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ヤマハのカスタムビルダー「YARD Build」からXSR700ベースのトラッカーモデル登場

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
Yard Built XSR700 Custom

YARD Buildが示した新たなカスタムの方向性

XJR1300やVMAXなどをベースに個性的なカスタムバイクを提案してきた、ヤマハ・モーター・ヨーロッパのプロジェクト「YARD Build」(ヤードビルド)から、新たなカスタムの方向性が示された。

それは、並列2気筒エンジン搭載するMT-07とプラットフォームを共有するネオレトロスポーツ、XSR700をベースに作られたトラッカースタイルのモデルである。

製作を担当したのは、ヤードビルドに新たに加わったトルコ・イスタンブールのカスタムビルダー「バンカーカスタムモーターサイクルズ」。その完成度の高さには、ヤマハ・モーター・ヨーロッパのマーケティングコーディネーターであるクリスチャン・バレリも太鼓判を押しているようだ。

「XSR700の持つ俊敏さとパワーといった特徴をうまく表現しつつ、さらに新たな顔を与えてくれたことに感動している」とクリスチャン。これに対して、バンカーカスタムのウザール兄弟は「できる限り自由な精神を与えたかったので、我々としてはトラッカースタイルを選びました」とのこと。

もともと軽量なツインエンジンがそのベースとしても最適で、自由な発想でインスピレーションが広がったそうだ。

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あらゆる地形で対応できる走破性

スポーツヘリテイジのトラッカースタイルを実現するために、あえて6cmシート高を上げてライダーがスタンディングでも動き回りやすいポジションとし、新たに装備されたレンサルバーもこれに合わせてセットアップ。

エキパイとサイレンサーの取り回しも全面的に見直してグランドクリアランスも14cmから20cmに拡大。2 in 1のエキゾーストシステムはステンレス製の手作りで、アクラポビッチの触媒装置をコンバートするなど排ガスにも対応している。

足回りにも手が入っている。フロントフォークはMT-09トレーサー用の倒立タイプに交換され、オフロードでの快適性と実用性を両立。スーパーテネレ用のフロント19インチ&リヤ17インチワイヤースポークホイールにGT201デュアルパーパス用タイヤを装備し、あらゆる地形での走破性を高めている。

こだわりの外装デザイン

その他、オリジナリティを演出するために、燃料タンクカバーやサイドパネル、前後フェンダー、ラジエターカバーとシートカウルを含むすべての本体パネルを手加工で打ち出された2mm厚アルミニウム製プレートと交換するなど、外装にも徹底してこだわっている。

フロントフェンダーやヘッドライトのステーも8mm鋼管から作る徹底ぶり。そして、これらのバーツはすべてストック状態のXSR700のフレームにボルトオン装着できるというから驚きだ。

また、鍛造ブレーキ&クラッチレバーやフットペグ、サイドスタンドなどはヤマハ純正アクセサリーパーツを流用しつつ、80年代を彷彿させるシンプルで美しいグラフィックで仕上げられているところにも注目したい。

サイトにアップされている動画を見ると、丁寧に作り込まれたクラフトマンシップを感じされる仕事ぶりや、ハードな林道を楽しそうに攻めているタフな走りっぷりも表現されている。

市販の期待度は…?

XJR1300CやXSRシリーズなど「YARD Build」発のコンセプトモデルから市販モデルが生まれる例も少なくないことから、こちらのクロス・プレーン2気筒を搭載したクールなトラッカースタイルの市販化も十分期待できそうだ。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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