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ジョニデ離婚:アンバー・ハード、土曜日ついに宣誓証言。何のため?その後何が起こる?

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX FEATURES/アフロ)

ジョニー・デップにDVを受けていたという件で、アンバー・ハードが、米西海岸時間6日(土)、L.A.で、ついに宣誓証言を行う。時間は午前10時からで、7時間近くにも及ぶ可能性があるようだ。ハードは現在ロンドンにいるが、このために必ず戻ってくると約束しているらしい。

これまでもデップ側はハードの証言取りを要求してきたが、実現しないままだった。しかし、これは、ハードが逃げていたというよりも、証言取りの要求は10日以上前に行わなければならないという決まりがあるのに、デップ側が十分な猶予を与えない日程を要求していたせいだったようである。双方のスケジュールが合わず、日程が決まらないということは、よくあることのようだ。

この証言は、今月15日と16日に予定されている裁判に先立って行われるもの。ハードは、5月末、デップに対する一時的な接近禁止命令を裁判所に申請し、受諾されているが、この裁判は、恒久的な接近禁止命令を出すかどうかについてだ。実際にDVがあり、今後もハードの身に危険があると裁判長が判断すれば出されるし、そうでないと判断されれば出されない。

勝ち負けを決めるのはあくまで裁判で、土曜日の宣誓証言の目的は、裁判で有利になる証言をさせることだ。ここで時間をかけ、ハードをあちこちからつつき、ボロが出たら、彼女の主張の信憑性は弱まる。そうなった場合、仲介人が、裁判を待たずに示談で片付けるべきだと、ハード側に勧める可能性が高い。土曜日の場では、L.A.警察が呼ばれてデップとハードの家を訪れた時、家は荒れておらず、ハードにケガはなかったと報告していることなども追求されることになる。デップも出席するかもしれないが、同じ部屋にいることになるため、この日だけ特別に接近禁止命令を解いてもらう必要がある。

この宣誓証言の機会なしに、まっすぐ裁判となった場合、裁判でデップは自分を弁護するような形になり、不利になるとして、デップの弁護士は、裁判所に対し、ハードに宣誓証言させる機会を強く求めていた。もしも裁判でデップが負け、恒久的な接近禁止命令が出されると、デップの名前は、誰でも見ることができる全米の警察のデータベースに加えられることになる。また、信用情報に傷がつき、ローンなどを組む上で影響が出る上、武器の所持も許されなくなる。資産4億ドルのデップがローンを組む必要があるかどうか、あるいは彼が銃を持ちたいのかどうかはわからないが、それ以前に、イメージダウンという決定的な損害を受けるのはたしかだ。

もちろん、ハードのほうも、これまで彼女の主張してきたことが矛盾だらけだということになれば、イメージダウンは大きい。こういった宣誓証言の前には、弁護士とともに、何時間もかけて練習をするのが普通とのこと。ハードは、最近、大富豪イーロン・マスクと楽しい時間を過ごすのに忙しいようだが(ただしふたりはあくまで友達ということである)、その間にも、あさっての証言の準備に時間を割いていると思われる。

そして来週は、デップのほうも、宣誓証言をしなければならない。ハリウッドで最もパワフルな離婚弁護士であるローラ・ワッサーは、豊かな経験を活かして、今から十分彼に準備をさせていることだろう。

デップ側の狙いは、裁判に持ち込まずに示談で解決すること。この土曜日は、その第一歩となる。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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