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新型GSX-R1000R 海外メディア試乗会開催! 実力はスーパーバイク選手権で優勝を狙えるほど!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
SUZUKI GSX-R1000R

新型GSX-R1000Rの試乗インプレッションが海外メディアに掲載され始めている。Motorcycle.comのレポートを基に、明らかになったスズキの最新型スーパースポーツの正体を探っていきたい。

GSX-R史上最速かつ最も扱いやすい

テストライドが行われたのはオーストラリアのフィリップアイランド。MotoGPも開催される高速サーキットである。

テスターのKevin Duke氏によると、10年ぶりの本格的なアップデートとなった新型は「今までで最速かつ最も扱いやすいGSX-R」ということ。排気量は999.8ccでエンジンは14,500rpmまで回り、同コースのストレートでは6速に入れる前に290km/hまで到達したようだ。

上級バージョン「R」で200万円を切る価格

▲GSX-R1000R(左)/GSX-R1000(右)
▲GSX-R1000R(左)/GSX-R1000(右)

スタンダードモデルのGSX-R1000はライドバイワイヤ式スロットルや可変バルブタイミング、フィンガーフォロワーバルブトレイン、ブレンボモノブロックキャリパー、6軸IMU(慣性計測装置)などを装備し、価格は14,599ドル。ABS装着車は14,999ドル。

上級版のGSX-R1000Rはこれに加えてSHOWA製バランスフリーサスペンション、オートブリップダウンシフト機構のクイックシフター、コーナリングABS、ローンチコントロールなどが装備され16,999(約193万円)ドルということだ。

この性能と装備でこの価格は、とても魅力的なプライスと言えるだろう。

SBKの技術をフィードバックした可変バルブ機構

■GSX-R1000/R official technical presentation video-Chassis design-

ちなみに可変バルブタイミングシステムは2012年のスーパーバイク選手権にも使われたもので、カムギアに組み込んだスチール製ボールが高回転時には遠心力で押し出されることでカムタイミングを変化させる非常にシンプルな仕組み。

10,000rpmを境に高回転寄りのパワー特性になるもので、とても扱いやすいと評価している。同様に可変インテークファンネルもシンプルな構造で効果的だとか。

またF1レースの技術から生まれたフィンガーフォロワーバルブトレインシステムにより、動弁系が軽量化されたことでピーク回転数は1000rpmアップの14,500回転に到達している。

ダイノマシンの実測で203馬力を記録!

エンジンはスズキのMotoGPマシンで使用しているクロスプレーンクランクシャフトではなく伝統的な直列4気筒を採用し、ピークパワーはクランク軸で199ps/13,200rpmを発生。

スズキのテストライダーのダイノチャートによれば旧型R1000の178psに対し、新型は203馬力を発生していて、これはBMW・S1000RRを上回る数値とのことだ。

やや大柄になったディメンション

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SHOWAのバランスフリーサスペンションはリーン最中のバンプの吸収性が素晴らしく、ストリートセッティングのままでも快適だが、トラックセッティングではさらにレスポンスが安定してタイムアップできるとのこと。

ディメンション的には190/55サイズのリヤタイヤ、15mm長いホイールベース、40mm延長されたスイングアーム(フロントアクスルからスイングアームピボット間は短縮)などが特徴で、これによりフロントエンドからのフィードバックを向上。シャープで安定したハンドリングを実現させているとのこと。

なお、車重は203kgで、新型CBR1000RRの192kgと比べるとやや重い。

IMU搭載の電子制御が限界を引き上げる

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今回新たに採用されたIMU制御によるモーショントラックブレーキシステムは、最大ブレーキング時にリアホイールのリフト量を制御するもので、バンク角によってもその量は変化することやコーナリングABSの作動についても確認。ただし、レポートからは慣れないシステムへの戸惑いも見られる。

10段階に調整できるトラクションコントロールシステムは素晴らしいが、トラクションコントロールがウイリーコントロールを兼ねている点が唯一残念と評している。

クイックシフターに関しても好評で、シフトアップの滑らかさはもちろんのこと、シフトダウンはタイミングが多少ずれてもオートブリップ機能により回転を合わせてくれる上、軽い操作感のアシストスリップクラッチが有効とのことだ。

ライポジ3点は従来を踏襲しつつ車体はスリム化

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ライポジ的にはハンドルバーとシート、フットレストの位置関係に関して従来モデルを踏襲している。

フロントカウル幅は13mm、燃料タンクも21mmスリム化され、空力特性も向上しているがライダーが受ける風圧は増した感もあるようだ。

SBK選手権でもすぐに優勝を狙えるポテンシャル

■GSX-R1000/R official promotional movie

最後に2017型GSX-Rはレース志向のストリートライダーや純粋なレーシングライダーにとっても素晴らしいポテンシャルを秘めていて、2017年か2018年の全米スーパーバイク選手権で優勝したとしても不思議ではないと称している。

新型GSX-R1000Rの凄さについては、昨年のEICMAあたりから前評判として鳴り響いていたが、今回のプレスローンチによってそのポテンシャルが本物であることが証明されたようだ。いよいよ国内でのデビューが楽しみである。

■GSX-R1000/R IMPRESSION VIDEO FROM KEVIN SCHWANTZ[ver.60sec]

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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