【MotoGP最新ナマ情報】 伝家の宝刀に磨きをかけて 「ハンドリングのヤマハ」を突き詰める
先日、都内で開催されたヤマハの2017年度モータースポーツ活動計画発表会に参加してきました。
JSB1000をはじめとした国内レースの各ジャンルのチーム体制とライダーが紹介された他、ロッシに加えビニャーレスの加入で盛り上がるMotoGPファクトリーチームの最新情報も伝えられました。
報道陣からも突っ込んだ質問が飛ぶなど、記者会見ならではの生の情報を取材できましたので、その中から気になるアレコレについて知り得たことの一部をお伝えしたいと思います。
チームタイトルは獲得したが…
やはり注目度ナンバーワンはMotoGPネタでしょう。世界最高峰のロードレースを戦うヤマハのファクトリーチームである「Movistar Yamaha MotoGP」は昨年見事にチームタイトルを獲得しましたが、ライダー個人ではロッシが2位、ロレンソが3位と惜しい結果となりました。
特にロッシにとっては個人ランキング3年連続で2位ということで、MortoGP界の帝王としてはさぞ悔しい思いをしていることでしょう。
転倒で失われた勝利
今回の会見でもヤマハの担当者から「伝統のヤマハ・ハンドリングを取り戻すべく、開幕戦のカタールGPでの優勝を目指していく」と力強いコメントをいただきました。
その一方で、反省すべき部分として昨シーズンの転倒の多さが挙げられていました。「2人(ロッシとロレンソ)合わせて転倒7回、ノーポイントレースが計8回いうことで、これではレースに勝つことはできない」と厳しい言葉も。
レギュレーション変更も影響
転倒が多くなった原因については、2016年度の大きなレギュレーション変更が関係しているようなニュアンスもうかがえました。
昨年度より、ECUはハード・ソフト共に共通化され、供給タイヤはそれまでのブリヂストンからミシュランに統一され、サイズも16.5インチから17インチに変更されています。
近年では、マシンのポテンシャルは最終的にタイヤの性能で決まると言われるほどその重要性は高まっていますし、当然マシンとのマッチングの問題も出てくるものと思われます。
転ばないためにどうするか
今年は「伝統のヤマハ・ハンドリングをさらに突き詰めることで戦闘力を高めるとともに、「転ばないバイクを目指す」とのコメントも出ていました。
ただ、レースの世界ではライダーは常に全力アタックで勝負に挑んでいます。その中で転ばない(転びにくくする)ためにはどうしたらよいのでしょうか。
会見によると、これには大きく2つの方向性があるそうです。「ひとつは転ぶというインフォメーションをマシンから出す(受け取りやすくする)こと。もうひとつは転ぶ局面をなるべく少なくすること」だそうです。
後者に関して具体的には、「ヤマハのマシンは寝ている時間が長いので、早くターンして、早く立ち上がれる特性にする」ことが挙げられていました。
伝統のヤマハ・ハンドリングに磨きをかけて
昔から、パワーのホンダに対して「ハンドリングのヤマハ」と言われ続けてきました。
これはどういうことかと言うと、ホンダは直線が速いためコーナーでマシンを寝かせている時間をなるべく短くしたいのに対し、ヤマハは旋回速度が高いのでなるべくコーナリング区間でアドバンテージを得たいという考え方です。
つまり極論すると、ホンダはパワー重視、ヤマハは旋回力を重視してきた歴史があります。
今回の話を総合すると、今年のYZR-M1はヤマハ・ハンドリングに磨きをかけつつ、クイックな旋回特性とパワー、扱いやすさを高めたマシンと言えそうですね。
ちなみに昨年限りで禁止されたウイングレット(小翼)に代わり、新型マシンに投入されたカウル内蔵タイプの“隠しウイングレット”も奏功しているようで期待も膨らみます。
開幕を間近に控え、オフシーズンのテスト結果も上々のようですし、今年こそ自身10度目の世界チャンピオンを目指すロッシと、スズキから新たに移籍してきた期待の星、ビニャーレスの活躍を見守っていきたいと思います。