急ブレーキによる追突事故を減らせ!「緊急制動表示灯」を2輪にも導入!
国土交通省は、二輪自動車等に備える「緊急制動表示灯」の基準を新設することを発表しました。
二輪自動車等の協定規則※が改訂されたことに伴い、基準を改正し、急制動でテールランプが点滅する仕組みが導入されます。
なお、この改正は平成29年2月9日より適用開始となっています。
※「二輪自動車等の灯火器の取付けに係る協定規則(第53号)」及び「二輪自動車等の制動装置に係る協定規則(第78号)」
安全性の更なる向上に期待
「緊急制動表示灯」は主に後部の制動灯や方向指示器を高速で点滅させることにより、後方車両に急激な減速を知らせるもので、二輪自動車や原動機付自転車に備え付けることができるようになるとのこと。
クルマではすでにこのような機能を持ったモデルも販売されているようですが、今後はバイクにも同様の機能を備えた市販車の発売が可能となり、安全性の更なる向上が期待されます。なお、今回の改正では「緊急制動表示灯」の装備が義務付けられたわけではありません。
50km/hを超える速度で走行中にのみ点灯 トラックなどは標準化の動きも
調べてみると、「緊急制動表示灯」は毎分180回以上300回以下(フィラメント以外を光源とする場合は180回以上240回以下)で点滅するものとし、他の灯火装置と独立して作動するものであること。 また、自動的に作動し、及び自動的に作動を停止するものであること。 50km/hを超える速度で走行中にのみ点灯するものであることなどの決まりがあるようです。
つまり、急ブレーキと連動して作動する“ハザードランプの高速点滅バージョン”のようなイメージでしょうか。
実際のところ数年前からトラックなどの大型車両では、後続車との衝突を抑制するためのESS(緊急制動表示灯:エマージェンシーストップシグナル)が標準装備されるケースが増えていますし、最近は乗用車にも搭載されるようになってきました。ABSと連動して作動する仕組みも多いようです。また、アフターメーカーから同様のキットなども販売されています。
「覚低走行」の被害を減らすためにも
高速道路などで急に始まる渋滞にヒヤッとさせられることがあります。特に夜間などは距離感がつかみづらくブレーキ操作が遅れることがあり、非常に危険です。
渋滞末尾にノーブレーキのまま大型トラックが突っ込む、といった悲惨な事故が後を絶ちませんが、その原因の多くは居眠り運転か「覚低走行」と言われています。「覚低走行」とは注意力の著しい低下により、「見れども見えず」の状態に陥っている現象です。
自動ブレーキの普及と合わせて、視覚的に外部刺激を与えることで注意を喚起する「緊急制動表示灯」はもはや必須の装備と思われます。
“目立たない”2輪には特に必要
特に車格が小さく制動灯やハザードランプも見えづらい二輪車の場合、“目立たせる”工夫は死活問題に直結しています。
教習所などでは「ポンピングブレーキ」といって意図的にブレーキを断続的に操作して制動灯を点滅させることで、後続車に注意を促すテクニックを学びますが、実際のところポンピングすれば制動力は低下します。
ABSが作動するほど強力なブレーキを必要とする緊急時にポンピングする余裕はありません。その際に追突されるリスクをなるべく低減するためにも、後方の守りを固める「緊急制動表示灯」は有効と考えます。
危険回避後に追突されるなどの二次災害を防ぐためにも、バイク用の「緊急制動表示灯」についてはその特性に合わせた作動方法の検討を重ねつつ、二輪メーカーにも積極的に導入を進めていただきたいものです。
※原文より筆者自身が加筆修正しています。