Yahoo!ニュース

スカイマークはなぜ頑なにミニスカにこだわり続けるのか?

齋藤薫美容ジャーナリスト・エッセイスト

もう説明するまでもないはずだが、スカイマークがキャビンアテンダントの制服に、ヒザ上15センチのミニワンピを採用したことが物議を醸し、是か非かの議論が今なお続いている。それも要は、結論が出ない出せない問題だからだろう。

それにしてもスカイマークはなぜそこまで頑なに、ミニスカにこだわり続けるのか?

あるアンケートを見ると、男性は半数以上が賛成。女性は約7割が反対。しかも、男性はセクハラを誘発しないと言い、女性は誘発すると主張する。確かに両者そう言うのだろう。男はそう思っていても誘発するとは認めにくい。予想はついていたこととは言え、この男女の見方のギャップ、永遠に相入れないお互いの立場の違いが、この論争を長引かせていると言っていい。

ただここで重要なのは、以前ほどではないにしろ、日本人にとって航空会社のCAは、やはりまだ“憧れの職業”であり、女性客だって、さて今日のCAはキレイかしら、なんてどうしたってその人たちを意識して見てしまうこと。

CAという職業を選ぶ女性たちにもそういう自負が当然のようにあって、完全に無視される存在だったら、CAはそもそも人気職業にはならなかっただろう。今や募集要項には絶対書けなくなった“容姿端麗”という言葉が、書いてないけれど今なおあぶり出されるのが、CAという仕事なんである。

かつて“容姿端麗”の条件が堂々と書かれていた募集は、決まってものすごい倍率になったというから、“見られる存在”であることが仕事のステイタスを高めるのは確かなのだ。

そういう女性たちは、“見られること”で人はもっと磨かれると考えている。“見られること”も仕事のうちという方針そのものは、別に女性蔑視には当たらないのである。

だって考えてみてほしい。今や男も“見られたい”時代。レストランでも宅急便でも、本屋ですら“イケメン”を集める時代である。

また一方に、「先進国ほどCAは業務に徹していて、制服で客を呼ぼうという発想そのものが古いしダサい」と語るコメンテーターもいて、それはそれで正しいと思う。

けれども、日本人はなぜだかステイタスのある“女性の制服”に対して特別な想い入れを持っている。だからAKBも20歳を超えているのに女子高生的制服を着続けるのだ。女子高生の制服姿がここまで崇拝されてしまう国は他にない。日本が世界でNo.1の先進国であったとしても、名門女子高やCAへの特別扱いは、たぶん続くのだろう。

だからこそ、スカイマークは強気なのだ。よってこの議論は終わらない。乗りたい人はスカイマークに乗るし、乗りたくない人は乗らない。ミニワンピを着たいCAは着るし、着たくないCAは着ない。それでいいんじゃないかと思うが、いえいえ問題は“保安業務”に集中できないこと、“危機管理”としてどうかということ、である。

そこで思うのは、ひとつの解決法として“制服をワンピースではなく、トップスとスカートに分ければいいんじゃないか”ということ。たとえば荷物を上にあげたり、奥の客に食事や飲み物をサービスする時、スカートの中が見えそうになるのは、ひとえにワンピースだから。これが上は上、下は下にセパレートされていたら、ヒザ上15センチでもスカートは腕と一緒に持ち上がらず、中は見えない。

セクハラ対策にはならないかもしれないが、どんな体勢になっても決して見えないのだとわかっていれば、ある種の安心感につながる。見ている方も着ている方も気持ちや挙動は落ち着くはずなのだ。有事の時は下だけみな一斉にパンツに着替えたりすれば? なんて。

確かにワンピースの方がキュートではあるが、上下分かれているセットアップの方がデザインには凝れる。シラけそうな解決法で申し訳ないが、どうしてもヒザ上15センチにこだわりたいなら、その方法を、ぜひ提案しておきたい。

美容ジャーナリスト・エッセイスト

女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストへ。女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『されど“男”は愛おしい』』(講談社)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

齋藤薫の最近の記事