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ジョニデ離婚:ジョニー「寄付するというのが本気なら、僕が直接払ってあげよう」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX FEATURES/アフロ)

ジョニー・デップとアンバー・ハードの争いが、まだ終わらない。

今月16日、デップがハードに700万ドル(約7億円)を支払うことで決着した時、ふたりの共同声明には、「アンバーは、この離婚から得るお金を慈善団体に寄付します」と書かれていた。その2日後、ハードは、その700万ドルを、アメリカ自由人権協会(ACLU)とロサンゼルス小児病院に平等に寄付するという、別の声明を発表している。その中で、ハードは、「前にも述べたとおり、チャリティへの寄付を通じて、自分を守るすべをあまり持たない人たちを助ける目的以外、私にとって、お金はまったく目当てではありませんでした。今もそれは同じです。このふたつの団体は、このお金を良い目的のために使ってくれるとわかっています。この経験が、最も助けを必要としている人々の人生に、ポジティブな変化を与えることにつながれば幸いです」と語っている。

ところが、米西海岸時間昨日、ACLUとロサンゼルス小児病院に、「アンバーからの寄付」ということで、デップから小切手が届いたのである。その小切手は、分割で支払う予定のうちの1回目で、最終的に、ふたつの団体合わせて700万ドルになるように組まれているということだった。

デップのパブリシストは、TMZ.comに対し、「アンバーが、離婚から得るお金を、ACLUとロサンゼルス小児病院という、ふたつの重要な団体に平等に寄付をすると発表したのを聞きまして、ジョニーは、このふたつの団体に、分割で支払う予定の1回目を、すでに送りました。寄付はアンバーからとなっています。この分割の最後の支払いが終われば、アンバーが約束したのと同じ金額を、ふたつの団体は受け取ったことになります」と語った。

これを知ってハードは激怒。ならば、倍の金額に当たる1,400万ドルを払えと言い出した。ハード側は、メディアに対し、「慈善団体に寄付した場合、税金控除が受けられるため、実際に彼が支払う金額は少なくなります。アンバーが受け取るべき700万ドルを本当に払うのであれば、1,400万ドル払うべきです。それより少しでも低い金額は、ジョニーの相談役であるローラ・ワッサーとパティ・グレイザーが仕組んだ、彼が払うお金を少なくするための画策にすぎません」と説明している。デップ側は、これについて、まだ何もコメントしていない。

ハードが700万ドルすべてをチャリティに寄付すると発表したのを、イメージ対策ではないかと見る向きは、少なくなかった。そもそも、その700万ドルは、弁護士代を含むという条件で、もし彼女が丸々この金額を払うと、弁護士代は自分でもつことになってしまう。また、彼女は「お金は目的でない」と繰り返しているが、最初は、たった15ヶ月の結婚だったにも関わらず、配偶者サポートまでもらうつもりで、さらに、離婚条件が決まるまでの間にも、一時的サポートとして月5万ドルを要求していたのである(後に、この要求は取り下げられている)。離婚の際に分け合う対象となる財産は、結婚中に手に入れたものだけと法律で定められているのに、ハードは、デップに対して、結婚よりずっと前にさかのぼる資産関係の書類を見せろとも要求した。これは、デップの弁護士ワッサーが、「アンバーが秘密保持条約に署名するまでは渡さない」と突っぱねている。最終的には700万ドルで決着したが、ハード側が望んでいた金額は、それよりずっと多かったとも報道されている。

とにかく、離婚条件決着から10日もたたないうちに、さっそく新たな争いが起きてしまったわけだ。このふたつの非営利団体は、思わぬことからセレブの離婚劇に巻き込まれることになったが、10日前なら予想もしなかったお金が突然入ってきたのだから(分割とはいえ、相当な金額のはずだ)、決して迷惑ではないだろう。怒りまくっている本人たちが本当に意図したところであるにしろないにしろ、一応、何か良いことにはつながったのだ。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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