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カワサキ伝統のマジックナンバー「Z900」が復活!新たなZ神話の始まりか!? 

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
KAWASAKI Z900

今年11月にミラノで開催された国際バイク見本市、EICMAにおいてカワサキは欧州向けニューモデル3機種を発表したが、今回はその中でも最大排気量となる「Z900」に着目してみたい。

「Z900」は2017年発売のネイキッドスポーツ「Zシリーズ」の最新モデルとして登場する予定である。すでに国内外で公開されているカワサキ公式ウェブサイトにアップされている情報などを元にその実像を探ってみた。

》EU Kawasaki 2017 Z900 ABS(海外サイト)

ピークパワーはZ800とZ1000の中間レベルの125ps

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Z900は「凄み」をキーワードに、エキサイティングな乗り味と斬新なスタイリングを求めたZシリーズの最新版で、位置づけとしてはZ800の後継モデルとなる。

エンジンは新設計の水冷並列4気筒DOHC4バルブ948ccから125ps/9500rpmを実現。扱いやすい低中速トルクに加え、鋭いスロットルレスポンスと高回転域まで心地良く吹け上がるパワーフィーリングが特徴だ。

ちなみに最高出力でみるとZ1000は137ps、Z800は113psなので、パワー的にもちょうど両者の中間に位置するイメージだ。

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なお、6速ミッションはストリートでのエキサイティングな加速を重視したショート設定のギヤ比を採用。クラッチ機構には軽いレバー操作を実現し、過度なエンジンブレーキを抑えるアシスト&スリッパ―クラッチが標準装備されている。

サウンドにもこだわり、加速時にはエアボックスの共鳴効果により胸のすくような吸気音を奏でる設計になっている。

フレームはH2にも採用された鋼管トレリスタイプ Z800よりも21kg軽量化

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フレームは新設計の高張力鋼管トレリスタイプを採用。軽量かつ剛性バランスに優れるのが特徴で、Z1000などに採用されるアルミ製バックボーンやZ800の鋼管バックボーンとは全く異なるフレーム構成となっている。

カワサキによれば、これにより軽量・スリムな車体とダイレクトな操作フィーリング、そして意のままに操れるコントロール性を実現したとのこと。最近ではスーパーチャージャー搭載の最速マシン、H2/H2Rに鋼管トレリスフレームが採用されたことが記憶に新しい。

ちなみに車重で比べるとZ1000より11kg、Z800よりも21kgも軽量化されていることからも非常に俊敏なフットワークを持っていることが予測できる。

独創的なマウント方式のリヤサス 対向4ポッドで制動力も十分

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足まわりはフロントにφ4mm倒立フォーク、リアはショックユニットを水平方向に設置したホリゾンタルバックリンクサスペンションを採用。スイングアームも新設計とし、ダイレクトなトラクション感と快適な乗り心地を両立した。

また、ブレーキはニッシン製の新型でフロントがφ30mmダブルディスク&対向4ポッド、リアがφ25mmディスク&シングルピストンで、ディスク形状はZ800やZ650などと同じペータル形状を採用。ABS仕様も用意される。

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そして、人間工学に基づいたライポジはフラットワイドバーハンドルと79mmのローシートにより、視界が開けた快適な乗車環境を実現。Z1000やZ800よりもアップライトとすることで、コントロール性と快適性をバランスさせている。

筋肉質かつエレガントなZデザイン

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車体デザインもZシリーズに相応しい筋肉質かつエレガントなボディワークを追及。アグレッシブで美しい「Zデザイン」が随所に盛り込まれているのが特徴で、たとえば「Z」パターンで点滅するLEDテールライトの他、見る角度によって「Z」の文字が浮き上がるようなラインや面構成を取り入れるなど、こだわりが随所に見て取れる。

コックピットも斬新で、3つのディスプレイパターンを持つタコメーターを中心とした新型インストルメントパネルが採用されている。

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伝統のマジックナンバー「900」に期待

カワサキにとって「900」という数字は究極を表すマジックナンバーである。

これまでもZ1(Z900)、Ninja/GPz900Rなどの名車が歴史にその名を刻んできた。その伝統の「直列4気筒900c」を受け継ぐZ900だけに、カワサキ開発陣の思い入れもひとしおだろう。それだけにユーザーが寄せる期待も大きいはずだ。

▲Z1(Z900)
▲Z1(Z900)
▲GPZ900R
▲GPZ900R

100万円強のお値打ちプライスで登場か!?

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海外サイトによれば、ABS仕様で8,799米ドルということだから、現在の為替レートでは日本円で103万円程度ということになる。正直これはかなりのお値打ち価格と言っていいだろう。

現在のところ国内発売についてのアナウンスはないが、ただ先日もZ650の国内投入が決まったこともあり期待は持てそうだ。カワサキが現在進めている販売網の再構築とも合わせて、今後の動きには注目していきたい。

映像では強烈なストリートファイターぶりを披露

最後にZ900のプロモーションビデオがリリースされているので紹介しておこう。ぜひ映像でその世界観に触れてみてほしい。

''【'New Kawasaki Z900 M17 イメージ動画】'''

映像では野獣のような唸り声とともにワインディングを駆け抜けていくZ900の走りや仲間とのバトルなど、ちょっとデンジャラスな香りのするシーンが展開する。

前回ご紹介したZ650のPVが描いた和やかな日常からは一転して全編が戦闘モードである。そこからもZ900のキャラクターは察しがつくと思う。

【New Kawasaki Z900 MY17 オフィシャル動画】

もう一本のPVはマシン解説もので、精緻なCGで描かれたZ900の美しさに思わず息を呑む。軽量化による機能美とスポーツ性能の融合、人間工学に基づく快適なライポジ、新設計の軽量トレリスフレーム、ホリゾンタルバックリンク式のリヤサスペンションの動きもリアルに再現されているなど、必見。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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