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“デザイナーたちに無視された”女優レスリー・ジョーンズがプレミアで着たのはこのドレス

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
赤のゴージャスなドレスで登場したレスリー・ジョーンズ(左から2人目)(写真:ロイター/アフロ)

「どのデザイナーも、私にプレミア用のドレスを貸してくれない」とツィートして話題を呼んだ「ゴーストバスターズ」の女優レスリー・ジョーンズが(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160703-00059550/)、目を見張るような美しいドレスでL.A.プレミアに出席した。

クリスチャン・シリアーノによるそのドレスは、オフショルダーで、長いスリットの入った、古き良き時代のハリウッドを思わせる、気品のあるデザイン。このビビッドな赤のドレスに、ジョーンズは、シルバーのハイヒールと、ダイヤモンドのネックレスを合わせた。ソーシャルメディアには、「美しい!」「シンプルで、エレガントで、時代を問わないドレス。レスリーとクリスチャン、おめでとう!」「クリスチャンは、すばらしい仕事をしてみせた。このドレスはずっと人の記憶に残るでしょう」「ほかのデザイナーたち、バカだね。レスリーはこんなに素敵なのに」といった絶賛のコメントが飛び交っている。

レッドカーペットで女優が着るドレスは、普通、ブランドからの借り物だが、身長180cmで大柄なジョーンズ(48)は、ドレスを提供してくれるデザイナーを見つけるのに苦労していた。そのツィッターを見たシリアーノが、すぐにツィッターを通じて名乗りを上げて、カスタムメイドしたのがこのドレスだ。シリアーノは、過去に、「New York Magazine」に対して、すべての女性がレッドカーペットを楽しめるようにしたいと語っている。「どんな体型、年齢の女性も、僕のコレクションから気に入るものを探せるようにすることは、僕にとって重要なこと」と言うシリアーノは、その言葉どおり、これまでに、オプラ・ウィンフニーやニア・ヴァルダロスから、サラ・ジェシカ・パーカーやケリー・ワシントンなど、サンプルサイズの人からそうでない人まで、幅広い女性にドレスを提供してきた。ところで、シリアーノは、このL.A.プレミアが行われたのと同じ時に、長年のパートナーでミュージシャンのブラッド・ウォルシュとニューヨークで結婚式を挙げている。ジョーンズはL.A.から、「クリスチャン、結婚おめでとう」とメッセージを送った。

やはりサンプルサイズではない共演者のメリッサ・マッカーシー(45)は、この日、カスタムメイドのイエローのドレスで登場。マッカーシーは、女優に転向する前、ファッションを学び、衣装デザイナーを務めた経験もある人で、昨年、自分のブランド“メリッサ・マッカーシー セブン7”をデビューさせている。「ゴーストバスターズ」のプレスツアーでは、“セブン7”の立ち上げに協力したスタイリストのジュディ・B・スワーツが、“セブン7”のコレクションもたびたび取り入れつつ、さまざまなスタイリングを行ってみせた。

シンガポールのイベントでのメリッサ・マッカーシー(写真/猿渡由紀)
シンガポールのイベントでのメリッサ・マッカーシー(写真/猿渡由紀)

先月のシンガポールでのプレスイベントには、ピンクの花柄ドレスで現れている。普通なら、太めの人は避けるべきと思われているデザインだが、マッカーシーはちゃんと自分に似合うものを見分けられると、スワーツはそのセンスを讃えている。

それでも、2012年、「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」で初めてオスカーにノミネートされた時は、彼女もやはりドレスを貸してくれるデザイナーを見つけるのに困ったようだ。ジョーンズの騒ぎが起こった時、ハリウッドのスタイリストの何人かは、「ブランドが用意しているのは、普通、サンプルサイズだけ。貸し出し用に幅広いサイズを揃えることなどできない。サンプルサイズでないレスリー・ジョーンズは、もっと早くに動くべきだった」と、ブランドではなくジョーンズを責める発言をしている。「アメリカの女性みんながサイズ2か4というわけではない。それが現実で、そこが見逃されている市場」と言うスワーツは、「The Hollywood Reporter」に対し、「でも、今、何かが勢いづいているのを感じる」とも語っている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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