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ラグビー日本代表の五郎丸、トゥーロンで会見!「声を掛けていただき名誉。壁は高いがチャレンジに値する」

斉藤健仁スポーツライター
五郎丸に期待されているのは、やはり正確なプレースキックだ。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

6月21日(火)、次シーズンからフランスの「トップ14」の強豪クラブ「RCトゥーロン」に移籍することになった日本代表FB五郎丸歩が、メディカルチェックのために訪れたトゥーロンで記者会見を行った(公式サイトで、ライブで中継された)。

◇「キッカーとしての能力を買った」(ブジェラル会長)

冒頭、ムラド・ブジェラル会長が下記のように述べた。

「ワールドカップの南アフリカ戦を見て、非常に印象に残りました。それでトゥーロンにほしいと思い、交渉を続けてきて、次のシーズンから彼がプレーすることが決まりました。日本から来た選手としては、クリスチャン・ロアマヌがいたので、2人目ということになりますが、五郎丸にはトップ14とヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップの2つのタイトルを取る初の日本人になるよう期待しています。

またこのクラブにはジョニー・ウィルキンソンがコーチとしているので、五郎丸が彼から学ぶことはたくさんあると思いますし、結果として、それが日本ラグビーに大きく還元されるのではないかと思っています。彼を知らない方にご説明すると、非常にレベルの高い選手であり、すばらしいキッカーです。ワールドカップでもたくさん得点を取っており、トライの決定力もある選手です。

彼がこのチームにいることで、トップ14の準決勝のように、最後のペナルティーキックが勝敗を分けることもありますので、そういった意味でも彼の活躍に期待しています。日本のラグビーというのは新しいスタイルのラグビーであり、日本は次のワールドカップの開催地でもあるので、日本のラグビーのクオリティーは上がってきていることがわかると思います。

アジアへのマーケティング戦略のために彼を取ったと言われますが、その部分を否定はしませんが、それ以上に私は五郎丸の選手としての選手としての資質、キッカーとしての能力を買って来てもらいました。今シーズンはSH(ジョナタン・ペリシエ)がプレースキックを蹴っていましたが、来シーズンはFBの2人がプレースキックを蹴ることになるでしょう」

◇「オファーが来て断る理由がなかった」(五郎丸)

続いて五郎丸が質問に答えた。

――トゥーロンに移籍した理由は?

まずトップ14のチャンピオンチームであるトゥーロンからオファーが来て断る理由がなかった。もちろん自分が選んだ道は険しいと思いますが、それを選ぶに値するものがここにある。

――自分のどういった部分が評価されての移籍だと思っているか?

キックの方には期待されているので、そこで結果を出せるように努力したい。

――トップチームがたくさんある中で、なんでトゥーロンを選んだのか?

このようなすばらしいチームは世界を探してもない。声を掛けていただいて名誉なことだと思っていますし、壁はもちろん高いですが、そこにチャレンジするに値するものがある。

――トゥーロンの試合をたくさん見た?

たくさん見ました。ピルピル(サポーターのやっているトゥーロン版のハカ)も見ました。

――スタジアムのサポーターの雰囲気は?

映像を通してですが日本ではなかなか感じられない雰囲気を見ています。そこに立つ日をイメージしながら、激しい競争を戦っていきたい。

――日本語以外、チームメイトとどういった言葉で話すか?

少しフランス語を勉強したい。英語ももちろん。

――オーストラリアでの経験はどう生きていますか?

そうですね。日本にいたときは15番のポジションが保証されていたが、(オーストラリアでは回りの選手が)自分の性格も知らないですし、ポジション確定していない中で、一から15番を取りに行くことは新鮮でしたし、ここでまたそういた争いができるのは楽しみですね。

――大学生のとき、ウィルキンソンから指導されたが、再びまた指導されることになりますが。

ウィルキンソンから指導を受けたのはアディダスのプロモーションで12年前のことですが、それでキックへの姿勢が変わりました。12年ぶりにウィルキンソンに指導されるのは楽しみです。

――今回、トゥーロンに来た理由は?

メディカルチェックするために主にここに来ました。午前中に(それを)やってきた。結果が出るのは先なので、ここでコメントすることはできない。

――フランスでどういう生活をしたいか。

日本代表には(スクラムコーチの)マーク・ダルマゾがいたので、日本代表にとっては非常に身近な国です。遠征でパリにも行ったことがあります。フランスの方の性格というのはなかなか日本人にはわからないが、そういうところも一つ一つ学びながら、いい関係を築いていきたい。

――フランスに来てラグビー的、人間的なカルチャーショックはあるか?

そういったことは心配していないですね。

――ラグビー以外に何かやりたいことは?

釣りが好きなので、海が近いことは非常に嬉しいです。

――五郎丸と同じFBにはウェールズ代表、リー・ハープペニーがいる中で、どういったプレーをしたいか。

もちろんキックが期待されているので、ウィルキンソンさんに指導されながら高めていければといいと思います。最高の環境で最高の選手と戦えることは非常に楽しみにしています。

――新しく監督に就任したディエゴ・ドミンゲスと何か話をしましたか?

スカイプで話しました。

――今回の移籍に関して他の選手に相談したか。

他の選手というより家族と相談しました。

――日本のラグビーの環境はどうですか?

先週、日本とスコットランドの試合がありましたが、ラグビーがゴールデンタイムの時間にライブで放送されるなど、ワールドカップ以降、日本のラグビーを取り巻く環境はすばらしくなってきました。

――今週末にバルセロナでトップ14の決勝(トゥーロン対ラシン92)があるが、現地で応援しますか?

見たいのですが、残念ながら日本に帰国しないといけない。

――2019年に何か向けてイメージすることはありますか?

個人としては、2019年はまだまだ先のことだと思っているので、まずはしっかりトゥーロンというチームで個人の力を磨きたいと思っています。間接的に、このこと(自分がトゥーロンに移籍すること)でラグビー界が盛り上がったり、日本だけでなくアジアで盛り上がったりしていけば、ラグビー界全体が盛り上がっていくと思います。

◇負傷中の五郎丸。デビューは9月の予定

ブジェラル会長のコメントで一つ気になることがあった。会長は会見で「トゥーロンにはFBとしてリー・ハーフペニーもいます。彼は11月のテストマッチ期間と、来年の2月から3月のシックスネーションズの期間はこのチームでプレーできないので、その点でも五郎丸の活躍には期待しています」と述べていた。つまり、五郎丸は次シーズンの1年間はトゥーロンでのプレーに集中するつもりなのかもしれない。

フランスの「トップ14」は8月に開幕するが、現在、右肩のリハビリ中である五郎丸のデビューは早くて9月になると見込まれている。いずれにせよ、「トップ14」は年間多くて38試合あるため、五郎丸がプレーするチャンスは回ってくるはずだ。

なおトゥーロンは7月下旬に来日し、7月30日に静岡・エコパスタジアムで五郎丸の古巣であるヤマハ発動機ジュビロと国際親善試合を行う(詳細はこちら)。また、この試合はWOWOWで生放送される。

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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