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「トップガン」のケリー・マクギリス、またもや事件の被害に遭い銃を取得。「これで準備は万端」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:Splash/アフロ)

30年前、「トップガン」のヒロイン役に抜擢される幸運を得たケリー・マクギリス(58)は、私生活で、数々の不運に見舞われてきている。今月17日(金)、またもや恐ろしい目に遭った彼女は、もう限界だと感じ、ついに銃を取得したと、Facebookを通じて報告した。

今月12日、フロリダ州オーランドのゲイバーで乱射事件が起き、49人が殺され、53人が負傷した時、マクギリスは、銃規制を訴えるメッセージを何回かにわたって投稿している。だが、彼女がFacebookで語ったことを読むかぎり、心境の変化は、突然ではなかったようだ。

17日の事件は、ノースカロライナにある彼女の自宅で起こった。夜、彼女が帰宅すると、自宅のキッチンに、少女を連れた、見知らぬ女性が立っていた。その女性は、マクギリスがツィッターで自分に対するストーカー行為をしていると責め立てたという。そんなことはしていないとマクギリスが反論すると、女性は彼女を床に押し倒し、引っ掻いたり、髪を引っ張ったりするなどの暴力行為に出た。マクギリスは、なんとか車のアラームを鳴らし、女性が一瞬ひるんだ隙を見て逃げ出して、外に出て大声で助けを呼んだ。だが、近所の人は誰も来てくれず、車に乗ってほかの人の家に行き、警察に電話してほしいと頼んでいる。

事件の翌日の18日(土)、マクギリスは、次のようなメッセージをFacebookに投稿した。

思いやりあふれる言葉を送ってくださったみなさん、ありがとうございました。私はまだ少し恐怖に震えています。うちにはアラームがありますが、4年間ここに住んで、何も起こらなかったので、気にしなくなっていました。ダメでした。彼女はガレージの窓から侵入し、犬の気を散らせるため、ドッグフードを床にばらまきました。うちには3匹の犬がいます。犬たちもみんな、すごく怖がっています。私は、銃を所有する許可を取ることに決めました。そしてこれからはアラームをちゃんと使用します。

このメッセージにはおよそ130のコメントが寄せられた。それを受けて、マクギリスは、翌19日、次のようなメッセージでさらに心のうちを説明している。

銃所有の許可を取るのは最高の選択ではないとおっしゃっている人たちのために、この決断に至った背景を語りたいと思います。私は、とても長い間、苦しんできたのです。私は狂った銃賛成派ではありません。

12歳の時、私は3人の男性にレイプされました。ニューヨークに住んでいた大学時代には、銃を突きつけられる経験をしました。その1年くらい後には、地下鉄で、男性に、「白人のビッチ」と顔を殴られました。驚いたことに、車内の誰も私に助けの手を差し伸べてはくれませんでした。それからあまり時間がたたないうちに、私のアパートに押し入ってきたふたりの男に、繰り返しレイプされました。

昔のガールフレンドにストーカー行為をされたこともあります。彼女は私のペットに毒をやろうとしたり、私の持ち物を破壊しようとしました。そういうことが起こるたびに、私は、安全なところを求めて別の場所に引っ越しました。でも、そうはなりませんでした。この金曜日の事件で、私はぎりぎりのところに追い詰められました。そこが限界点でした。私は被害者ではなく、生存者です。この2時間の間、私は、泣く、怒る、絶望する、「どうして私なの」と思うことを繰り返していました。「君だからだよ」なんて言うひどい人がいたら、私は激怒するでしょう。優しい言葉のひとつもかけてあげれば大丈夫と思っていますか?あなたならそうですか?私は、それで大丈夫にはなりません。

私は今PTSDを抱えていて、深い絶望から這い上がろうとしています。これまでに積み重なったそれらの苦痛に、苦しめられています。それらの悪魔が私の中で暴れまわっています。もう二度と、暴力の被害には遭いたくありません。絶対に。だから、銃を持つのです。私が望んできたのは、安全だけでした。自分の家で、安全にいられること。私は、二度の違った事件で家に侵入されています。長い間、私は、真剣にこのことを考えてきたのです。1982年から、ずっと。どうしてこういうことが次々自分に起こるのか、わかりません。悪いカルマでしょうか?悪い人たちを惹きつける何かがあるのでしょうか?これらから何かを学べというのでしょうか?それとも、ユニバースや神が私を連れて行こうとしているのでしょうか?答があるのかどうか、わかりません。私にわかっているのは、ただ、自分がとても恐れているということ。考えることもできません。食べることも。ひとりでいるのが怖くてたまりません。もっとひどいことに、近所の人は、助けを求める私の叫び声も、アラームの音も聞いたのに、何もしてくれなかったのです。私たちは、そんな世の中に住んでいるのです。近所の人、他人、きょうだい、孤児、未亡人を助けようとする人はいません。

だから、私は、銃を持つことにするのです。

ノースカロライナ州では、銃の許可は80ドルで取得でき、5年間有効。許可の申請にあたっては、安全のためのレッスンを受け、精神の健康状態の記録を提出しなければならない。米時間23日(木)、マクギリスは、「ヘンダーソン群の警察は最高。彼らが急いで手続きをしてくれたおかげで、私はもう武器を持っていて、準備は万端です」との新しいメッセージをFacebookに投稿した。射撃レッスン用のターゲットの写真も投稿されており、「30発撃って、はずしたのは5発だけ」と、腕前の自慢もしている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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