく計画を世界に向けてアナウンスした。それが4年前であるが、モーターサイクルを取り巻く交通環境そのものは当時と大きく変わっていないように見える。もちろん、電動スクーターや燃料電池で動くバイクの研究開発も日進月歩ではあるが、これら次世代のコミューターが主流となるまでにはまだ時間がかかるだろう。ちなみにBMWでは初の電動スクーター「C evolution」を、次期マキシ・スクーター戦略の中核として2017年以降に市販化を計画しているらしい。

C evolution
C evolution

「C」シリーズはマキシ・スクーター分野において初のプレミアム・モデルとして鳴り物入りで登場したが、市場の反応を見る限り日本ではそのコンセプトが十分浸透したとは言い難い。新型「C」シリーズがどこまで存在感を示せるか注目したい。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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