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【英国車の伝統香る本格派カフェレーサー】「スラクストン」スタンダード版がいよいよ国内発売へ!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
TRIUMPH THRUXTON

■スポーティな外観と性能を持つスタンダードモデルが国内デビュー!

トライアンフのニューボンネビルシリーズ、「スラクストン・スタンダードモデル」が正式に日本導入されることになった。

スラクストンは昨年秋にロンドンで開催されたワールドプレミアで発表された、水冷エンジンプラットフォームを搭載する新型ボンネビルシリーズの中でも、スポーティな外観と性能が与えられたモデルである。

ボンネビルT120がネオクラシックの王道を行く正統派スタイルとすれば、スラクストンは軽快なカフェレーサースタイルが特徴となっている。国内では先行して4月より上級モデル「スラクストンR」が投入されていたが、多くのファンの要望に応えるかたちで、いよいよスタンダードモデルが国内デビューとなる。

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■基本パッケージはスラクストンRと共通

新開発の高回転高出力型の水冷並列2気筒4バルブSOHC1200ccエンジンを鋼管ダブルクレードルフレームに搭載する、基本パッケージはスラクストンRと共通で、新型ボンネビルシリーズ共通の270度位相クランクによる小気味よい鼓動感が魅力。

シリーズ最強となる最高出力72kW(97ps)/6,750rpm、最大トルク112N・m(11.4kgf・m)/4,950rpmのスペックも同様だ。

また、ABSやトラクションコントロール、ライド・バイ・ワイヤによる3種類のライディングモード(ロード/レイン/スポーツ)、スリップアシストクラッチなどの電子デバイスや安全装備もスラクストンRと同様。

USB電源ソケットや多機能ツインメーター、イモビライザー、LEDテールライトなどのユーティリティも充実している。

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■足回りをストリート寄りに最適化

一方でスラクストンRとの相違は主にサスペンションやブレーキなどの足まわりで、よりストリート寄りの設定になっているのが特徴だ。

スラクストンRがフロントにスーパースポーツでは定番のブレンボ製ラジアルマウント4Pモノブロックキャリパーを搭載しているのに対し、スタンダードは標準的なニッシン製2Pキャリパーをセレクト。ディスクローターもフローティングではなくソリッドタイプとなっている。

また、サスペンションもスラクストンRは前後にショーワ製ビッグピストン倒立フォークとオーリンズ製ツインショック(ともにフルアジャスタブル)を組み合わせるのに対し、スタンダードはカヤバ製正立フォークとツインショック(調整機構はリヤ側プリロードのみ)とするなどオーソドックスな仕様。

さらにタイヤもメッツラー・スポルテックM7RR(スラクストンRはピレリ・ディアブロロッソコルサ)が標準装備されるなど、スポーツツーリング向けの設定と言える。

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他にもディテールを見ていくと、スタンダードはシート高が805mm(スラクストンRは810mm)とやや低く、キャスター角とトレール量も若干異なっているが、おそらくは前後サスペンションの設定の違いによるものと思われる。

■モダンな走りと、古き良き時代の英国車の香り

データで見ると、たしかにスラクストンRは高性能バージョンでスタンダードは普及モデルと思われがちだが、実は”立ち位置”に少し違いがある。

フォークブーツの付いた正立フォークや黒スプリングのリヤショック、ソリッドディスクやメッキ仕上げのミラーとウインカーボディなど、よりクラシカルな雰囲気で統一されていることも見逃せないポイント。伝統的なブリティッシュグリーン(コンペティショングリーン)が専用カラーとして用意されていることも大きな魅力だろう。

スラクストンはモダンな走りの中にも、古き良き時代の英国車の香りを運んでくれる本格派カフェレーサーとして注目される。

スラクストンRより約18万円安い161万2000円というプライスも魅力的だ。

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モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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