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“結婚してくれない男No.1”をあの美女が落とせた理由

齋藤薫美容ジャーナリスト・エッセイスト

日本では今、“結婚したい男”ランキング上位の結婚がたて続けに決まり、その相手がなぜ彼らを落とせたのか? についての推理で大いに盛り上がっている。そしてついに「プロ彼女の存在」までもがクローズアップされてしまった。

基本的にモデルでも女優でもない、でもそれ以上かもしれない美女たちが、芸能人やスポーツ選手はもちろん、財界人との社交の場で活躍するための人脈が、ある種“シンジゲート的”に組織化されている噂は昔からあった。

だから、有名人と結婚した“一般女性”が他の有名人の“元カノ”というケースは枚挙にいとまがないのだ。

もっとも、以前からひそかに注目されてきたこの“美女軍団”、口は堅くても、今言われているように献身的だったかどうかは不明。ひょっとすると、やはり“美しいだけ”では、結婚までなかなか至らないからこそ、古風なまでの“良妻”の要素を兼ね備えた“プロ彼女”というカテゴリーが生まれたのかもしれない。つまり、“プロ彼女”は、ひとつの進化系なのである。

奇しくも、ハリウッドの“結婚したい男No.1”ジョージ・クルーニーも、先ごろあっけなく結婚してしまった。生涯独身を通すと公言していたのに。それでもモテまくり、次々に恋人が登場していたから、さながら“結婚してくれない男No.1”でもあった人。女はなぜか、“自分となら結婚してくれるかも”という根拠なき自信を持ってしまいがちだから、恋人が絶えなかったと言ってもいい。

しかし、この男は頑なだった。2人の“彼女”とは、別れと復縁を繰り返しているが、これも女性の方が“結婚してくれないこと”に業を煮やして別れを告げてみたものの、やっぱり好き、やっぱりそばにいたいと譲歩してしまう女心を如実に物語っている、まったく罪な男だ。

その“結婚してくれない男”が、あっけなく結婚してしまったわけで、一体なぜ? “結婚してもらえなかった彼女たち”の立場は? 様々な疑念が吹き出したものの、それを瞬時に払い除けてしまったのが、その相手の存在……。

“イギリスでもっともセクシーな弁護士”にも選ばれた、絵に描いたような美人弁護士。モデルばりのプロポーションに、玄人はだしのファッションセンス。映画の中でもこういう弁護士がいたらウソっぽくなるほどのでき過ぎな人。まあ、これなら無理もないかと誰もが納得してしまう完璧さなのだ。

でもジョージ・クルーニーファンとしては、それでもまだ納得できず、彼の結婚決意にもう少し精神的な動機を見つけたかったことは確かなのだが、期せずしてもうひとつの決め手として見えてきたのが“正義感の共有”ということ。

長年連れ添った夫婦でも、不意に“性格の不一致”に気づいてしまうのは、正義感の量の違いが露呈した時、という見方がある。あの大震災のあと離婚が急増したのも、色んな意味での正義感の有無が明らかになったから、と言われるのだ。

単純に正義感のある女と、ない男(もちろん逆の場合も)は、共に生きていく上で決定的な“価値観”の違いにぶち当たり、一緒に暮らせはしても、共に人生を歩むことができなくなるみたいなことになりがちなのである。

そういう意味で、ジョージ・クルーニーの結婚は、正義感の種類が見事に合致した結婚とも言える。

言うまでもなく、ジョージ・クルーニーはハリウッド一の社会派と言われ、人道的な活動に積極的に取り組んでいる。特にダルフール問題などでは、リーダー的な存在。本格的な活動が高く評価され、国連から平和大使を任命されている。

そして妻となったアマル・アラマディンも、人種活動家として有名で、国連の元アナン事務総長のアドバイザーも務めた人という。つまり、“人権運動”という同じ種類、同じレベルの攻めの正義感をもった二人の出会いは、“独身主義”をひっくり返すくらいの運命的なものだったのだろうと思われる。

大体が、いかに彼女が美人で才能があっても、それだけで前言をひるがえすような男じゃない。実際クルーニーは、バーテンダーやプロレスディーバなどとも交際していて、“彼女”にステイタスは求めないタイプ。

もちろんでき過ぎの美女だから誤解も生むが、これは多分に精神的な奇跡の出会いだったと言っていい。正義感が合致する人と共に生きると、人生が二倍に充実して、心身のエネルギーも倍増すると言われるが、彼らのキラめくような結婚にはそういう濃厚さがハッキリ見てとれるのだ。

ともかくこれは、“プロ彼女”との結婚みたいな男女の駆け引きはひとまずない、正義感がとりもつ美男美女の最強の結婚……。もちろん、二人が簡単に破局してしまったら、この“正義感の結婚説”は根底から崩れ去るが……。

美容ジャーナリスト・エッセイスト

女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストへ。女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『されど“男”は愛おしい』』(講談社)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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