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タレントとのやりとりはご愛嬌。それ以上にファンへの神対応に人柄がみえたターザン俳優

斉藤博昭映画ジャーナリスト
来日したアレクサンダー・スカルスガルド(写真:REX FEATURES/アフロ)

つい先日は『マネーモンスター』のジョディ・フォスター監督が、MXテレビの「5時に夢中!」に出演するなど、最近は映画スターの来日キャンペーンで「まさか」の企画が模索されている。

6月9日、『ターザン:REBORN』の主役、アレクサンダー・スカルスガルドの来日会見も、抽選で選ばれた約200人ものファンが同席するなど、異例のイベントとなった。一般の人にとっては、「アレクサンダー・スカルスガルド? 誰それ?」かもしれない。スウェーデン出身で、アメリカのTVシリーズ「トゥルーブラッド」でのヴァンパイア役や、レディー・ガガのPV、浅野忠信も出演した映画『バトルシップ』などで話題を集めたが、今回のターザン役で、一般層での人気が高まるのは確実だ。

記者会見場には、「アレク Kiss Me」などと書かれたウチワやボードが乱舞しており、一般招待客の席だけ見るとアイドルのコンサートのよう。そんな熱狂にアレクサンダーも「神対応」でこたえ、自分の答えを通訳が訳している最中も、時間を惜しむかのように一人一人のファンを指差し、ウィンクや投げキスを繰り返す。そのたびに、ファンの悲鳴が…という状態だった。

7分ほどの映像が公開され、会見も含めた1時間弱のイベントは、「木曜の午後という忙しい時間に、みなさんに来てもらってうれしい」と、アレクサンダーの人柄が表れる挨拶で終了。この手のイベントは、日本のタレントとのやりとりがニュースで話題になりがちだが、終始、アレクサンダー・スカルスガルドの、根っからの「人の良さ」が強調されることになり、取材したマスコミの間でも彼の好感度が上がったのは事実である。「一瞬のできごとだった」「信じられない」「こんなイベント初めて。映画を早く観たい」と、会場内外のファンの熱気はしばらく収まらなかった。

身長194cmで、現在39歳。ターザン役を演じたことで完璧な肉体美も魅力となったアレクサンダー・スカルスガルドは、映画ファンにとっては、名優、ステラン・スカルスガルドの息子としても有名だ。ステランは、母国スウェーデンで、巨匠イングマール・ベルイマンの演出の舞台で経験を積み、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『マンマ・ミーア!』『天使と悪魔』『マイティ・ソー』といったハリウッドの話題作から、ラース・フォン・トリアーなど異才監督とも組み(『ニンフォマニアック』のラブシーンは衝撃的だった)、世界的スターとして君臨している。アレクサンダーは長男で、彼の4人の弟、グスタフ、サム、ビル、ヴァルターも俳優。その中でもビルは、スティーヴン・キング原作「IT」の映画化で、原作の表紙にもなったピエロ役を演じる可能性が浮上しており、北欧の「俳優一家」の活躍は加速しそう。

新たな「ターザン」は、ヴィクトリア朝の英国紳士と、ジャングルの帝王という、2つの側面が描かれている。優雅さとワイルドの両面で、アレクサンダー・スカルスガルドが観客を魅了することだろう。今回の会見でもわかったように、すでに日本でも熱烈なファンが多数存在する彼が、この夏、世界的な大ブレイクを果たす。

『ターザン:REBORN』は7月30日より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか2D、3D全国公開

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、ヤングマガジン、クーリエ・ジャポン、スクリーン、キネマ旬報、映画秘宝、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。

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