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ヴィンセント・ギャロがFacebookを訴訟。元恋人は彼になりすました別人とヌード写真を交換

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:Splash/アフロ)

ヴィンセント・ギャロとFacebookの“友達”になっているファンに、残念なニュース。そのアカウントは、彼本人ではなく、別人がなりすまして作ったものだったことが発覚したのだ。問題を報告したにも関わらず、Facebookが何も対処をしなかったとして、ギャロは、米西海岸時間16日(月、)米連邦裁判所に訴えを起こしている。

偽物のギャロは、ギャロ本人の友達や知り合いを含め、およそ3,000人に“友達”承認をしている。彼はメッセンジャーを使い、複数の女性とメッセージのやりとりをしたが、その多くは性的な内容だった。彼はまた、ギャロの過去の恋人である有名モデルとも2ヶ月ほどにわたって連絡を取り合い、自分の下半身のヌード写真を彼女に送ったという。それを受けて、彼女も自分のヌード写真を送り、ヨーロッパから彼を訪ねるためにアメリカまでやって来ようとも決めた。だが、ぎりぎりになって、偽物のギャロは、その時期は留守にしているからと断ったらしい。そのあたりから、元恋人は、何かがおかしいと気づき、まもなく真実を発見したとのことだ。

偽物ギャロによるページはまだアップされたまま
偽物ギャロによるページはまだアップされたまま

ギャロはFacebookに事態を報告し、アカウントの閉鎖を試みたが、返ってきたのは自動応答のメッセージだった。本人確認ができるものを送れとあったため、ギャロは運転免許証のスキャンを送ったが、Facebook側は、それでは十分でないとし、ギャロは再び、プロレベルのスキャンを送った。しかし、今もまだ対処がなされず、そのページはまだアップされたままだ。ギャロは、肖像権の不正流用、意図的に与えられた精神的苦痛、不公平な商慣行でFacebookを訴えている。現段階で、Facebookは、この件に関して何もコメントをしていない。

ギャロは、先月末にも、別件で訴訟を起こしている。2003年、最近休刊になった日本の雑誌「Free & Easy」のためにギャロをインタビューすることになっていた記者が、実際に取材が行われる1週間前、ハリウッドの道端で彼と雑談した時の会話を録音し、後にその会話と、実際のインタビューのオーディオを、ギャロの許可を得ることなく自分のウェブサイトにアップしたというのがギャロの訴えだ。そのおしゃべりで、ギャロは、当時一緒に仕事をしていたフランシス・フォード・コッポラの体重をばかにするなどの発言をしていたらしい。被告の記者は、この報道をした「The Hollywood Reporter」に対し、「このオーディオは2010年8月からアップされており、出訴期限はすでに切れている」と反論している。

Facebookのほうも、複数の訴訟に巻き込まれている。今年2月には、フロリダの男性が、Facebookが友達の誕生日を知らせるテキストメッセージを勝手に送ってくるのは連邦法に違反するとして、集団訴訟を起こした。こういった自動メッセージはマーケティング手段であり、事前に合意した利用者にだけ送られるべきものだと原告の男性は訴えている。男性は、メッセージひとつにつき1,500ドルの支払いを要求している。Facebookの顔認証に関しても、プライバシーの侵害だとする集団訴訟が起こった。Facebook側は棄却を要求していたが、今月5日、サンフランシスコの裁判長は、「Facebookの顔認識テクノロジーは、原告の同意を得ずにして行われた顔のスキャンを使うものだという原告の訴えを裁判所は受け入れる」とし、その要求を退けている。Facebookが本社を構えるカリフォルニアには生体認証に関する法律がなく、Facebookは、すべてのユーザー合意はカリフォルニア州法のもとに行われると主張していたが、認められなかった。また、昨年末には、Facebookが株式公開に先立って、業績成長予測に関する重要な情報を隠ぺいしたとして、株主による集団訴訟が起こっている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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