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「BMWが30年後の未来のバイク像を発表」転倒せず事故も起こさない夢のマシンとは

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
SF映画の世界から抜け出したようなシルエット

BMWが描く未来のモーターサイクル像

BMWモトラッドは今後の100年を見据えた同社の将来ビジョンの中で、今後ますます多様化していくであろう、モビリティの30年後を予測したコンセプトモデルを発表した。

10月11日にロサンゼルスで開催された「Iconic Impulses. The BMW Group Future Experience」の展示で公開された「BMW Motorrad VISION NEXT 100」のテーマは「The Great Escape(大脱走)」である。

「バイクに乗ることは日常からの脱出です」と語るのはチーフデザイナーのエドガー・ハインリッヒ氏。NEXT 100は究極のライディング体験を可能にするという。ヘルメットやプロテクションジャケットを着る必要もなく、ライダーは風や自然など周囲の環境と直接接しながらバイクのパフォーマンスを楽しむことができると言う。

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NEXT 100のデザインは、オートバイの本質である人間と機械の完全な合成「人馬一体」を目指したものだとか。見た目ですぐにBMWとして認識されるために、昔ながらの伝統的な三角形のブラックフレームとホワイトライン、クラシカルなボクサー・エンジン(水平対向2気筒)のデザイン要素が組み込まれているのが特徴。

これはまさしく1923年にBMWが造った初のオートバイである「R32」へのオマージュにもなっている。

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車体面では「Flexframe」と名付けられた骨格が特徴で、これは現在のモーターサイクルとは異なるフレキシブルな構造を持ち、ハンドル操作ではなくフレームそのものがステアリング機能を発揮して曲がっていく仕組みのようだ。また、フレーム自体がフルフェアリングと同等のウインドプロテクション効果も発揮するらしい。

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クリーンで転倒せず事故も未然に防ぐ夢のマシン

気になる動力源だが、パワーソースは「ゼロエミッション駆動ユニット」ということで電動モーターを想定しているようだ。形状も従来のBMWボクサー・エンジンに似せて作られていて、停車時はコンパクトに畳まれ、走行時には左右にブロックがせり出してライダーを保護する役割も果たすようだ。

この辺りのアクションはPV動画でも表現されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

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最大の目玉は「けっして倒れない」ことだ。NEXT 100は各種センサーとコンピュータ、ジャイロモーターを装備することで自律制御が可能となっている。つまり、停止状態でもバイクが自分で直立していられる機構が搭載されているのだ。

大型のフライホイールを搭載することで、万が一の衝突時などにもバランス補正が可能な設計になっているらしい。

さらにヘッドアップディスプレイ(HUD)機能を搭載した専用バイザーに様々な交通情報を投影することで、ライダーの運転ミスなどによる事故を未然に防ぐファンクションも備えられている。

また、専用ライディングスーツもシステムの一部となっていて、天候に応じて自動的に保温や冷却する機能も持たせるなど、まさに完全なる未来のモーターサイクル像を描き出している。

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NEXT 100はあくまでもコンセプトの段階であって、いつ実現するのかは定かではないが、現在すでにある技術の延長線上にあることは確かである。いつの日か夢のような未来のバイクに出会えることを期待したい。

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出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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