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「ナビゲイター」主演子役が銀行強盗で逮捕。忘れられた子役スターたちのその後

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
ジョーイ・クレイマーは、先月末、銀行強盗を試みて逮捕された

1986年のSFファンタジー映画「ナビゲイター」に主演したジョーイ・クレイマー(42)が、先月末、銀行強盗で逮捕されたことがわかった。クレイマーは、かつらにバンダナ、サングラスという変装姿で、バンクーバーの約48km北西にある街の銀行で強盗を試みたが、かなわず逃走。しかし、最近、別の件で警察のお世話になっていたことから、変装を見破られ、すぐに逮捕された。クレイマーは、その前にも、小切手の名前と金額を偽造した容疑などで逮捕されている。

「ナビゲイター」で、8年間行方不明になっていながら年を取らずに戻ってきた不思議な少年デビッド・フリーマンを演じた後、クレイマーは、テレビ番組などに何度か出演したが、まもなく俳優業を引退した。その後、スポーツ用品を扱う店で働いたこともあるようだ。忘れられていたとはいえ、印象に残る演技をしてみせたあの子役スターの名前をこういう形で聞くことになるとはと、ショックを受けている人は多いことだろう。

かつての有名子役が、後に警察の間での有名人に変わってしまった例は、ほかにも数多くある。リンジー・ローハンやシャイア・ラブーフなどは一挙一動が報道されてきたが、忘れられている、あるいは、あまり知られていない例をいくつか挙げてみよう。

エドワード・ファーロング

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「ターミネーター2」(1991)のジョン・コナー役で大人気を集め、日本では歌手デビューまでしたものの、2000年ごろから薬物依存症とアルコール依存症でトラブルを繰り返すようになった。2001年には無免許運転と飲酒運転で逮捕。2013年には家庭内暴力で3度目の逮捕をされている。

ジェイク・ロイド

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「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(1999)で若かりし日のアナキン・スカイウォーカーを演じたが、その後は、2001年の「Madison」に出演したのみ。2015年、運転中に警察に車を止められ、逃げようとしてカーチェイスとなり、10ヶ月服役。後に、精神病施設に移されている。

ハーレイ・ジョエル・オスメント

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「シックス・センス」(1999)で、11歳の若さにしてオスカー助演男優部門にノミネートされた。2001年にはスティーブン・スピルバーグの「A.I.」に主演するが、2003年の「ウォルター少年と、夏の休日」の後くらいから、スクリーンでほとんど姿を見かけなくなり、2006年、飲酒運転とマリファナ所持で逮捕された。2010年、ニューヨーク大学を卒業。最近はまた「Entourage(日本未公開)」(2015)などの映画に出演している。

ミーシャ・バートン

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オスメントと「シックス・センス」で共演したのは13歳の時。2003年にスタートした若者向けテレビドラマ「The O.C.」で大人気を集め、スタイルアイコンと呼ばれるまでになるが、夜遊びが仕事に影響を与えるようになり、主役であるにも関わらず、シリーズ途中で降板させられる。2007年、飲酒運転とマリファナ、他人名義の処方薬の所持で逮捕。2010年には家賃の未払いでニューヨークの大家に訴訟され、2014年8月には、420万ドルのローンを組んで購入したビバリーヒルズの豪邸のローンが払えず、差し押さえ処分になった。最近のインタビューで、「『The O.C.』に出たことを後悔している」とも語っている。

マコーレー・カルキン

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1990年の「ホーム・アローン」で、ギネスブック認定の“世界一有名な子役”に。続いて「マイ・ガール」(1991)「ホーム・アローン2」(1992)も大ヒット。しかし1995年に両親が別れ、彼が稼いだ1,700万ドルをめぐって醜い裁判が起こり、カルキンは俳優休業を宣言した。17歳で結婚するが、2年で破局。2004年、オクラホマ・シティで、マリファナ所持の容疑で逮捕された。2012年には、激痩せした写真がネットに流れ、ヘロイン中毒かとささやかれたりもしている。死亡記事まで出たが、すぐに誤報だったことが明らかになった。

もちろん、子役スターとしてちやほやされても道を外すことなく、責任のある大人に成長していった例も多い。言うまでもなく、代表はジョディ・フォスターとナタリー・ポートマン。現在はニューヨーク大学で学業に専念しているダコタ・ファニングも、彼女らを追従しているといえそうだ。オスカー監督ロン・ハワードも、「アメリカン・グラフィティ」やテレビ番組「ハッピー・デイズ」の子役だった。レオナルド・ディカプリオ、エマ・ワトソン、ライアン・ゴズリング、ヒラリー・ダフらも、上手に大人の俳優に移行し、今も活躍を続けている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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