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ラグビー人気復活の鍵を握るセブンズ リオ五輪アジア予選は11月に開催決定!

斉藤健仁スポーツライター
男子7人制日本代表の坂井主将(撮影:斉藤健仁)

5月1日、「ワールドラグビー(World Rugby/旧IRB)」より、2016年にブラジルのリオデジャネイロ五輪で開催される7人制ラグビー(セブンズ)の各地域予選の開催日と開催地が発表され、アジア予選は下記の日程と場所となった。

◇男子は香港、女子は香港&東京の2大会で決定!

●セブンズ リオ五輪 アジア予選/男子 

開催日:2015年11月7日(土)、8日(日)@香港

●セブンズ リオ五輪 アジア予選/女子

第1戦(First leg)

開催日:2015年11月7日(土)、8日(日)@香港

第2戦(Second leg)

開催日:2015年11月28日(土)、29日(日)@東京

※それぞれ予選を勝ち抜いた1カ国(1地域)が、オリンピックの出場権を獲得する

※香港の大会は香港スタジアムでの開催が検討されている。

※東京は秩父宮ラグビー場の予定だという。

◇セブンズ オリンピックへの道

リオ五輪から正式種目となる男女のセブンズ(7人制ラグビー)は2016年の8月6~11日まで、デオドロ・オリンピックパークで開催。12チームが出場し、開催国ブラジルはすでに出場が決まっている。

またF1のように世界各地で開催されている、今シーズンの「ワールドシリーズ」の総合ポイント上位4チームも出場権を獲得する(5月5日現在、男子は、まだグラスゴーとロンドンの2大会を残しているため確定はしていないが、総合ポイント1位南アフリカ、2位フィジー、3位ニュージーランド、4位イングランドとなっている)。

※イングランドチームはそのままトップ4に残れば、実質、「イギリス代表」としての出場権を得る。

※ラグビーのアイルランド代表は南北アイルランドの代表チームのため、サッカーと違い北アイルランド代表チームはない。

つまり、オリンピックに出場する男女の12チームは、ワールドシリーズで出場権を獲得した4カ国(および地域)と開催国ブラジルで5枠、さらに世界の6大陸の予選を勝ち抜いた6チーム、2016年に行われる予定の世界最終予選の勝者1チームとなる。

◇男女ともにアジア予選突破の能性は十分

男子のアジア予選は、香港が開催地となったのは自然な流れだ。香港としても1976年から毎年、香港セブンズを開いてきた自負もあろう。男子は男子セブンズ日本代表が、アジアでは唯一、今シーズンはワールドシリーズに全大会に優先的に出場できる「コアチーム(計12チーム)」として参戦し、アジア大会では3大会連続金メダルを獲得するなど頭一つ抜けた存在である(現在はコアチーム残留に向けて戦っている最中である)。

ただ、香港代表の選手も半数ほどが協会とプロ契約を結ぶなど強化を進めており、アジア予選が香港開催ということもあり、気が抜けない決戦となるだろう。なおオリンピック予選に向けた男子セブンズ日本代表のスコッド(代表候補選手)は今シーズンのワールドシリーズが終わった5月末に発表予定。

女子は、もともとアジア予選は日本で、という話もあったが、一番のライバルである中国が反対していたこともあり、結局、香港と東京の2ラウンドで決めることになった。女子セブンズ日本代表(サクラセブンズ)は今シーズンのワールドシリーズに参戦できなかったものの、年間200日に及ぶ強化合宿を敢行しており、急激に力を付けている。

サクラセブンズは、昨秋のアジア大会では中国代表に惜敗して銀メダルを獲得、その直後に行われた中国セブンズでは敵地で中国代表を破って優勝している。また今年3月に「日本選抜」として出場した香港女子セブンズでも準優勝を果たした。ただ香港代表は男子同様に、プロ契約の選手がおり、中国代表は女子のワールドシリーズに参戦している。サクラセブンズは、11月までどこまでチーム力を高めることができるかが勝負となろう。

◇世界最終予選は厳しい戦いに

アジア予選で優勝できず、2位~4位になると、2016年のオリンピック前に行われる予定の世界最終予選に回ることになる。

ただ、現在のワールドシリーズの順位をそのまま適用すると、男子の欧州予選はフランスが勝ち抜けることになり、最終予選でコアチームであるポルトガル代表、昨シーズンまでコアチームだったスペイン代表、ロシア代表などと争わないといけなくなる。サクラセブンズも同様であり、世界最終予選からのオリンピック出場の可能性はないともいえないが、いずれにせよ、アジア予選で出場権を得ないと限り、男女ともに厳しい戦いが待っていると言えよう。

2019年には日本で初めて15人制のワールドカップが、2020年には東京で夏季オリンピックが開催されることが決まっている(セブンズの開催も決定済みだ)。2015年秋の15人制ワールドカップでの活躍はもちろんのこと、日本人のオリンピックが好きな国民性もあり、男女のセブンズ日本代表がオリンピックに出場を果たすことが日本におけるラグビーの人気向上に大きく貢献するはずだ。

※関連リンク

7人制ラグビー公式サイト

ラグビー「 観戦力」が高まる(東邦出版)

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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