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整形のジャスティン・ビーバーそっくり男性、死因は薬物過剰摂取

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
1,000万円以上を整形につぎ込んだトビー・シェルドン(写真:Splash/アフロ)

昨年8月21日、L.A.郊外のモーテルで死亡しているのが発見されたトビー・シェルドン(当時35歳)の死因が、複数のドラッグとアルコールの過剰摂取だったことがわかった。L.A.警察によると、死因の解明に1年近くかかったのは、発見時に死体が腐敗していたり、シェルドンの母がドイツに住んでいるなどの理由で、本人かどうかの確認が、なかなかできなかったためということだ。

シェルドン(本名はトビアス・ストレベル)は、ジャスティン・ビーバーのルックスに魅了され、自分も同じ顔になるべく、美容整形に10万ドル(約1,050万円)以上をつぎ込んだ男性として有名になった。そのことを隠すどころか、むしろ売りにして、整形についてのリアリティ番組や、奇妙な執着をもつ人を取材するドキュメンタリー番組などに出演している。

ビーバーにあこがれる理由として、シェルドンは、「ほお、こめかみ、目、唇、顔の形まで、全部揃っている。とても美しい」「あのベイビーフェイスを見た時に、これこそ僕がなりたい顔だと思った」などと述べた。「前髪を横に流して、額がまったく見えない髪型もいい」という彼自身の髪型も、それと同じだ。しかし、少し前のビーバーのほうがもっと理想的だと思っているとのことで、「美容整形医を訪ねる時は、2年前の彼の写真を持っていくんだ。そして、こんなふうにして、と言う」とも明かした。2014年には、E!チャンネルの番組「Untold」で、「今、80%満足している。時間と、努力と、お金をもっとつぎ込んだら、100%満足できると思っている。僕は美容整形中毒だ」と語っている。

シェルドンはドイツのニュルンベルグ生まれ。シンガーソングライターとしての成功を夢見て渡米した。2003年には日本人女性と結婚するが、3年で離婚。裁判所の記録には、離婚時、彼は収入がまったくなかったとあるようだ。

2010年、シェルドンは、看護師の資格を取得。死亡当時も、L.A.の病院で、夜勤の看護師として働いていた。2004年から毛髪移植を何度か試みては毎回失敗していたが、2008年にビーバーが大人気になった頃から、美容整形を始める。2013年には、初めてマネージャーを得た。彼のマネージャーとなったジーナ・ロドリゲスは、元ポルノ女優で、リンジー・ローハンの父で自身もトラブルメーカーのマイケル・ローハンや、八つ子を生んでゴシップ紙を騒がせた“オクトマム”ことナディア・スールマンもクライアントに抱える女性だ。以来、シェルドンはたびたびテレビに出演するようになる。整形を重ね、堂々とそのことについて語る彼は、批判も浴びたが、「彼はいつも前向きだった」と、彼の死亡当時、ロドリゲスはコメントしている。

「僕は、ジャスティン・ビーバーが4歳か5歳だった頃から音楽をやっているんだよ」「歌を書くのは、学んでできることじゃない。内面にクリエイティビティがあり、表現したいことがあって、歌詞を書く才能と、何が人の興味を引くのかがわかっていないと。僕にはそれができる」と、テレビで自信を見せていたが、ミュージシャンとしてのキャリアは、芽が出ないまま終わった。しかし、それぞれジェニファー・ローレンスの顔、マドンナの顔を目指して整形をした女性ふたりと、その名もまさに“ザ・プラスチックス”という音楽グループを組んだりもしている。

シェルドンの姿が最後に見かけられたのは、昨年8月17日、午後5時半ごろ、ハリウッド近辺。彼が行方をくらませたのには、ボーイフレンドと別れたことが関係しているのではないかとの憶測もなされた。彼の死体が見つかったのは、3日後だった。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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