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女子ラグビー日本代表、リオ五輪に向けた13名を発表!浅見HCが語る選考理由と予選プールの戦い方

斉藤健仁スポーツライター
一人ひとり、オリンピックメンバーに選ばれた選手の名を呼び上げる浅見HC(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

6月29日、日本ラグビー協会は東京都内で会見を開き、リオデジャネイロ五輪に出場する7人制ラグビーの日本代表選手団を発表した。男子は14名、女子(サクラセブンズ)は13名が選出された。最終登録メンバー12名は7月中旬頃に決定するが、ケガ人などが出た場合は交替可能だという。

◇「心身ともにタフで戦える選手」13名を選出

女子は6月、16名が参加して沖縄合宿を、14名がオーストラリア遠征を行い、今回のメンバー発表で13名に絞られた。サクラセブンズ(女子7人制ラグビー日本代表の愛称)を率いてきた浅見敬子ヘッドコーチ(HC)は、選手選考にあたって「一番、重視したのはコンディションでした」。

また今年はワールドシリーズ(WS)にコアチームとして5大会出場できたため、若手も伸びてきたという。その結果、大学生が3人選出される一方で、コンディション不良などの理由で、長らく女子ラグビーを支えてきたベテランの鈴木彩香、WSには出場していた三樹がメンバー外となり、バックアップ選手となった。

またオリンピックで強豪と戦うということで、「世界と戦える武器を持ち、さらに心身ともにタフである選手」を選出したという。浅見HCが女子初のフルタイムのヘッドコーチとなって、強化を始めた2011年から、6月30日で遠征、大会、移動日も含めて1060日活動し、国際試合は223試合に行ってきたという。その過酷な練習を耐え抜き、しかも、決して成長の歩みを止めない選手を、自信を持って選んだというわけだ。

「2011年から女子ラグビーの環境は大きく変わり、選手たちの所属先、環境、仕事がしっかりして、彼女たちは仕事と勉強を両立しながら1060日を戦い抜きました。

今回のリオ五輪のメンバーは、2011年からの5年間の強化をしっかり見て、心身ともにタフで戦える選手13名を選出しました。ラグビーで平均的な選手を選んだわけではなく、本当にここにいる選手たちはバラエティーに富んでいる。世界と戦える、何か一つ武器があり、課題にも向き合える姿勢を持った選手たちです」(浅見HC)

◆女子日本代表選手団13名

(名前、所属チーム/在籍先)

兼松 由香(名古屋レディース/―)

竹内 亜弥(アルカス熊谷/新潮社)

中村 知春(アルカス熊谷/電通東日本)

加藤 慶子(世田谷レディース/三菱重工業)

桑井 亜乃(アルカス熊谷/八木橋)

山口 真理恵(Rugirl-7/―)

冨田 真紀子(世田谷レディース/フジテレビジョン)

横尾 千里(東京フェニックスRC/全日本空輸)

谷口 令子(アルカス熊谷/凸版印刷)

中丸 彩衣(アルカス熊谷/NTTファシリティーズ)

大黒田 裕芽(立正大ラグビー部&アルカス熊谷/立正大4年)

山中 美緒(立正大ラグビー部&アルカス熊谷/立正大3年)

小出 深冬(東京学芸大学ラグビー部&アルカス熊谷/東京学芸大3年)

※バックアップ選手

鈴木 彩香(アルカス熊谷/立正大)

三樹 加奈(アルカス熊谷/埼玉縣信用金庫)

なお日本ラグビー協会関係者によれば、男子が14名選出されたように、現在13名の女子もブラジルにもう一人、連れて行く可能性もあるという。そのときはバックアップ選手の2人のどちらかが選ばれるだろう。

◇リオ五輪ではカナダ、イギリス、開催国ブラジルと同組に

6月28日、ワールドラグビーから「第31回オリンピック競技大会」におけるラグビー競技のプール組分けが発表になり、女子は下記のようになった。

男女ともに3日間でプール戦及び、順位決定トーナメントを行う。プール戦における勝点は、勝利が3、引き分けが2、敗戦が1ポイントになり、獲得勝点によりプール順位が決定する。そしてプール順位の上位8チーム(各プール1位、2位のチームと、各プール3位のうち、上位2チーム)が、決勝トーナメント・準々決勝に進出する。

◆女子ラグビー、リオ五輪組み合わせ

・プールA:オーストラリア、アメリカ、フィジー、コロンビア

・プールB:ニュージーランド、フランス、スペイン、ケニア

・プールC:カナダ、イギリス、ブラジル、日本

浅見HCは、予選プールの組分けについて聞かれて、こう答えた。

「いい予選プールに入ったと思っています。カナダ、イギリス(イングランド中心。WSではイングランドとして出場)とは、ワールドシリーズで試合をやらせていただいて勝つことはできていませんが、惜敗していますので、カナダ、イギリスには手応えを感じています。カナダ、イギリス相手には簡単に失点しないことが大事です。前半、粘って失点を抑えて、後半トライを取りたい。

ブラジルは急速に強化していて、少し日本と似ていますが、成長の幅があるようなチームです。冷静さを欠かないで自分たちのラグビーができるかが大事だと思います」

◇リオでは台風の目となり金メダルを目指す!

6月30日より、サクラセブンズは北海道で合宿を行っており、7月26日にブラジル・サンパウロで直前合宿を行い、リオへと移動する。「北海道ではポジションを固定しまして、さらにセットピースやサインプレー等の落とし込みをしていきます。コンディションを見て、最後の12名を決めたいと思います」(浅見HC)

オリンピックへの意気込みを聞かれると浅見HCと中村キャプテンはそれぞれ、こうコメントした。

「我々はアジア5位から始まったチームです。コンディショニング調整もありますが、最後まで、ギリギリまで、(2011年に)最初に掲げた走り勝つラグビーの準備をして、自信を持ってリオに旅立ちたい。リオ五輪の目標は大きく、金メダルと掲げています。最後まで(この目標を)ぶれずに、貫き通したい」(浅見HC)

「日本の女子ラグビーをここまで育ていただいたすべてのみなさまに感謝の気持ちを持ちつつ、サクラセブンズはオリンピックを目指して5年となりますが、ここにはいないメンバーも含めてオリンピックという夢をともに追いかけた仲間の思いとともに、台風の目となれるよう、金メダルを目指して頑張りたい」(中村キャプテン)

サクラセブンズは、リオの夢舞台で2011年からの歩んできたチームの集大成として、目標とする金メダルへと駆け上がることができるだろうか。

◆リオ五輪までの日程(予定)

・6月30日(木)~7月20日(水):北海道・定山渓

・7月26日(火)~8月2日:(土):ブラジル・サンパウロ

・8月6日(水)~8日(金):リオ五輪(ブラジル・リオデジャネイロ)

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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