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【冒険心をそそるスポーツモデル】最近気になる「アドベンチャースポーツ」に注目!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト

■今注目の「アドベンチャースポーツ」とは・・・

ここ数年、世界的に流行りのアドベンチャーモデル。長距離を快適に移動するための高速巡航性能と、その気になれば道なき道にも分け入れる高い走破性を兼ね備えた、冒険心あふれるツーリングモデルである。

その中でも最近、カテゴリーの細分化が起きているようだ。より本格的なオフロード性能が与えられた、たとえばCRF1000Lアフリカツインのようなモデルもあれば、一方ではよりロードスポーツ性能に軸足を置いた「アドベンチャースポーツ」のような一群も存在感を増してきた。

先頃開催されたJAIA主催の輸入ブランドの一気乗り試乗会から、今注目の「アドベンチャースポーツ」を3台ご紹介したい。

■BMW S1000XR

圧倒的パワーと群を抜くスポーツ性能

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昨年夏に発売されたBMW「S1000 XR」は、スーパースポーツS1000RRの革新的テクノロジーとR1200GSシリーズで培ったツーリング性能を融合したモデル。

S1000RR譲りの高性能4気筒エンジンを搭載した強靭な車体に、ロングストロークの前後サスペンションを組み合わせ、アウトバーンでの高速巡航性能と荒れた路面などでの優れた走破性を高い次元で両立したモデルだ。

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デザイン的にもR1200GS譲りの先鋭的なフロントエンドに防風性に優れるスクリーン、アップタイプのテール形状や2灯ヘッドライトをS1000RRから受け継ぐなど、両方のコンセプトが融合したものとなっている。

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光るのはやはり圧倒的パワー。ピーク160psを発揮する直4エンジンならではの伸び切り感のあるフィーリングはまさにスーパーバイクS1000RRそのもの。

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加えて、ライディングモードによって、荷物やパッセンジャーを搭載した日常走行から積極的なスポーツライディングまで、様々な状況に応じて幅広いセットアップが瞬時に可能など、優れた実用性能も備えている。

乗った感じは足長のS1000RR。タンデムでも変わらない軽快なハンドリングと790mmの低めのシート高も魅力だ。

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■DUCATI MULTISTRADA1200S

オフロードも攻められる究極の万能マシン

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4つのカテゴリーの性能を1台に集約した「4バイクス・イン1」のコンセプトで登場したドゥカティ「ムルティストラーダ1200」は、ボタンひとつで瞬時に「都市コミューター」、「長距離ツアラー」、「高性能スポーツバイク」、「エンデューロモデル」に変身するライディングモードが特徴。

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昨年リリースされた3代目となる最新型では電子制御サスペンション「スカイフック」が進化し、可変バルブシステム搭載の「テスタストレッタDVTエンジン」により、低速トルクに粘りが出たことで日常での使い勝手が格段に良くなった。

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加えて幅が絞り込まれた可変式シートは800mmまでシート高を下げられるため、多くのライダーが普通に乗れることも美点。ハンドル切れ角が片側40度に増えて(従来は38度)、狭い路地でのUターンもしやすくなったことも嬉しい。

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圧巻はオフロード性能で、とても普通のロードバイクでは走れないような、泥濘のある林道をスロットル全開で突っ走っていくことができる。フルバンクでも安心してブレーキをかけられる、ボッシュ&ブレンボ製コーナリングABSも頼もしい限り。

厚めのリヤシートやグラブバーなどタンデム用装備も充実。まさにスーパー全方位マシンである。

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■APRILIA CAPONORD 1200 TRAVEL PACK

快適に距離を伸ばせるタンデム最強モデル

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2014年登場の、アプリリア初となる本格派スポーツアドベンチャーが「カポノルド1200」だ。WGPやスーパーバイク世界選手権など、最高峰のレースシーンで培った技術が投入されたハイテクマシンで、V型2気筒1,197ccの排気量から125psを発揮。剛性バランスに優れるトラス構造鋼管フレームによるしなやかな乗り味も魅力だ。

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電子制御もフル搭載で、RSV4譲りのライド・バイ・ワイヤによるエンジンマッピングや、ATC(アプリリアトラクションコントロール)、ADD (アプリリアダイナミックダンピングコントロールシステム)、クルーズコントロールを標準装備。

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特に路面状況やライダーの操作情報などを正確に感知して、前後サスペンションの減衰力を瞬時に自動調整するセミアクティブサスペンションの乗り心地は特筆すべきものだ。

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今回の3モデルの中では最もツアラー的な立ち位置で、あくまでもオンロード主体の走行性能に重点を置いているのは明らか。「トラベルパック」と銘打たれたサブネームからも分かるとおり、パニアケースに荷物を満載して、タンデムでも余裕でワインディングや高速ロングツーリングを楽しめるモデルだ。

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■憧れと日常をコネクトしてくれるマシン

ここに紹介した3台は、いずれもモーターサイクルの最先端をいく魅力的なマシンばかりだ。ユーザーの中には冒険を身近に感じさせてくれるアドベンチャーモデルのイメージが好きだが、実際は普段のツーリングに使いたいという人も多いはず。「アドベンチャースポーツ」は、そうした憧れと日常を高次元でコネクトしてくれるマシンだ。まずは試乗してみて、自分にベストな一台を探求してみるのもいいだろう。

※筆者自身が原文から一部加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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