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週末観客動員ベストテンのうち洋画は1本のみ…3年ぶりの事態に

斉藤博昭映画ジャーナリスト
週末2位でヒット中の『ファンタスティッック・ビーストと魔法使いの旅』

12/12発表の週末観客動員ベストテンは、10作のうち、洋画(外国映画)が1作だけになってしまった。2位の『ファンタスティッック・ビーストと魔法使いの旅』のみ。確かにこの週末は、他に爆発的に期待できる洋画がなかったので、この結果は想定内かもしれない。それでも「10作中1作」というのは、じつに3年ぶり。2013年11月25日のランクで『悪の法則』のみだった週以来。同年には、5月に3週連続で洋画が1作(『アイアンマン3』)という事態も起こっていたが、それ以前は見当たらない現象だった。

このように、ここ数年、ベストテン作品の中の洋画が占める割合が少ない週が目立ち、10作中2作というケースは頻繁に起こっていた。実際に先週までも連続5週間、洋画は「10作中2作」だったのである。10月第1週は、2位に『ハドソン川の奇跡』で、10位に『アングリー・バード』が初登場でかろうじて滑り込み。なんとか「2作」を保った。しかし、久々に「1作」の週末が訪れたのである。

今週末は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、来週末は『バイオハザード:ザ・ファイナル』が公開されるので、この「1作」というケースは今週でとどまることだろう。

2016年、先週までの49回の週末ベストテンで、洋画が占めた割合は以下のとおり。

10作中2作……18

10作中3作……15

10作中4作……10

10作中5作……6

2作しかランクインしなかった週末が、1/3以上となっている。ベストテン10作×50週として、のべ500作のうち洋画の割合は152作ということになる。

2006年に邦画が洋画の年間興収を上回り、翌2007年に再び逆転されるも、翌2008年から昨年までは邦画が上回る結果が続いていた。今年も『君の名は。』『シン・ゴジラ』などのメガヒットが生まれ、この状況は変わらない気配が濃厚である。洋画も『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『オデッセイ』『ズートピア』『ファインディング・ドリー』『ペット』、そして『ファンタスティッック・ビースト〜』など大ヒット作が生まれているが、中規模のヒット作がさらに減少傾向にあり、今年でいえば『デッドプール』のような作品がもっと増えないと、なかなか全体の底上げは難しい。来るべき2017年に期待をかけたい。

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』

全国公開中

配給:ワーナー・ブラザース映画

(C)2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、ヤングマガジン、クーリエ・ジャポン、スクリーン、キネマ旬報、映画秘宝、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。

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