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MotoGP日本ラウンドが今週末に開幕!世界最高峰の走りを存分に楽しもう!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト

ロードレース世界選手権「MotoGP」第14戦日本グランプリが、いよいよ今週末にツインリンクもてぎで開催されます。世界最高峰の2輪レースに相応しいエキサイティングな感動を、今年もきっと私たちにプレゼントしてくれるはずです。

そこで今回はMotoGPの楽しみ方について、ちょっとお話しできればと。

チャンピオンシップもいよいよ白熱

今シーズも終盤へと差し掛かり、チャンピオンシップもいよいよ白熱。振り返れば、過去にももてぎで年間王者が決定する場合も多く、また世界の4大バイクメーカーのお膝元ということもあり、各メーカーとライダーにとっても特別な一戦になるのが日本GPです。

ホンダのマルク・マルケスとダニ・ペドロサ、ヤマハのヴァレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロレンソといった、2大ワークスの4強ライダーによるチャンピオンシップ争いはもちろん最大の関心事ですが、そこにドゥカティの他、セミワークスやプライベーターがどう絡んでくるかも見ものです。

スズキ・GSX-RRのポテンシャルにも注目

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個人的にはとりわけ、第12戦イギリスGPでスズキに9年ぶりの勝利をもたらしたマーベリック・ビニャーレスの走りにも期待したいところ。彼のフレキシブルな走りには天才の煌めきを感じますね。

復帰から2年目にして一線級で競り合えるまでに戦闘力を高めてきたスズキ・GSX-RRのポテンシャルにも注目です。

▲来季ヤマハファクトリー入りする、スズキのマーベリック・ビニャーレス
▲来季ヤマハファクトリー入りする、スズキのマーベリック・ビニャーレス

タイヤのマッチングも走りに大きく影響

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2016年はレギュレーションにも大きな変化がありました。2009年からMotoGP用タイヤを供給してきたブリヂストンに代わり、今季からミシュランが公式サプライヤーとなっています。

現在のMotoGPはすべてのクラスで一社提供体制となっていて、新たなミシュランとのマッチングも走りに大きく影響するようです。ちなみにMoto2とMoto3はダンロップです。

今年のMotoGPクラスはすでに8人のウィナーを数えるなど、例年以上に各ライダーやチームの力量が拮抗した見応えのあるレース展開になっています。こうした背景には、今年のレギュレーション(レース規定)も少なからず影響を及ぼしているようです。

今年からはECUソフトウエアも共通化

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そして、もうひとつの共通化がECU(エンジン・コントロール・ユニット)。簡単に言えば車載のコンピュータで、現代のマシンは量産市販車も含めてECUの性能がドライバビリティ(乗りやすさ)の決め手になります。

以前はメーカー独自のECUが認められていましたが、2014年からハードウエアが共通化され、今年からはソフトウエアも共通化されました。これらのレギュレーション変更はタイヤや電子デバイスを基本的にイコールコンディションとすることで、マシン性能差(資金力)による圧倒的な横綱試合を排除しようというのが目的です。

これにより、観客としてはトップライダーが繰り広げる接近戦がより楽しめるわけです。ライダーの技量や駆け引きの巧みさが勝負を分ける、これぞ本来のモータースポーツの醍醐味ですね。

華麗なライディングテクニック

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そして、一番の見せ場といったらやはり、トップライダーたちが見せてくれる華麗なライディングテクニックでしょう。世界屈指のブレーキングコースとして知られる、ツインリンクもてぎでならではの、ブレーキングでの進入スライドを駆使した突っ込み合戦。

そして、フルバンクから立ち上がりにかけてのパワースライドなど、電子制御とスリックタイヤの限界を超えた領域での超人的なマシンコントロールにはいつも驚愕させられます。研ぎ澄まされた人間の能力というのは素晴らしいものですね。

320km/hのブレーキングから、タイヤをスライドさせて縁石へ!?

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そんなMotoGPライダーの凄さを伝えるエピソードとして、元MotoGPライダーとして活躍された中野真矢さんの談話をご紹介させていただければと。以前、中野さんにもてぎの攻略法を聞いた方の話ですが、

「予選ではタイムを狙って常に120%で走っているものです。たとえば、コースの縁石ぎりぎりは水切りのために少し勾配がついているのですが、コーナー立ち上がりではそこにリヤタイヤを入れて、スライドさせて縁石に乗るんですよ。

もてぎの縁石はミューが高くなる塗装がされているので、スライドで車体の向きが変わったところで縁石に乗せて加速していく。これをすべてのコーナーでうまくできると、いいタイム出るんですよね~(笑)」

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・・・これを240馬力&トップスピード320km/hオーバーでやるのですから、なんとも想像を絶する世界ですね。

最先端技術の粋を集めたレース専用マシンを操る世界最高峰のテクニックを持ったトップライダーたちが、抜きつ抜かれつの迫力のバトルを展開するロードレース世界選手権MotoGP。今週末のもてぎでも、きっと我々ファンを熱狂させてくれることでしょう!

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ツインリンクもてぎ日本グランプリホームページ

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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