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デビッド・リンチと瞑想:「本当の幸せは、外ではなく内側にある」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
自らのNPOをもつデビッド・リンチが、別のNPOから表彰される(写真:Splash/アフロ)

デビッド・リンチが、今、また多忙だ。

映画ファンの間では決して忘れられることがなかった彼だが、25年を経て、「ツインピークス」の続編が来年アメリカで放映開始されることになり、再び話題を集めているのである。カイル・マクラクランをはじめとするオリジナルキャストが戻ってくる上、この続編には、ナオミ・ワッツやアマンダ・セイフライドなど、新しい魅力的なキャストも登場するそうだ。ストーリーはわかっていないが、オリジナル放映時から同じだけの時間がたっているという設定らしい。

現在、彼は、編集作業の真っただ中。しかし、そんなスケジュールを工面し、今月25日、非営利団体YOGA GIVES BACK(YGB)が、L.A.のマリブで開催するチャリティイベント「THANK YOU MOTHER INDIA」に、ナマステ賞を受賞すべく、出席することになった。ナマステ賞は、ヨガコミュニティと、人道活動に貢献してきた人に贈られるもの。昨年は、マリカ・チョプラが受賞した。

リンチは、1973年から超越瞑想(TM)を毎日行ってきている、瞑想の信奉者だ。筆者は過去にリンチをインタビューしたことがあるが、「あなたの独自なアイデアはどこから来るのですか?」と聞いた時、すぐに「TMのおかげだね」という答が返ってきたのを、強烈に覚えている。

「どんなに忙しくても、1日2度、瞑想の時間を作るんだ」とも語っていた彼は、自ら創設したNPOデビッド・リンチ財団(DLF)を通じ、恵まれない子供や服役囚、DVを受けた女性などに、無料で瞑想の教育を提供する活動を、長年続けてきた。一方、YGBは、ヨガが大人気になって久しいL.A.で、「ヨガ1回の料金で、ヨガ発症の地インドで貧困に苦しむ誰かの人生を変えられる」という発想で生まれた団体だ。

ヨガ歴16年の筆者も、数年前からYGBに深く関わってきており、リンチが我々YGBの賞を受け取ってくれ、実際に授賞式にも来てくれると言ってくれた時は、大感激だった。当然、筆者は誰よりも先にリンチにインタビューをリクエストしたのだが、ほかのアメリカのジャーナリストからも多数の取材依頼があった。「ツインピークス」で忙しいこともあり、個々には対応できないということで、やや残念だが、筆者を含めた数人のジャーナリストが送った質問に対し、メールでまとめて返答という解決策におさまっている。以下が、その答だ。

YGBのナマステ賞を受賞することについての感想をお聞かせいただけますか?

とてもうれしいよ。僕は、2016年ナマステ賞を、インドやアメリカ、あるいはほかの国でTMを教える多数の人たちを代表して受け取るつもりでいる。僕らは、より多くのエネルギーと教養に満ちた平和な世界を作るために、日々、努力をしている。世界は僕らの家族。YGBも、同じ目的のために努力をしている団体だよね。

そもそも、あなたは、どのような形でTMにめぐりあったのでしょうか?

60年代の後半か、70年代の前半に、「本当の幸せは外ではなく内側にある」という言葉を聞いたんだ。それは、正しいことのように思えた。だが、じゃあ「内側」はどこなのかがわからなくて、フラストレーションを感じたんだよ。どうやってそこにたどりつけばいいのか、誰も教えてくれなかった。そして、ある時、全然考えてもいなかったのに、瞑想というものが、そこへの道しるべを与えてくれることになったのさ。瞑想なんて、それまで、まったく関心がなかったんだが、いろいろなスタイルがあることを知り、調べてみた上で、マハリシ・マヘーシュ・ヨギが教えたTMこそ、自分がやるべきものだと思った。僕はそれを1973年7月1日に始め、今もまだ、毎日続けている。

TMを実践することで、世界は良い方向に変わると思いますか?

TMは、実践する個人にすばらしくポジティブな変化をもたらすと、僕は信じている。そうする人が増えるに従って、社会ももっとポジティブになる。マハリシは、ふたつのゴールをもっていた。ひとつめは、個人を幸せにすること。次に、世界を平和にすること。そのふたつの目的のため、彼はTMを世界にもたらした。テレビでは毎日のようにひどいニュースが流れているが、僕自身は、彼の目的が果たされていると見るよ。

DLFとYGBの使命の、どの部分に共通点を見ますか?

YGBは本当の形のヨガ、僕らは真のTMを奨励することで、インドの貧しい女性や子供たちが障害を克服し、自分の人生を築き上げるための手助けをしようとしている。彼らは、人間がもつ限りないエネルギーと、平和、幸せに向けたパワーを解き放たなければならない。これこそ、人に活力を与え、世界を平和にするための、唯一の方法だと、僕は信じる。

このイベント当日、リンチが何を語るかは、後日また報告したいと思う。イベント場所はL.A.だが、チケット購入に興味のある方は、ここへ:http://yogagivesback.org/tymi/malibu

YGBについての詳細は:http://yogagivesback.org/ja/about-yoga-gives-back

DLFについての詳細は:https://www.davidlynchfoundation.org

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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